「おもてなし分析」という考え方は、どこから生まれたのでしょうか?
私自身、もともとは数字を見る仕事をしてきました。 生命保険会社、投資顧問会社、ヘッジファンドなどで、企業業績や株価を見ながら、投資判断に関わる仕事をしていました。数字はとても重要です。数字には、会社の状態や事業の強さが表れます。 ただ、その一方で強く感じていたことがあります。 数字だけを見ても、本質は見えない。 なぜその数字になったのか。 その会社は何で勝っているのか。 経営者は何を考えているのか。 現場では何が起きているのか。 そこまで深く聞きにいかないと、数字の意味はわかりません。 投資の世界には、頭の良い人も、英語ができる人も、情報をたくさん持っている人もたくさんいました。けれど、肝心なところを聞かない。わかったつもりで判断してしまう。そういう場面を見て「数字だけで判断して、背景を見にいかないのは違うのではないか」と感じることがありました。 分析も同じです。 データを出すだけなら、これからはAIにもできます。 でも、その数字の裏にある事情を読み取ること。 顧客自身もまだ言葉にできていないニーズを汲み取ること。 合理だけでなく、情理もふまえて意思決定を支えること。 そこまでやって、はじめて分析がビジネスの役に立つ。 分析屋が掲げている「おもてなし分析」は、単なる親切や気配りではありません。 数字の裏側にある人間らしさまで見にいく、私たちなりの分析の姿勢です。
分析屋で大切にしている人材像はありますか?
大切にしているのは、相手の背景に興味を持てる人です。 先端IT領域の仕事は、システム開発よりも要件を明確に固めることが難しい場面が多くあります。システム開発でさえ、要件を固めたつもりでも認識のズレは起こります。データ分析、AI、BI、データ基盤の領域では、顧客自身も「何を見ればよいのか」「何を判断したいのか」を最初から言語化できていないことがよくあります。 だからこそ、技術だけでは進みません。 担当者が何に困っているのか。 その背景に、どんな組織事情があるのか。 関係者は何を不安に思っているのか。 本当に動かしたい意思決定は何なのか。 そこまで見にいける人が、分析屋では伸びると思っています。 これは面接でも同じです。 分析屋では、求職者の経歴やスキルだけでなく、「なぜそう考えたのか」「なぜその選択をしたのか」をよく聞きます。きれいな答えを試したいわけではなく、その人の背景や価値観を理解したいからです。 こちらが質問する意図も、できるだけ説明するようにしているので面接特有の人を試すような空気感はないですね。 先端IT領域は、エンジニアリングの仕事でありながら、かなりビジネス寄りの仕事でもあります。 相手の背景を読む。 曖昧な要望を整理する。 技術をどう使えば前に進むのかを考える。 そういう力を持っている人に、分析屋は合うと思います。
AI時代に、分析屋は何を大切にしていきたいですか?
AIによって、できることはこれから大きく広がっていくと思います。 調べる。 作る。 整える。 分析する。 効率化する。 そうした作業の多くは、AIによって速く、便利になっていくはずです。 ただ、それでも最後に大切になるのは、「何をしたいのか」を決める人の意思だと思っています。 たとえば、ある施策の成功確率が20%だとします。 普通に考えれば、80%は失敗するので「やらない」と判断するかもしれません。 でも、その領域に深い知見がある人なら、20%もあれば十分に挑戦する価値がある、と判断することもあります。 数字だけで見れば同じ20%です。 でも、意思決定は同じにはなりません。 そこには、その人の経験や知見、覚悟、やりたいこと、事業への思いが入っているからです。 AIやデータは、判断材料を出すことはできます。 でも、その材料をどう受け取り、何を選ぶのか。 そこには、まだ人間らしさが残ります。 分析屋がやりたいのは、数字で人を縛ることではありません。 データやAIを使いながら、顧客が本当にやりたいことを整理し、納得して意思決定できる状態をつくることです。 「数字上はこうです」で終わらせるのではなく、 「それを踏まえて、どうしたいのか」まで一緒に考える。 AI時代だからこそ、こうした伴走の価値はより高まっていくと思っています。
溝口大作プロフィール
慶應義塾大学商学部卒業後、生命保険会社、投資顧問会社、ヘッジファンドなどで企業業績の定量・定性分析、株価分析、顧客向け報告書作成などに従事。その後、人材会社で新規事業企画や営業、経営企画を経験し、2015年に分析屋へ入社。ライフサイエンス部門、営業、新規事業、管理部門、マーケティング、経営企画などを経て、2020年に代表取締役社長へ就任。
