「食料・水・環境」領域の新たな顧客価値創出・最大化へ
【高度化するグローバル課題に挑むクボタDX】 一般的にDXは、「企業がクラウドやビッグデータなどを利用して、新しい製品やサービス、ビジネスモデルを創出し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。関連するICT技術は飛躍的に進歩し、産業界に新たな可能性をもたらしています。 こうしたデジタル技術の進化と普及が広がる中で、クボタもまたデジタル技術を活用したさまざまなソリューションを生み出してきました。農業機械とICTを融合させた営農・サービス支援システム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」や自動運転農機、水環境分野におけるIoTを活用したサービス「KSIS(クボタスマートインフラストラクチャシステム)」であり、食料・水・環境分野における課題に対し、独自の技術力や製品・サービスを提供してきました。 しかし世界を取り巻く食料・水・環境の課題は、世界人口の増加や地球温暖化の深刻化などに伴い、今後さらに高度化・多様化していくことが予想されています。こうした地球規模で広がり続ける課題を解決することを使命とするクボタにとって、DXは必然だったといえます。 クボタは事業本部ごとに分かれていたIT部門を統合し、新たにG-ICT本部を設置。DX基盤を構築し、ビッグデータやAIなどの最先端技術を積極的に活用しながら、意思決定とアクションをスピードアップさせることで、顧客価値の新規創出と最大化を図っています。これが2025年にクボタの目指すDXの姿であり、マイクロソフトとの戦略的パートナーシップの締結は、その大きな一歩でした。 「クボタは、常にお客様視点でビジネスを行っています。ですから、どんなお客様がクボタの製品をどのように使っているかを把握することはとても大切です。たとえば、農機や建機の稼働情報、収穫された作物データなどをIoTでクラウドに集約し、可視化・分析ができるようになれば、よりお客様の課題に寄り添った新製品の開発につながるでしょう。また、お客様から寄せられるお問い合わせ情報と組み合わせれば、製品の品質問題に対してより迅速に対応できるようにもなると考えています」。 クラウドへのデータ集約には、従業員が行ってきた個別のデータ入力といった“作業”からの解放という側面もあります。これによって、業務プロセスはスリム化され、その分ひとつでも多くの新しいソリューション創出に注力できる時間が生まれることになります。 【AIの積極活用で新しい価値提供を目指して】 マイクロソフトには、これまでにさまざまな業種の企業と取り組んできたAIの活用ノウハウがあり、クボタには食料・水・環境分野において、事業を通じて課題解決に取り組んできた知見があります。両社の強みを高い次元で融合させることで、初めて大きなシナジー効果が生まれます。 「人にはできなくても、AIだからできることがあるはずです。たとえば、クボタには上水から下水まで水インフラを支える事業群を抱えており、多様かつ膨大なデータをAIが収集・分析して事業活動に紐づけることができれば、今まで以上に適切なソリューションを瞬時に提供できるようになるかもしれません」。 クボタでは、すでにAI活用によるイノベーション創出を目的とした「AI Machine Learning Labプロジェクト」を立ち上げ、取り組みが進められています。「そのひとつが、堺製造所で始まっているAIを使った画像診断プログラムです。これまで人が行っていた製品検査を、工場の生産ラインに配置したカメラ画像からリアルタイムにAIが解析し、自動検査するという取り組みです。もうひとつが、製品品質向上の取り組みです。クボタのディーラーに持ち込まれる修理依頼の内容を解析し、品質向上に役立つ情報をAIが短時間で提供できるところまで来ています。今後はさらに食料・水・環境分野における課題解決に直結する新しいAIの活用方法を考えていきたいですね」と、古谷さんはAI活用の今後の展望を語ってくださいました。