地域の製造業活性化に強い関心を持ち、取り組んでおられるとのことですね。
1990年代後半から取り組んできた社内の体制作りも1つの節目を迎えましたので、この機会に、当社の工場敷地を提供し講師を招いて、地域の工員さんの技術向上を目的とした、特殊溶接の技術講習会を開始したところです。 当社の工場が立地する地域はもともと近代紡績工業の発祥の地ですが、近年は移転や、倒産・廃業して出来た工場の跡地に、新しいマンションが立ち始め、そこに移ってきた住民と操業を存続している工場の間で、騒音の問題などをめぐってトラブルが起こるなど、多くの問題を抱えています。 この地域は職住一体型の地域なので、30年前であれば住民同士顔が見える御付き合いをしており、製造業の現場にも透明性があって、自分達の町ではこのようなものを作っているのだという理解がありました。しかし、現在ではそのような関係性がなくなっていますので、製造業と地域住民との共生の場というものを考えていかなければなりません。 そのような状況で、私は兼ねてから、物づくりに関わる方が誇りを持って仕事を出来るよう、誰かが立ち上がって力を合わせて、地域の製造業を活性化出来ればと思っていました。当社の主催する技術講習会をきっかけとして、地域的な取り組みに拡げて行ければ嬉しいです。
創業100周年を迎えるにあたっての意気込みをお聞かせください。
およそ100年も事業を営んでいれば、様々な困難がやってくるし、瀕死の重症を負うこともあったと思います。しかし、その度に息を吹き返して事業を継続できたのは、お客様に守っていただいたり、反対に頼りにされたりといった持ちつ持たれつの関係があったから。それは、代々の経営者が、その時々において徳を積んできてくれたおかげです。 私自身が社長業に携わる中で、迷いや困難を乗る超えることが出来たのは、その度にそのような代々の経営者達であれば、どのような判断を下しただろうか?というところに立ち返って判断することが出来たからだと思います。 私は常々「誠意は必ず通じる」と思って仕事をしています。社員たちにも可能性を信じて諦めなければ必ず道は開けると言い続けて来た。私が社長を務めてきた10数年間にも、技術の継承の問題など様々な困難がありましたが、社員一人一人の可能性を信じて来ました。社員達もその期待に応え、現在では、全員が力を合わせて会社を盛り上げていこうという活力が全体に漲っています。 私にとっては社員が一番大事です。今後の夢は、みんなが生き生きと自分の持つ能力を最大限に発揮することが出来て、お客様から頼りにされる会社を作ることです。そして社員が当社の社員としてだけでなく、1人の人間としてどこへ行っても通用するように育って、進化・成長してもらいたい。
今後の事業展開に向け、どのような人材にどのような期待をしていますか?
現在、当社に勤務する社員は、“物づくりに対する夢”を持って入社してきた人材ばかりです。特に、1つの製品作りに最初から最後まで携われることにやりがいを求めて入社した人材が多い。 働きやすい職場、新たなことにチャレンジできる環境は経営者が意識すれば、出来ていくはず。当社は、普段関わっている流通ルートの性質上、エンドユーザーである装置メーカーの声にダイレクトに触れることが出来るため、そのニーズを拾って、新たな製品作りに反映させることがしやすい状況にあります。さらに、インターネットを通じて新たなネットワークが拡がって来たこともあり、やりたいことを実現しやすい環境を整備しています。 現在、その環境を生かし、社員一丸となって物づくりに取り組み始めているところですので、前向きで元気のある方、どんあことがあっても必ず道はあるという信念を持って仕事に取り組んでくれる方と一緒に、新しい「錨印」ブランドの創出に取り組んで行きたいと考えています。 性別、年齢を問わず、このような考え方に共感できる方に、私どもの話を聞きに来て欲しいですね。