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インタビュー画像代表取締役 CEO・岡田 一輝氏 2003年生まれ。愛知県豊橋市出身。2019年、愛知県にある工業高等専門学校入学。情報工学を学ぶ。3年時に1年間カナダへ留学。帰国後、同校発スタートアップの創業に参画し営業部長として法人営業を経験。一方で、同級生と介護記録アプリ『ながらかいご』のプロトタイプを開発。以降積極的にビジコンへ出場し、六つの大会で優勝。2025年7月、株式会社NAGARA設立。資金調達と並行し介護現場でテスト運用を重ね、2026年2月より有償サービスとして提供開始。

開発を進めようとしている「決定版介護ソフト」についてお話しください。

現在当社は、介護記録アプリ『ながらかいご』という現場対応のプロダクトを提供しています。これは、これから開発を進める「決定版介護ソフト」の一部です。 現在介護事業所と呼ばれる事業所は、日本に22万以上存在しています。事業所の形態は様々で、老人ホームからデイサービス、ヘルパーステーション、訪問介護等、多岐にわたります。現在、私達は入所型と呼ばれる老人ホームを中心に『ながらかいご』を展開していますが、今後はその種類を増やして最終的に全事業所形態を網羅していく計画です。 同時に、業務領域も拡大していきます。介護には、介護士、看護師、医師等、様々な職種の方々が関わっており、それぞれの業務は異なります。利用者の方々と直接接する業務もあれば、バックオフィスの事務作業に携わる事務員の方々もいらっしゃいます。そういった各介護事業所で行われる業務も全て網羅していく。つまり、事業所という横軸、業務領域という縦軸の二軸で介護業界全体のイノベーションを実現するプロダクトが「決定版介護ソフト」です。 介護ソフトという領域においては後発ですが、業務をベースに最新の技術とUIを駆使して開発した『ながらかいご』は、先行する競合他社にはない優位性が、外部の方々からも認められ、高く評価されています。実際にご利用になられた現場の方からもご好評を頂いています。現在は、導入しやすい介護記録アプリでシェアを広げつつ、並行して「決定版介護ソフト」の開発を進めようとしている段階です。

どのようなスケジュールで開発を進める計画ですか。

「決定版介護ソフト」の開発を進める上で当社が指向しているのは“コンパウンドSaaS”です。“コンパウンド”は日本語で“統合”という意味です。“マルチプロダクト”といって、1社で複数のプロダクトを展開する会社もありますが、当社は最初から全てのプロダクトを統合して提供することを念頭に開発スケジュールを組んでいます。 開発の進め方としては、介護領域全事業所における全業務の理解と、帳票類、データの種類といった業界全体を理解することに集中します。今後1年間ぐらいでドメイン全体を完全に把握し、スクラムで開発を進めていく計画です。 このような開発スタイルを取る理由は、手戻りをなくすためです。一度作ったものに後から問題が見つかると、後から改修するのが大変です。事業所の形態や業務が多種多様に存在する中で、事業形態全てに共通する業務があるのか、事業所特有の業務はないのか、後発だからこそ全てを把握した上で挑みたいと考えています。 先行するプロダクトは、介護保険法が施行された2000年に開発されたオンプレミス型のシステムを、なんとかクラウドに移して運用している状態です。法対応もしながら、プロダクトの運用保守もしなければならない中で、ゼロから作り直すことも難しいという状況です。それに対し、私達は最初からAIネイティブの設計をして開発を進められます。そういう意味でも、後発ながら独自の優位性があると考えています。

高専在学中にカナダへ1年間留学されています。カナダではどんなことを学びましたか。

カナダに留学した目的は、異文化交流を通して、自分の価値観を広げたかったからです。世界で一番移民が多いカナダで、全世界を知ってやろうと思いました。また、高校3年生の年でしたので、一旦コンピューターから離れて、一般の高校に通いながら、文系理系問わず様々な勉強をしました。 この1年間で学んだことは、「挑戦したらなんとかなる」ということです。自分の中では一番大きな経験でした。その経験があったからこそ、帰国後、起業活動をはじめ、在学中に起業するまでに至ったと思っています。 起業家を目指す一因となったのもカナダでの経験です。高齢者の方々がデジタルを使いこなしていることにびっくりしました。カナダでお世話になった60代のホストファミリーの方々は、デジタルを活用してアクティブに生活をされていました。もちろん個人差はありますが、年代やアイデンティティーを問わず、平均値は高いと感じました。 その経験を経て帰国したら、私の祖父が要介護になっていました。ふさぎ込みがちな祖父を見て、なんとかしたいと思って中古のゲーム機をプレゼントしたところ、ゴルフや釣りのゲームを楽しんで元気になってくれるという経験をしたのです。スマートフォンやコンピューターは使いこなせなくても、このような“優しいデジタル”なら壁を超えられる。その成功体験を得られたことが、社会のデジタル格差をなくす、特に私達にはない経験と知恵を持つ高齢者の方々にデジタルを届けるという方向性が決まりました。 私達が開発するシステムを介護の現場で使っていただき、当たり前になれば、日本の介護が本来目指している「自分らしく生きるサポート」ができるようになります。制度からではなく、我々の技術で、介護の現場から、世界に誇れる日本の介護を取り戻したいと考えています。

株式会社NAGARAが目指す介護OSについてお話しください。

介護OSは、「決定版介護ソフト」と同義です。現在、私達はMicrosoftやGoogle、あるいはAppleが提供するシステムをベースに仕事をしています。それらの上で仕事をすることが当たり前で、その中でどうするかを考えていて、それがなければ仕事ができません。当社が目指す「決定版介護ソフト」も、それを導入することで、介護現場の人手不足が解消され、自然に本来の目的である介護が実現する。そういった運用体験を提供するという意味で「決定版介護ソフト=介護OS」という呼び方をしています。 元々日本の介護は世界各国から、お手本として注目されています。しかし、それを模倣しようとしても簡単にはできません。そこで、このシステムを導入すれば自然と理想的なサービスが届けられるようになる。自動的に日本の介護現場と同じ運用に引っ張っていかれる。そんなOSを目指しています。私達は、日本の介護を世界に届ける会社になっていきたいというのが、長期的なゴールでもあります。 「決定版介護ソフト」が完成するまでのスケジュールは明確には言えませんが、少なくとも日本一速いスピードで成長を遂げたいと考えています。「決定版介護ソフト」を完成させた後は、IPOをして社会的に認められた存在としてシェアを拡大し、「介護といえば『ながらかいご』だね」と言われ、さらに法制度にまで影響を及ぼせるような存在になりたいと考えています。さらに介護領域で目的を達成した後は、保育や医療、福祉、美容、スポーツ等の近隣領域にゼロから挑み、「人と人のつながりを最大にする」「やりたいことに専念できる社会」といったミッション・ビジョンに沿って、事業領域を拡大したいと考えています。

NAGARAにおけるAIの活用状況についてお話しください。

まず開発業務においては、AIを使いこなしています。開発チームはClaude Codeを全面的に活用し、スクラム開発で学び続けながら、改善し続けるという手法を採っています。人間とAIが共同で成果を出すということを重視した開発手法と言えるでしょう。 また、プロダクトの面で言えば、AIの領域は「AIを生み出す層」「AIを組み込む層」「AIを使う層」に分類できますが、当社は「AIを組み込む層」に該当します。既存のAnthropic社やOpenAI社が開発するAIの技術をいかに現場の方が使いやすいようにするかという調整をかけたり、体験を作ったりといった組み込みを行い、社会に届けることを大切にしています。したがって、世の中に存在する技術を積極的にキャッチアップして、プロダクトを作っていく能力は非常に大事ではないかと思っています。 このような会社なので、社内のコミュニケーションにおいては、頻繁にAIの話題で盛り上がります。私自身、業務と関係なくAIツールを試すことが半ば日常になっています。エンジニア、営業、コーポレート等、職種を問わず、AIを活用することに抵抗がなく、いかにすれば有効に使いこなせるのか、いかにプロダクトに組み込めるのか、ということに積極的にチャレンジできる方には向いている職場だと思います。

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