優良顧客を多数抱える老舗ホスティング事業会社。2007年にKDDIグループに参画。Webサービス事業やプラットホーム事業も堅調
株式会社KDDIウェブコミュニケーションズは、ホスティングサービス『CPI』や各種Webサービスなどを手がけるKDDIグループの会社だ。1997年に、当時は独立系の会社として『CPI』をスタート。2007年にKDDIグループ入りし、程なく現在の社名になった。
1997年の創業当時は、インターネットの爆発的な普及に反し、企業が独自ドメインを持ち自前でサーバーを用意することは難しく、技術的専門知識を持った人材がおり資金にゆとりのある企業に限られていた。そのなかで同社は、インターネットの持つ可能性を引き出し、有効なビジネスツールとして使えるように支援したいという創業理念のもと、「サーバーの家電化」をコンセプトに、技術的知識不要で家電のように簡単に使えるサービスを目指した。この斬新なコンセプトが響き、事業は順調に拡大。専門のIT人材を置くのは難しい中小規模の企業、資金の限られたスタートアップ企業をはじめ、グローバル企業やITの先端企業、官公庁、大学なども幅広く顧客に取り込んだ。そして2007年に、同社の技術力と顧客基盤が高く評価され、KDDIグループに参画。グループ会社として、KDDIの持つ通信技術や信用力、顧客網などのリソースを得て、今日の発展につながる礎を築いた。現在のKDDIウェブコミュニケーションズは、ホスティング事業のほか、BtoBまたはBtoBtoCを中心としたWebサービス事業とプラットホーム事業を展開している。
同社のルーツであるホスティング事業は、サイトの規模に応じた柔軟なプランを用意し、大企業から中小規模の企業やネットショップ、個人事業主まで、大小様々な規模のクライアントに利用されている。高い技術力とKDDIグループならではの優れた通信環境で、日々、機能追加などの進化を続ける一方で、初期の頃からのサービスも継続し、古くからの顧客を大事にしている点も特徴的だ。
「通常は、新しいサービスを出すと古いサービスは一定期間後に終了しますが、当社は残しています。元々、ITインフラの提供を通じてお客様のビジネスのお役に立ちたいという思いで始まった事業なので、長く継続して使っていただくことを前提に考えています」。こう説明するのは、管理本部 人事総務部の採用担当者。料金も定額でわかりやすく、使いやすさを追求する姿勢もサービス開始以来変わらない。信頼できる高品質の設備に、充実したサポート体制なども強みに、古くからの顧客に加え、新たな顧客も着々と増えている。
このストック型のビジネスであるホスティング事業が、安定的な基盤として会社の収益を下支えし、さらにWebサービス事業とプラットホーム事業も堅調に成長していることから、同社は2007年のKDDIグループ参画以来、14年連続で増収増益を達成している。
成長中の電話APIサービス『Twilio』。海外サービスの日本展開にも強み。
Webサービス事業とプラットホーム事業では、KDDIウェブコミュニケーションズ独自のサービスの開発に加え、海外の優れたサービスを日本に持ってきて、広めることも得意としている。代表的なサービスの一つが『ジンドゥー』だ。無料から使えるクラウド型のWebサイト作成サービスで、2007年にドイツでスタートした。KDDIウェブコミュニケーションズは、2009年に日本での独占リリースを開始。ネットにつながる環境さえあれば、サーバーやコーディングなどの専門知識は必要なく誰でも簡単に本格的なWebサイトを作ることができ、リリース以来、熱心なファンやコミュニティーが生まれて、広く使われている。今では日本国内で、『ジンドゥー』で作られたWebサイトは200万サイト以上に上るほど。サイトの用途に応じた有償のプランを用意し、これが同社の売上となっている。
一方、自社開発のサービスは、ブログサービスの『g.o.a.t』などだ。「ITの家電化」と謳った同社は、今もその理念を受け継ぎ「ITの簡単さを伝える」、「ビジネスを簡単・便利にするサービスを提供する」ことを、自社開発、海外発のサービスを含めたすべてのサービスのコンセプトとしている。
Webサービスとプラットフォーム、自社開発と海外サービスの両軸で、同社はITを身近にする数々のサービスを展開している。
そんな同社のサービスラインアップの中で、今、特に勢いがあるのがクラウド電話APIサービスの『Twilio』だ。たった数行のコードを書くだけでネットと電話・ショートメッセージをつなぐことができる開発者向けのプラットフォームサービスだ。アメリカのTwilio 社製で、2013年4月から日本での独占リリースを開始。その簡単さ、使いやすさ、斬新さから急速に普及が進んでいる。『Twilio』のサービスサイトには、気鋭のITベンチャーを中心に、大企業や行政などの活用事例がズラリと並ぶ。サービスやシステムに組み込まれることで利用料が発生する仕組みのため、普及が進むにつれて収益に与えるインパクトも大きくなる。近い将来、KDDIウェブコミュニケーションズの強力な事業の柱のひとつに発展しそうなサービスだ。こうして同社は着々と基盤を盤石にしながら、それを原資に、新たなサービス開発にもますます力を入れていく。
テレワーク、宮古島合宿、優秀な社員の抜擢。働きやすく挑戦を推奨する社風
KDDIウェブコミュニケーションズは2017年6月、宮古島にサテライトオフィスを開設した。程なくスタートしたのが宮古島合宿の制度だ。一週間、普段のオフィスではなく、宮古島オフィスに行って仕事をしていいという制度で、交通費や宿泊費は会社で負担する。採用担当は、「行くのは個人でもチーム単位でもよく、何か成果物を出さなくてはいけないといった条件もありません。美しい海を見て仕事をすれば、いつもとちがう閃きもあるだろう、という意図でやっています」と説明する。魅力的な制度で、徐々に利用が進んでいる。
閃いたアイデアは、担当の業務に活かすほか、年に1~2度の頻度で実施する新規事業の企画募集に応募してもいい。社長や副社長も含むオーディエンスの前で公開プレゼンテーションを行い、「いいね」となればβ版を作り、事業化を検討する。実際に事業化された際には事業責任者のポストが与えられる。『g.o.a.t』は、ここから生まれたサービスで、ほかに進行中のプロジェクトもある。このように誰でも自由にアイデアを出せるほか、成果を出したメンバーの抜擢もドラスティックだ。直近では、あるWebサービスの日本でのリリースで成果を出したメンバーが、スタッフ層から一気にゼネラルマネージャーに昇進し、事業推進の責任者となった。最優秀社員を表彰する制度もあり、挑戦を推奨する社風だ。
テレワーク、時差出勤、理由を問わず週の出勤日数と一日の勤務時間を選択できるスーパー時短など、働き方も柔軟だ。一方で、明るく、オープンスペースも充実しているオフィスは快適で、「来なくてもいいけど、来たくなるオフィス」を追求している。オフィス内の半円形ステージは、会議、プレゼン、時にはヨガイベントの場となる。サークル活動や社内の交流会も盛んで、社内コミュニケーションも極めて良好だ。
このように素晴らしい環境、チャレンジを推奨する社風と制度、しっかりとした事業基盤と、魅力的な要素がそろっているKDDIウェブコミュニケーションズ。「一人一人が、仕事やキャリアについて『こうありたい』と思うことに対して、妨げるものをなくし、チャンスを作るのが私の役目。環境は整っているので、ぜひ、ここでやりたいことを実現し、キャリアを自分の手でつかみ取ってほしいです」。採用担当者は言う。この会社をステップに、将来はもっと大きなステージを目指したいという人も大歓迎だ。そのような気概を持って、訪ねてみてほしい。