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インタビュー画像代表取締役社長・小坂 来造氏 大学院で機械工学を専攻。2008年4月、新卒でブラザー工業に入社。機械設計エンジニアとして約10年間、カラーレーザープリンターの設計に従事。機構のユニットリーダーを務める。在職中、週末にビジネススクールへ通いMBAを取得。社内新規事業創出プログラムの第1期生として『BuddyBoard』を起案。新規事業推進部へ異動。同事業の立ち上げを牽引し、2026年3月に株式会社BuddyBoardを設立。ブラザー工業からのカーブアウトを経て、代表取締役社長就任。

『BuddyBoard』の開発コンセプトや思想、それらを具現化するために実装した機能をお話しください。

『BuddyBoard』が他の図面管理アプリと違うのは、「なぜその図面になったのか」という、モノがどんどん良くなっていくブラッシュアップの工程にフォーカスしている点です。私は機械設計エンジニアとして、一人でものづくりはできないと感じており、様々な立場の方が意見をぶつけ合うことで製品やアイデアがブラッシュアップされていくプロセスを何度も経験してきました。このすり合わせと、これまで積み重ねてきた知恵が、日本のものづくりの強さを支えているという実感を持っています。 「3D CADがあるのになぜ手書きなのか」とよく聞かれるのですが、3D CADが力を発揮する前の、まだ形の定まっていないアイデアを考えたり、どのように良くしていくのか議論したりする段階では、誰もが直感的に使える手書きが非常に強いのです。例えば打ち合わせの場面で「ここをどうするか」を決めるための可視化手段としては、素早く考えを共有できる手書きに勝るものはありません。「自分の考えを、素早く、わかりやすく伝えるための手助けをする道具でありたい」という思いは、開発当初から変わっていません。 その思いを具現化するために実装したのが、リアルタイムでの手書き共同編集機能です。 専用アプリを持っていなくてもURL一つでブラウザから参加でき、PDFを取り込んで複数人で同時に書き込めます。レイヤー機能を使えば、人や用途ごとに書き込みを分けて表示でき、複数の意見を比較しながら検討できます。 製造業の現場では、立場の異なる人たちがホワイトボードを囲み、率直に議論を重ねる「ワイガヤ」や「すり合わせ」が大切にされてきました。それをオンライン上で可能にすることが『BuddyBoard』のコアな思想です。関わる人たちが切磋琢磨し、製品づくりに携わった人たちが、“自分の作品だ”と誇れるような領域へと押し上げる。そんなプラットフォームを目指して開発しています。

機械設計エンジニアから起業家へ転身し、『BuddyBoard』を開発した経緯をお話しください。

私は「世の中に価値を作り出したい」という思いでエンジニアを志し、大学院で機械工学を専攻した後、ブラザー工業に入社し約10年間、カラーレーザープリンターの機構設計などに携わりました。 ビジネスに関心を持ち始めたのは、プリンターの製品開発で任される範囲が広がってきた際に、製品単体ではなく事業全体を設計したいと感じたことがきっかけです。そこで、より広い視野を持つためにビジネススクールに通いMBAを取得しました。その学びを通じて、「モノの設計」から「ビジネスの設計」へと興味のフィールドが広がりました。 『BuddyBoard』の着想は、私自身のエンジニアとしての日常的な課題意識から生まれました。設計の仕事をしていると、寝る前などふとした瞬間にアイデアが浮かぶことが多く、いつも手書きのアイデア帳に書き留めていました。また、日々の打ち合わせでも手元の紙やホワイトボードにポンチ絵を描いて「ここをこうしよう」と議論を重ねていました。ビジネスシーンにおいて、手書きは有効な手段であり、デジタルの力でより良くできるのではないか。そう考えたことが開発の出発点です。 ちょうどその頃、社内で立ち上がったのが新規事業創出プログラム「BAtON(バトン)」です。私はそれまでに温めていたアイデアを応募し、第1号案件として採択されました。前例のない仕組みだったため、プロジェクトが成功するか、あるいは自分自身のキャリアがどうなるかという不安がゼロだったわけではありません。しかし、それ以上に「やってみたい」という強い思いが勝りました。自分が立ち上げたプロジェクトに責任を持ち、集中して挑戦できる環境に、大きな面白さを感じました。

製品化に向けた最大のターニングポイントをお話しください。

プロジェクト立ち上げ当初は、私自身がソフトウェアを自作できないこともあり、社内のエンジニアの協力を得ながらプロトタイプ作りを続けると同時に、市場調査やヒアリングを重ねて「こんな企画はどうですか」と提案する日々でした。しかし、なかなか相手に響かず、方向性を変えながら模索を続けるものの、事業化の壁を乗り越えられない時期が長く続きました。それは協力してくれたエンジニアたちの力不足では決してなく、事業の方向性を定めきれなかった私自身の力不足によるものだったと思います。 そんな中、大きな転機となったのが、現在のCTOである工藤の参画です。社内のネットワークを通じて出会った彼は、直前までWeb会議システムの開発に携わっており、リアルタイム共同編集や同期に関する技術検討を続けていました。工藤が加わったことで、それまで協力してくれていたエンジニアたちの技術力と工藤の知見・技術力が掛け合わさり、プロトタイプの完成度は一気に高まりました。 その結果、実際に動くプロトタイプを作り上げたことで、事態は一変しました。企画書だけでは十分に伝わらなかった価値が、動くプロトタイプを見せることで一気に具体化され、役員からも「面白い」という反応を得られるようになりました。 単なる企画ではなく、動くものを通じて価値を証明できたこと。そして、工藤をはじめ、それ以前から関わってくれていたエンジニアたちと一緒に思いを形にできたことが、製品化に向けた最大の突破口になりました。

『BuddyBoard AI』のβ版もリリースされました。これまで製品開発やチーム作りを進められた要因と、今後の展開についてお聞かせください。

製品開発を前進させるうえで重要なのは、自分たちのプロダクトに対するプライドと責任感だと考えています。ただ仕事として与えられた仕様の開発をこなすだけでなく、ユーザーにとって本当に良いものになるまで細部を考え抜けるかどうかが肝心です。 私もそうでしたが、技術者の中には、自分の技術やアイデアをもっと製品に反映したいと感じている人も少なくないと思います。私は、そうした思いを持つ技術者が力を発揮できる場を作りたいと考えてきました。私自身、そうした情熱を持ったメンバーに声をかけてきましたし、集まった仲間が細部までこだわり抜いて開発していることが、お客様からの高い評価に繋がっているのだと思います。展示会などでエンドユーザー様から直接生の声を聞くと、自分たちの仕事が誰にどう届いているかを実感でき、製品に対する責任感や愛着が一段と強くなります。 『BuddyBoard AI』のリリース以降、ありがたいことに、これまで以上に多くの引き合いをいただくとともに、より高度な要求もいただくようになりました。そうした現場の具体的なニーズを、お客様とすり合わせながら具現化してくれるメンバーの確保が急務になっています。ナレッジプラットフォームとしての機能の充実や、海外拠点や海外パートナーと利用したいというお客様の要望に応えるためのグローバル対応も見据え、開発体制の拡充に取り組んでいるところです。

エンジニアが現在のBuddyBoardに参画する魅力ややりがいをお話しください。またどのようなエンジニアを求めていますか。

最大の魅力は、自社プロダクトの価値そのもので勝負し、その成果をユーザーの反応として直接受け取れること、そしてお客様と非常に近い距離で開発に臨めることです。 大規模な組織では、担当範囲が細分化され、自分の仕事とお客様の反応との距離が遠くなることで、自分が作っているものが本当にお客様の役に立っているのか、実感しにくいことがあります。しかし当社では、エンジニアもお客様との面談や展示会に積極的に参加し、ダイレクトな反応を得ることができます。エンドユーザーの生の声を聞きながら、圧倒的な“手触り感”を持って開発できる環境です。 また、現在は毎日数千人に利用されていますが、将来的には数万人、数十万人が利用するサービスを目指しています。その成長フェーズで、アーキテクチャや仕様の根幹から関われることも醍醐味の1つだと考えています。ブラザー工業で培った技術や事業基盤を引き継ぎつつ、スタートアップならではの大きな裁量を持って、大胆に挑戦ができる点も、エンジニアにとっては大きな魅力の1つでしょう。 求めているのは、何よりも“誠実さ”と、自分の仕事に対する“プロフェッショナル”な姿勢を持つ人材です。多様な専門性を持つ人が、立場に関係なく率直に議論することで、プロダクトをより良くしていくことができるはずです。 私自身、ゼロからの事業立ち上げにおいて、本当に多くの方々に応援していただきました。だからこそ、私自身が挑戦を続けることで、これから新たな一歩を踏み出したい方の背中を少しでも押せればと思っています。私たちが生み出すものにプライドを持ち、共に世界に通じる“作品”を作り上げてくれる方のご応募を、心よりお待ちしています。

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