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インタビュー画像取締役社長 中崎 杏美氏 創業者より社内改革の推進を託された取締役社長。アパレル業界、人材紹介会社でのキャリアカウンセラー、事業会社の人事等を経て、労務の仕事へ。株式会社さすがやには労務担当として入社。社員の離職理由や組織の課題を分析し、人に関わる領域を一貫して見直す改革を提案。その実行を担う中で、取締役社長への就任を打診された。現在は、創業者の佐藤貴夫氏と役割を分担しながら、第二創業期の組織づくりを進めている。

労務の仕事に、なぜそこまで面白さを感じたのですか?

最初から人事や労務を目指していたわけではありません。卒業して初めて正社員としてはたらいた会社ではアパレルのOEMメーカーに入り、営業や企画、商品の仕入れ、出荷まで幅広く経験しました。その後、人材紹介会社でキャリアカウンセラーを務め、事業会社の人事へ移りました。労務を担当するようになったのは、その後です。最初は、自分に一番向いていない仕事だと思っていました。でも、やってみると面白かったんです。 例えば勤怠を見ていると、それまで遅刻しなかった人が急に遅刻するようになる。評価を集計すると、以前は評価が高かった人の数字が下がっている。気になって話を聞くと、体調やメンタル、人間関係等、表には出ていなかった事情が見えてくることがあります。労務には、社員の変化がデータとして集まってきます。規程を作る時も「なぜこのルールが必要なのか」「なぜこの法律を守らなければならないのか」と背景を考えるのが好きでした。 私は、人そのものにすごく興味があるんだと思います。同じ人は一人もいません。少し変な例えですが、ポケモン図鑑みたいな感覚。いろいろな人に会うたびに、「こういう人もいるんだ」と知ること自体が面白い。人の行動を見て、その背景を考える。数字だけでは見えないものを探す。振り返ると、そういう仕事の仕方が、今の経営にも繋がっていると思います。

取締役社長になって、仕事の仕方は変わりましたか?

自分では新しいことを始めた感覚はあまりありません。社長になる前に、会社の課題を分析して、「こう変えた方がいい」という改革案を創業者の佐藤へプレゼンしました。私はそれを人事部長として実行するつもりだったんです。「新しい組織体制を考えてほしい」と言われた時も、自分の名前は人事部長のところに書いていました。 その後、佐藤から突然LINEで「中崎さんはどう?」と連絡が来て、何の話かと思ったら、「取締役社長をやってほしい」という話でした。 社長になったことで進めやすくなったことはあります。人事部長では決められなかったことも、経営者として判断できるようになりました。でも、社長だから自分の考えを何でも通していいとは思っていません。私が出した案も、ボードメンバーから「ここが足りない」と言われれば持ち帰ります。社員にも、役職が上だからと遠慮せず、「それは違うと思います」と言ってほしい。私自身、上司にずっと率直に意見を言ってきたタイプなので。 佐藤と私も、かなり考え方が違います。佐藤は前へ出て事業を広げる人で、私はまずリスクや組織を見る。佐藤が「行こう」と言えば、私が「そこは危なくないですか」と言うし、私が慎重になりすぎれば、「もっと大胆にやろう」と言われます。佐藤が先頭から引っ張る人なら、私は後ろから全体を見て、遅れている人のお尻をたたいたり、「その道は危ないですよ」と声をかけたりする方が得意です。

人や組織の問題に向き合う時、大切にしていることはありますか?

できるだけ自分自身にある原因を探すようにしています。何か上手くいかなかった時に、「あの人が悪い」「あの人がこうしてくれなかった」と考えても、相手を思い通りに変えることはできません。 例えば、自分の言葉が相手に伝わらなかったのであれば、「理解してくれない」と考えるより、自分の伝え方に問題はなかったかを考える。最初に自責で考えるようになると、自分が変えられることが見つかります。他人を変えようとすること自体、少しおこがましいとも思っています。これは、社員に何でも我慢してもらうという話ではありません。会社側にも、変えなければならないことがあります。人が育たないのであれば、本人だけの問題にせず、教育の仕方や評価、仕事を任せる側にも原因がないかを見る。 私自身、人から認めてもらうことも、あまり求めすぎないようにしています。「こんなに頑張ったのに、どうして褒めてくれないんだろう」と考えている時間がもったいない。自分が頑張ったと思えば、自分で自分を褒めればいいんです。仕事は、最終的には自分のためにするものだと思っています。自分が成長するため、自分のハッピーのために仕事をする。だから会社も、社員へ一方的に何かを求めるのではなく、会社として変えられることを考える。社員にも、自分で変えられることを考えてほしい。その両方が必要だと思っています。

地方を重視する経営の中で、「東北六大祭り」に協賛したのはなぜですか?

個人的に「祭り」が好きなんですよ。私は静岡県浜松市の出身で「浜松まつり」と一緒に育ったようなところがあります。祖父が浜松市役所で観光に関わる仕事をしていて、祭りや地域について、ずっと話を聞いて育ちました。当社は地方で成長してきた会社です。会社だけが豊かになるのではなく、地域との関係の中で成長していきたいという考えは、私自身の原体験ともかなり重なっています。 浜松まつりは、浜松の人々の生活に密着しています。祭りの当日、朝は凧を揚げて、昼は御殿屋台、夜は街中をみんなが練り歩く。朝から夜まで街全体がお祭りなんです。私も小さい頃からずっと参加していて、5月が近付くと、今でも頭の中で祭りの音が鳴っています。今も浜松まつりの日には、帰省して参加しています。来年は「さすがや」の名前を入れた凧を揚げたいと思っているんです。本来は子供の誕生を祝って揚げる凧なのですが、私にとって「さすがや」は養子みたいなもの。血は繋がっていないけれど、任された以上は頑張って育てなきゃいけない。 好きだったのは、祭りの時は役職や社会的な地位が関係なくなることです。同じ衣装を着て、みんなが横並びになって、一つのことへ向かう。子供の頃から、それがすごくいいなと思っていました。会社でも、新しい体制になった時に「繋がり」を一つのテーマにしました。一緒に働く社員との繋がり、お客様との繋がり、店舗を置かせてもらっている地域との繋がり、その先にある社会との繋がりです。 私は自分の成長のために地元を離れましたが、地元を捨てた感覚はありません。外で得たものを、また地方へ返していく。会社を通じて、そんな循環もつくれたら意味があると思っています。

第二創業期の株式会社さすがやで、一緒に働きたいのはどんな人ですか?

得意なことも、物事へのアプローチも違っていい。とはいえ、会社がどこへ向かうのか、何を大切にするのかは共有したい。私は「思考だけは一緒がいい」と話しています。個性は違っていた方がいいと思っています。むしろ、率直に物を言う私と同じタイプの人が十人いたら、たぶん大変なことになるでしょう。 今の当社は、全ての仕組みが完成している会社ではありません。仕事をしていれば、「これがない」「ここも整っていない」と気付くことがあると思います。そこで、誰かが用意してくれるのを待つのではなく、「では、どう作ろうか」と考えられる人に来てほしいですね。 特に今は、AIを使えば、それらしい答えやきれいな資料は簡単に作れます。私自身、情報を集めたり、エビデンスを整理したりする時にはAIを使います。でも、AIが作った資料は、綺麗だけど浅い。なぜ、この施策をやるのか。なぜ、この順番なのか。質問された時に、自分の言葉で答えられるだけの背景やストーリーを持っているか。私は、自分がプレゼンする時には、どこを質問されても答えられるくらいまで練ってから挑むようにしています。 第二創業期の今は、まだ会社をつくっている途中です。整っていない部分を欠点として見るのではなく、「ここを自分がつくれる」と思える人にとっては、面白い時期だと思います。自分の専門性と、自分の頭を使って、次のさすがやを一緒につくる。その担い手になってくれる人と働きたいですね。

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