これまでのご経歴と、リユース・EC領域で起業した理由を教えてください
学生時代にリユースショップチェーンで中古品の買取を担当し、商品を見極め、価格をつける現場を経験しました。大学卒業後は百貨店に入社し、ブランド品の買付や出店交渉に携わりました。その後、通信系企業でモールECのコンサルティングや経営企画を経験しています。買取、買付、EC支援、事業全体の管理まで、立場を変えながらリユースとECの現場に関わってきたことになります。 さらに、自らEC支援や中古スマホの買取販売に取り組む中で、競合価格や相場を調べ、適切な値付けをする難しさを改めて痛感しました。私自身、かつては商品を一点ずつ調べ、勘や経験を頼りに価格を決めていたんです。 経営大学院で起業テーマを考えた時、これまでの経験が一本に繋がり、自分が最も深く課題を理解できるのはリユースとECだと実感しました。現場の勘や経験に依存しがちな価格調査をテクノロジーで変えたいと考え、2021年に当社を設立しました。
創業から現在までに、株式会社リスマにとって転機はありましたか。その岐路で、何を基準に決断したのでしょうか
元々私は、目の前のお客様の課題を見つけ、解決するのが得意なタイプです。ただ、事業を会社として大きく育てていく段階になると、個別の課題を一つずつ解くだけでは、届けられる価値の範囲に限界があると感じるようになりました。そこが大きな転機です。 そこで、当社が目指すものを、価格や競合情報の調査を支援するサービスから、EC運営全体の課題をAIで解決する事業へと広げました。価格調査だけでなく、競合分析や改善提案、いずれは商品登録や日々の運用まで含め、人がやらなくても良いことをどれだけ肩代わりできるか。判断の軸は、目の前の機能を増やすことではなく、EC事業者が本来やりたいことに集中できる状態に繋がるかどうかです。 特に地方では採用が難しく、人手不足によって事業拡大を諦める企業も少なくありません。人手が事業成長の制約にならない世界をつくること。それが、私の決断を貫く一貫した物差しになっています。
事業や会社をつくる仕事の、面白さと難しさを教えてください
一番の面白さは、同じ志を持つ仲間と、世の中に新しい仕掛けをつくっていく一連の活動そのものにあります。自分達が挑戦したサービスがお客様に支持されたり、志を同じくするメンバーが一人、また一人と増えたりする瞬間は、何よりうれしいですね。 一方、経営は一つ壁を越えると、また次の壁が現れる連続です。トラブルもあれば、上手く言語化できない不安や葛藤を抱えることもあります。私の乗り越え方は、振り返る仕組みをつくることです。最近は毎週末、AIをコーチ役にして一週間の行動を振り返り、自分が何を壁に感じ、どのような感情が動いたのかを言葉にしています。すぐに反応が返ってくるので、自分のタイミングで頭の中を棚卸しできるんです。 この習慣を続けるうちに、社員との1on1の質も上がりました。自分自身の感情を言語化できていなければ、相手の悩みや感情も正しく受け止められません。感情まで含めて整理し、次の行動に繋げていくのが、私の仕事のスタイルです。
リスマで働く人に期待する力と、その先に描けるキャリアを教えてください
AIが作業する世界は、もう不可逆だと思っています。その中で人に期待するのは、自分の得意領域でAIをディレクションし、業務が回る仕組みをつくる力です。同時に、誰と協力すれば会社の価値を最大化できるかを考え、チームで成し遂げることを楽しむ姿勢も大切にしてほしいですね。 当社では、担当職種の役割だけに閉じず、お客様の課題を起点に、営業、カスタマーサクセス、開発が協力して解決策を考えます。営業であっても、提案や契約だけでなく、事業やプロダクトをつくる視点を身に付けられる環境です。商談から契約、初期オンボーディングまで一貫して関わりますが、メンターや1on1を通じて段階的に仕事を任せていきます。 キャリアも、プレイヤーからマネージャー、さらに経営に近い役割へと、本人の強みや影響範囲に応じて広げていけます。評価では、AIが半年間の行動や取り組みを収集・整理し、私が定性的な情報を補って最終的に判断します。
リスマが目指す未来と、今後の展開を教えてください
当社のミッションは「ありたい姿にアップデートし続ける」、ビジョンは「EC運営を、AIに任せられる世界」です。現在のEC運営は、値付けや改善、日々の運用を人手で支え、人が手を止めれば業務も止まってしまいます。これらをAIエージェントに任せ、人は「何をやるか」「どこを目指すか」に集中できるようにしたいと考えています。 これまで日本では、決められたことを正確に続ける力が重視され、変化や更新には大きな負担が伴ってきました。AIは、そのコストを劇的に下げられます。 『Smapra』は現在、情報を集め、変化に気付き、値付けに生かすところまでを支援しています。今後は売上予測や改善提案へと広げ、最終的にはEC運営そのものをAIが回し続ける状態を目指します。この新しい当たり前を、仕組みから一緒につくりたい方と働けたらうれしいです。
