ご入社の経緯をお話しください。
入社のきっかけは、信託銀行に在籍していた時に、先代の社長(現代表取締役会長・中﨑博文氏)から誘われたことがきっかけです。将来的に事業承継をすることを前提に2014年に入社しました。 魅力に感じたことは、まず当時まだ30名弱の会社でしたが、特定の業界に特化してグローバルに事業を展開していたことです。また、日本が強みとする素材産業に関わっているため、将来性もあると思いました。 また、それらに加えて、財務内容がよいことも入社の後押しとなりました。過去に一度も赤字を計上していないこと、実質無借金経営を継続していることなど、企業体力の良さにも魅力を感じました。
輸出事業の販売先がインド中心とのこと。創業当時からインドが中心ですか。
最初からインドです。創業者の中﨑が、30年以上前にインドに狙いを定めました。 なぜインドかというと、世界最大の民主主義国家だからです。しかし30年以上前はまだ多くの企業が狙っていない市場でした。そこに目を付けました。弊社は金属業界の商社としては後発です。「鉄は国家なり」と言うぐらいですから、鉄の業界は古く、70年から100年以上の企業が多いのです。それに対して弊社はたった35年です。後発企業ができること、誰もやっていない商流狙うことが必要でした。国内の商流が全部取られているので貿易に軸足を置き、どこの地域をやるかとなった時に、中国やタイは既に誰もがやっていました。そこでインドに狙いを定めました。 当時、弊社に先立ち、40年前ぐらいからインドに進出していた自動車メーカーがありました。現在、インドでのシェア50%超を維持し、トップブランドとして認識されているメーカーです。そのメーカーがインドに進出したことで、インドでもJIS規格が使われるようになり、日本の素材が必要になっていきました。そこに弊社がマッチして、注文が増え、現在に至っています。 インドは現在、注目度が高まっている市場です。自動車市場は400万台で世界4位です。二輪も世界最大の市場と言われています。人口が増えているためGDPもまだまだ伸びていく。その市場に、弊社は30年以上前から進出し、主要な供給商社としての地位を確立しています。
ワイヤ・ケーブル業界の将来性についてお話しください。
現在日本が世界に勝てる産業は、素材産業だと言われています。サプライチェーンの下流側は、中国、韓国等の新興国が安価な製品を開発してきているので、競争優位性を出しにくいマーケットになっています。サプライチェーンの上流側は、まだまだ競争力が保てます。 元々弊社は、自動車と電化製品のバネになる素材を輸出していました。しかし、ここ最近は半導体と医療にシフトしています。例えば、半導体の領域では、検査装置に使われるピンがあります。ピンというのは、ワイヤをカットしたものです。また、医療ではおなかを開けずに手術する低侵襲治療が主流になってきていますが、そこで使われるカテーテルガイドワイヤや内視鏡ガイドワイヤ等が高付加価値ですし、日本が強い領域でもありますので、そういう素材を海外に輸出しています。 電化製品に使われるバネは、どちらかというとローエンドです。自動車も海外の安価な素材が出てきてしまって、残っているのはハイエンドの市場です。弊社が扱っているのはエンジンなどに使われる重要保安部品用の材料なので、EVに移行すれば縮小していく可能性が高いと言えます。自動車の市場が飛躍的に伸びているインドは、まだまだエンジン車が主流で、EVに移行するまで時間がかかりますが、10年後、15年後には変わっていくことを考えると、安泰ではありません。そうなる前に国内のワイヤーメーカーと一緒に用途開拓をしてきました。特に医療は承認が下りるまで5年から10年の期間がかかりますので、ようやく決まり始めて、売上も立ってきました。
IoT事業は飛永社長の発案ですか。
きっかけは当時の社長だった中﨑の発想です。それを私が具体化してきました。 2021年頃、ちょうど新聞でも「設備のIoT化」といった記事が連日のように出ていた時期で、この領域で何かできるのではないかというところからのスタートでした。具体的なアイデア構想を考え出したのが2年前(2021年)です。 私も特別デジタルに強いわけではありませんが、ちょうどMBAの学校に行き始めたところでした。MBAの学校では、デジタルを活用した新規ビジネス創出の勉強もしています。事業を立ち上げる方法やデジタル技術活用によるビジネスの考え方等を教えていただけますので、ちょうど学校に行っていて良かったなと思います。デジタルに取り組まない会社は衰退するしかないと毎回言われますので、「ではやらなければ」という意識になります。具体的なやり方もちゃんと教えていただけますので、それをインプットして、会社でそのままアウトプットする。この2年間、そんなふうにやってきました。 サービスの運用フェーズに備えて開発を内製化していくのも、そこで学んだことが影響しています。どのタイミングで、どのような人材を置くといった人材マネジメントの方法も学びました。ただ、採用だけでは足りませんので、同時に社内教育にも取り組んでいます。社内にもデジタルが好きな人材がいますので、そういう人材を集めてIoT開発事業部を創設しました。
求める人材をお話しください。
まず募集したいのは、リリース後の保守運用を担うITエンジニアです。関係者とコミュニケーションを取りつつ、一人でも動ける方を募集しています。当面は、機能改修が中心業務となりますが、次期開発では分析機能も追加する計画ですので、AWSのアーキテクチャを設計したり、実際に手を動かしたりしていただく必要があります。バックエンドやサーバーの知識や経験を持った方で、フロントエンドにも携わって経験値を上げたい、なおかつ事業にも関心があるといった意欲的な方が理想です。一人目は、多少給与を上乗せしてでもレイヤーの高いエンジニアを採用し、開発の基盤を作った上で、若い元気な方を二人目、三人目として迎えたいと考えています。 いずれにしても始まったばかりの新規事業ですので、新しいチャレンジができますし、本人の頑張り次第でポジションを作っていけます。新しいことに取り組みたいという、情熱的な方をお待ちしています。
