ITを活用した中古車の買取・販売事業を展開、世界的な有名企業に名を連ねる
「ガリバー」と聞くと、何をしている会社なのか頭に浮かぶ人は多いだろう。認知度96%を誇る中古車買い取り会社だ。1994年に株式会社ガリバーインターナショナルとして創業し、2016年7月に社名を株式会社IDOMへ変更した。
「在庫を極力持たない」を原則とし、買取った車は中古車オークションにて2週間で売り切るというビジネスモデルを確立した同社。それまでは、オークションに出品するまでプールセンターに保管していた在庫車を、小売販売を行う各展示場に展示販売するという新たな事業モデルで急成長を遂げた。また、インターネットテクノロジーにもいち早く着目。1998年、買取車両を全国の店舗で閲覧できる画像販売システム「ドルフィネット」を導入する。
買取事業だけでなく販売事業をも拡大させた同社は、2000年に当時、史上2番目の速さで東証二部に上場。2003年に東証一部へ指定替えすると、2004年には日本で唯一の「ハイパーグロースカンパニー」になるという偉業までも果たす。ハイパーグロースカンパニーとは、アメリカで設立10年以内に売上高10億ドルを達成した超成長企業に対して贈られる称号で、世界でもまだ10数社しかない。そこには、マイクロソフト、Google、デル、フェデラルエクスプレスといった世界的に有名な企業だけが名を連ねている。
現在のIDOMは、BMWの正規新車ディーラーを経営、オーストラリアの大手新車ディーラーグループを買収するなど、グローバルに事業を展開。他方で創業以来の伝統である「買い取った車両の在庫期間は2週間」という鉄則を守り続けている。2017年現在、直営店を中心に全国約550店舗のネットワークを構築し、「車買取実績No.1 」「中古車販売実績No.1 」という実績を誇る。業界最大手である同社は、中古車販売店数で、アメリカの中古車販売会社「カーマックス」に続いて世界2位。さらには、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施し、積極的にIT活用に取り組む企業の称号となる「攻めのIT経営銘柄2017」にも選定されている。
ITとビジネスの一体化でさらなる成長を目指し、業界の変革に挑み続けるIDOM
1994年の創業以来、大きく成長してきた「株式会社ガリバーインターナショナル」は、2016年に「株式会社IDOM」へと社名を変更する。認知度96%の「ガリバー」という名前を社名から下ろしたのは、自動車流通業界の変革に「挑む(いどむ)」という想いを込めるためだ。
新しい技術にも先駆けて挑み新しいビジネスの創造を目指す同社は、ITとビジネスが一体化したプロジェクトを推進している。その取り組み例を紹介しよう。
まずは、月額19,800円からの定額制で、車を買わずとも乗り放題できるサービス「NOREL」。専用サイトで乗りたい車を探して予約すると、手続きに必要な書類が届く。記入して返信すると、納車日が決まり、店舗で車を受け取るという仕組み。予約から納車まで最短24日というスピードもメリットの一つだが、車を好きなだけ乗り換えられるというのが最大の魅力だ。次に乗りたい車を予約して納車日が決まれば、今、乗っている車と交換で新たな車に乗ることができる。いろいろな車に乗ってみたいと思う欲求を満たし、そのつどライフスタイルに合わせた車に乗ることができる画期的なサービスだ。カーシェアリングとは異なり、自分の手元に車を置けるので、いつでも自由に使える。しかも、「対人・対物・人身傷害保険込み」「自動車税、重量税の支払い不要」「車検も必要なし」と、車を所有する際のデメリットがほとんどない。レンタルでもカーシェアでもない、新しい自動車の乗り方といえよう。
続いて、個人間のクルマ売買サイト「ガリバーフリマ(旧クルマジロ)」。スマートフォンアプリかパソコン専用フォームより出品し、その車を買いたいと思う購入者と出品者との間でやり取りをする。取引が成立すると、同社スタッフが出品者の自宅まで車を取りに行き、購入者は最寄りのガリバー店舗か輸送により、車を受け取るという仕組み。出品者と購入者間でやり取りはあるものの、完全匿名制で個人情報が知られる心配がない。出品された車は事前にプロが査定している点や書類やお金のやり取りはすべてガリバーが行うといった点が、安心感につながっている。出品しても売れるまで手数料が一切かからず、売れるまで出品した車に乗れるのもユーザーにとっては有り難い。
様々な顔を持つオフィスが特徴。
エンジニア出身者が人事担当に。新しい環境をともにつくっていく人を求む
ITを活用して、短期間で事業を拡大してきた同社。今後も新時代の自動車流通を作り上げるため多くのエンジニアを必要としている。IDOMの今後を担うエンジニアを集めるため、エンジニア出身の川村祐人氏がエンジニア職の人事に就いた。川村氏は、もともと業務委託で同社のシステム開発に携わっており、エンジニアとして同社にスカウトされた人物。入社前は業務委託として同社のシステム開発に携わっていたが、IDOMのエンジニア組織がより強くなれば、もっとおもしろいことができるはずだと考え、人事という道を選ぶ。その時のことを川村氏はこう語る。
「IDOMにはガリバー事業で培ってきた業界最大のアセットがあります。IDOMに優秀なエンジニアが集まるようになれば、そのアセットを活かして世の中を変えられると思いました。私がエンジニアとしてシステムを改善するよりも、人事部で制度や採用に関わる役割を担いエンジニアが働きやすい環境づくりに貢献したいと考えました。エンジニアであり続けたいという気持ちは変わりません。今は会社をよりよくするために、エンジニアたちのサポート役になりたい。エンジニアが存分に能力が発揮でき、純粋に楽しいと思える環境を、今いるエンジニア、これから入ってくるエンジニアと一緒につくることができればと思っています」(人事グループEHRチーム・川村祐人氏)
今、IDOMが持っているインフラを整えるだけでも、世の中に大きなインパクト与えられると、川村氏は言う。そのためには、エンジニアとビジネスサイトがお互いに歩み寄ることが必要。お互いに分かり合うにはエンジニアもビジネス視点を持つことが重要で、その上で技術的な着眼点を持って、課題をどう解決するかというスタイルが求められる。
「一般に企業は営業が目標を背負っていて、『全社員一丸』とはいうものの、エンジニアにまで温度が伝わるかといえばそうではありません。だから、エンジニアも一緒に『達成した』『自分たちもやってよかった』と思える関係をつくることを目指しています」(川村氏)
開発だけに専心するのではなく、会社のビジネス全体、あるいは社会の大きな流れを加味して、自らも積極的にアイデアを出せる人材を求めていると川村氏は続ける。
「上から具体的な指示があるわけではありません。これから入ってくる人が、自ら考えて動いて社内に新しい文化を作り、新時代の自動車流通を一緒に創造してもらいたいです。エンジニアの観点から、会社がビジネスを成長させるために、『これをやったほうがいい』『これを先にするべきではないか』という話ができるようになれば、一番いいですね。だから、刺激がほしい、成長したい、これまでやってないことをやりたいといった変化を楽しめる人を求めています。中にずっといれば、見えないこともあります。だから、『ここはこうすればうまくいく』ということを教えてほしい。エンジニアの力で当社の未来を切り拓きましょう」(川村氏)