「生涯雇用」の機会をつくり出す長期経営ビジョン
「ものづくり」に強い人材サービス企業として、設計・開発から生産、設備保全までのあらゆる工程・職種において、人材派遣、請負、人材紹介、紹介予定派遣などフルラインのサービスを展開している日研トータルソーシング株式会社。特に製造業への人材派遣に強みを発揮し、日本全国約2,800社(2020年4月現在)におよぶ顧客を有している。
そんな同社にあって、エンジニア事業部は、自動車はじめ家電・デジタル機器、工作機械・精密機械、航空機、半導体関連などの諸分野における機械部品や電子機器、回路、組込み・制御ソフトなどの設計・開発にかかわるエンジニアの派遣を手がけている。
同社は1981年、主に自動車部品メーカーの製造ラインの請負を手がける企業として創業された。以来、電気製品や機械などの産業分野への展開と、顧客の工場立地への拠点展開を進めて成長を図ってきた。現在、全国165箇所(2020年4月1日現在) に事業所や研修施設を設けている。
最近では、ものづくりだけでなく販売などのサービス職やオフィスワーク、介護・メディカル領域にも進出し多角化を図っている。
「製造現場だけでなく成長性の高いこうした領域も手がけることで、会社としての安定成長を期すというねらいと、社員のキャリアチェンジの可能性を広げるねらいもあります。当社の社員が、例えば60代になりエンジニアとしての就労が困難になったとしても、ほかの選択肢を多く用意しておくなど『生涯雇用』の機会をつくり出す長期経営ビジョンに向けた施策を進めています」とエンジニア事業部長の松村健一郎氏は説明する。
エンジニア事業部が設置されたのは2009年のこと。それまでは、全国の拠点がそれぞれ抱えているエンジニアを適宜派遣していたが、その前年にリーマン・ショックが生じてもエンジニアへのニーズが堅調であったことから、事業部を設けて本格的・戦略的に事業拡大を図ることにしたのである。
「エンジニアは付加価値が高いというメリットもありますので、この分野にも製造現場同様、力を入れていくことにしました」と松村氏は述懐する。
約2,800社という顧客基盤の広さと独自施設での人材教育が強み
同社エンジニア事業部の強みは、何といっても顧客基盤の広さだ。約2,800社(2020年4月現在)の顧客の製造現場に組立工などの派遣を行っているが、そうした顧客における製造プロセスの上流にあたる設計・開発工程にもエンジニアの派遣を提案できるからだ。
「逆に、お客様のほうから『設計エンジニアを派遣してほしい』と要請いただくことも多いです」と松村氏。その要因には、同社が派遣する人材の質の高さが挙げられる。
同社は全国12箇所に研修施設(テクノセンター、研修所)を開設し、ものづくりに精通した専任講師がスタッフに専門教育、人材育成を行っている。その内容は以下のとおり。
●総合技術研修
未経験の方でもゼロから学べる研修。元メーカーエンジニア講師により、メーカーと共同開発したカリキュラムを実施。機械工学の基礎(品質・材料・力学・測定・設計・統計・実験計画・)を中心に、これからの機械エンジニアとして活躍するための土台をしっかりと作っていく。
●3D CAD研修
3DCADツールの使用方法を中心に、工業力学基礎、Officeやビジネスマナーなどのビジネススキル研修を併せて行う。
「エンジニア派遣を手がける会社は、どこもエンジニアに不可欠な3DCADなどの研修を手がけていますが、生産技術分野の教育も行っているのは当社だけではないでしょうか。このため、設計開発分野と製造現場をつなぐ生産技術に明るいエンジニアを派遣できることで、お客様に喜ばれています」と松村氏は胸を張る。
いま、優秀なエンジニアは払底している状況であり、各メーカーの人材確保の危機感は高まる一方だ。
「なかなか要望にマッチする人材が確保できない状況が続いています。そうであるならば、素養のある未経験者に研修を施し、一から育てたほうがいいという企業が増え始めています。そういった共通理解のもとで新人を派遣したお客様からは、『即戦力ではないかもしれないが、外れた人材はいない』という評価をいただいています。また、技術は日々進化しており、新しいツールが随時登場する中、常にブラッシュアップは欠かせません。そういう意味でも、未経験者の応募は歓迎です」と松村氏は呼びかける。
モチベーションを高めるキャリアパス制度
日頃のマネジメントは、所属するグループの責任者やリーダーが担う。年2回の賞与査定の際に責任者やリーダーと面談する機会があり、社内だけでなく顧客からの評価も伝えられる。こうした機会は何よりのステップアップへの励みとなるだろう。
また、同社には社員の採用面接やキャリア相談などにかかわる「キャリアアドバイザー」が多数そろい、社員一人ひとりの将来のキャリアや仕事の悩みなどに対応している。これも社員が常にモチベーションを持って仕事に当たれる要因といえよう。
そんな同社が一番に求めるのは、前向きで明るく、素直な人材。
「技術やスキルは持っているに越したことはありませんが、入社後いくらでも学べます。それよりも、当社ではお客様と直接かかわる部分も大きいので、コミュニケーションを図れることが重要です。また、常に新しい技術を学び続ける素直さも必要ですね。そんな方の応募をお待ちしています」と松村氏は期待する。