これまでのご略歴をお聞かせください。
中国出身で6歳の時に親とともに初めて来日し、その後高校卒業まで中国で過ごしました。友人の多くが欧米の大学に留学する中、私はアニメや漫画といった日本のカルチャーが好きだったので日本に留学することにしたのです。東京都にある大学の法学部に進学し、卒業後は証券会社に入社しました。 2012年当時、中国では今をときめくスタートアップの起業が爆発的に増えていて、どんなビジネスが成功するかに関心がありました。一方で自分には武器がないと思ったのです。そこでいろいろな経営者に会って勉強したいと投資銀行業務を選んだという経緯です。 証券会社では主幹事を務めたHR事業などを手掛ける会社のIPO支援を担当しました。そこでHR事業などを手掛ける会社のビジネスモデルが面白いと感じたのです。一方で外国人の自分には日本人向けの同社のサービスが使いづらい面がありました。そこからふと外国人が使いやすいライフイベントサービスがつくれないかと思ったのです。 少子高齢化が進み人材不足が深刻化していく日本では今後ますます外国からの人材を受け入れなければならなくなります。そこで増えゆく「外国人材版のリクルート」を目指そうと思い立ち独立して2016年6月、26歳で当社を創業しました。 最初は日本への留学を希望する中華圏の学生向けeラーニングサービス『Linc Study』からスタートしました。私自身受験科目を語学学校だけで勉強することができず独学で学ばざるを得ませんでした。これがとても大変だったので後進のために支援する環境をつくろうと思ったことが動機です。『Linc Study』は800校ある日本の語学学校に向けて提供し始めました。 ところがコロナ禍となって留学そのものができなくなってしまい事業が根本から崩れてしまいました。必死にピボットを考え人手不足が顕著な建設や物流、介護、外食といった業種で就労する特定技能としての外国人材が増えることに着目したのです。するとすでに日本で暮らしている外国人材は就業で悩んでいる一方で事業者側は在留資格を持つ外国人材を受け入れる手続きに膨大な手間がかかっていることが分かりました。そこでこうした課題を解消すべく『Global Hub』の開発を思い立ち2024年にリリースしたという経緯です。
株式会社Lincをどんな会社にしていきたいと考えていますか?
東洋的な会社をつくりたいと思っています。西洋には、力でねじ伏せた者が勝つという考え方が主流である一方、東洋には「孫子の兵法」として知られる「戦わずして勝つ」という考え方があります。つまり、敵をつくらないこと。敵であっても使いたくなるようなサービスをつくるということです。 そもそも私は、日々競合し合うようなプレーヤーになりたいわけではなく、全員で問題解決に取り組んでいけるようなプラットフォームを提供したいと考えています。そうすれば、負けることはありません。 したがって、組織運営においても「和」を大切にしていますし、正しく行うことを重視しています。
そのために社員に対して期待することや、どう活躍してほしいかといった思いをお聞かせください。
『Global Hub』は、ほかの誰も手掛けていないサービスであり、やってみなければ結果が分からない面があります。そこで、とにかく打席に立ってバットを振り、三振しても次につながるような「意味のある三振」をしようと呼び掛けています。そのためには、全員がオーナー意識を持ち、主体的に取り組んでほしいと思っています。各自がそれぞれの分野で活躍するとともに、周囲のメンバーも助けられる。そんな組織にしていってほしいと願っています。 また私は、メンバーが生涯当社で過ごすことが現実的ではないとも考えています。けれども、当社で働いたことが本人の資産となり、価値につながるような場所であるようにすることが、自分の務めであると自覚しています。メンバーが成長し、輝ける場所にできるよう、出会えた縁は大切にしたいですね。出会えたこと自体が、奇跡ではないかと思っていますので。 求職者の方に向けては、少子高齢化という国としての最大級の課題に対し、外国人材の採用という本道のソリューションをAI活用で提供する当社で、ぜひやりがいを持って仕事をしていただきたいと申し上げたいです。
仲代表の仕事観をお聞かせください。
自己実現の手段だと思います。この世に生きている限り、世の中に自分の足跡を残し、次世代につないでいくことが自分の仕事であり、自己実現だということです。 そもそも私は6歳の時に親に連れられて日本に来ました。親は日本で大変な苦労をしながら私を育ててくれたおかげで、やりたいことがやれている今の自分があります。 そんな私には、2026年に3歳になる息子がいます。彼が通う保育園には、外国籍などの多様なバックグラウンドを持つ子どもたちが集まっています。彼が18歳になる頃には、今よりも1,500万人ほど日本人が減り、ますます多様な人が社会を構成するようになるでしょう。 そんな時代に、外国人材が日本で豊かに暮らせるためのサービスを遺していく。そんな「未来への贈り物」を渡すことが、私にとっての自己実現だと思っています。
オフの時間はどのように過ごされていますか?
もっぱら息子と遊ぶことを楽しんでいます。やんちゃですが新しいことにどんどんチャレンジさせています。例えば自転車に乗ることなどです。先日は転んでけがをしてしまい家族に怒られましたがそれも良い経験だと思っています。それと絵本を読み聞かせて好奇心も育ててあげています。 自分一人の時間では考え事をしたり読書をしたり日進月歩で進む最先端のAIツールを触ったりと好奇心の赴くままインプットに費やしていますね。