代表取締役社長　田中 伸明氏

ご略歴をお教えください。

2000年に大学を卒業後、歯科クリニック向けパッケージソフトのベンダーに入社しました。ところが、半年後に倒産してしまったのです。そこで急遽別の会社に入り直したのですが、翌年1月頃に当社の創業社長であった父親から入社を勧められました。4月に新卒が入るタイミングに合わせれば、第二新卒として馴染みやすいだろうと配慮してくれたわけです。 それまで、父親の会社に入って、さらに経営を承継することは考えたこともありませんでした。当社同様、大手技術者派遣会社のエンジニアをしていた父親は、私が幼少の頃から単身赴任が続いていて週末しか顔を合わせませんでしたし、家では非常に厳格で近寄り難い存在でした。いつしか、自分の道は自分で見つけると思っていたのです。ところが、勤務先の倒産というアクシデントが自分を当社に引き寄せることになったと受け止めています。 自宅は岐阜にあったので、当社の名古屋営業所に配属され、8年ほど営業を手掛けます。その後、いろいろと業務を経験したいと横浜の本社で経営企画の業務に就き、途中で子会社役員を4年程度挟んで、営業を統括する業務を手掛けました。そして、2022年6月の株主総会でNo.2である専務取締役に就任しました。 2023年の株主総会後、父親から「来年の総会で、社長に就任してほしい」と言われ、意識し始めたところ、その年の8月2日に父親が急病で亡くなってしまったのです。前日まで元気に仕事をしていたので、信じられない思いでした。そこで急遽、8日に私が社長に就任したという経緯です。

株式会社ヒップをどんな会社にしていきたいと考えていますか？

実は、生前の父親から、当社の創業の思いや、この会社はなぜ存在しているのかといったことを、1対1でじっくり聞く機会はありませんでした。ですから、まずはそれを考えるところから始めたのです。創業当時を共にした先輩に会って話を聞き、経営理念や社訓等を何度も読み直して腹落ちさせました。 そして、受け継ぐべきものと改めるべきものに分け、そのことについての方針を決めて全社員に話しました。 受け継ぐべきものは、経営理念や社訓等の当社の根幹です。改めるべきものとしては、例えば教育体制がありました。それまで新卒を採用し、現場で業務に就くためのプログラミング言語等の基礎知識を教えるといったことをもっぱら行っていたのですが、もっとやるべきことがあるだろうと思いました。これから40年、45年と仕事をしていく最初のタイミングは一生に一度しかありません。そのタイミングに、目の前の業務に向けた実践教育だけでいいのかと思ったのです。社会人として必要な知識やマインドも教えるべきと考え、カリキュラムを見直しました。講師も、それまではお客様のメーカーで活躍したエンジニアのOB等にお願いしていたのですが、せっかくなら当社のエース級の社員にナマの教育をしてもらった方がいいと思い、そう変えたのです。 当社には、“キャリア形成支援企業”という側面があると標榜しています。そのために、あえて設計領域に特化したサービスを手掛け、社員はどこでも通用するレベルのスキルを身に付けてもらっているのです。こうした人づくりを通じて、個々の社員が自分は何者であるのかを自覚し、自信を持って自らの道を追求できる存在になってほしいと考えています。 今、多くの大手企業が経営改革のために希望退職を募っています。ビジネスパーソンは、リストラに遭っても、どこでも働ける能力を身に付ける必要があります。当社は、そんな人材を育成する業界唯一の存在であると自負しています。

そのために社員に対して期待することや、どう活躍してほしいかといった思いをお聞かせください。

プロフェッショナルとして仕事をしてほしいと思っています。実務では経験不足でも、責任持ってやり遂げるといった取り組む姿勢においては、誰でもプロ意識を持てるはずです。そして、最良の結果を求めて最大限の努力をする。これこそがプロフェッショナルだと思います。 当社では、約800名のエンジニアが、約200社のお客様の現場でベストを尽くしてくれています。その全員に、生涯活躍し続けてもらうことが経営のテーマです。会社として最大限のバックアップは惜しみませんが、個々として努力し、自信を持って第一線で活躍し続けて人生を充実させてほしいと願っています。 なお、当社の社員は定年後も延長で働き続けてくださる人が少なくありませんが、その後、自分の引き際は自分で判断してリタイアされるのです。選択肢は自分が持つ。これが人生を充実させる条件ではないでしょうか。 当社では、第二新卒として未経験から、あるいは経験者として設計を手掛けるエンジニアを募集しています。人材育成への投資を一生懸命行っていますので、少しでも興味があればぜひご応募ください！

田中社長の仕事観をお聞かせください。

経営者として、社員が輝き続けるために何ができるかを常に追い求めています。もちろん、不足していることが沢山あると感じていますが、何をどう補っていくかを考え、行動する。人に会ったり、本を読んだり、いろいろな場所に出掛けて刺激を受ける。そんな使命感に突き動かされてのことが、自分の仕事であると感じています。

オフタイムは、どういった過ごし方をしているのでしょうか？

十数年前に神奈川県の茅ヶ崎に転居してから、せっかくだからと近くの湘南海岸でサーフィンを始めました。もちろん、競技等を目指すわけではなく、遊びでです。実家が岐阜の山の中にあり、海に憧れがあったことが背景にあります。それと、バイクでのツーリングも楽しんでいます。 また、家の近くで畑を一区画借りて家庭菜園もやっています。季節ごとに作物を変えているのですが、冬の今はダイコンやルッコラを栽培しています。これを始めてから、天気を気にするようになりましたね。そして、大きく育てて収穫することに喜びを感じているところです。