「マーケティング支援会社」から「マーケティングAX企業」への変革を目指す理由は何ですか?
正直に言うと、危機感です。当社は創業から20年間、マーケティングの施策実行支援を行ってきました。しかし最近になって、これだけではアライドも価値を出しづらく、クライアント企業の価値も増幅しづらくなってきています。 その背景にあるのがAIです。広告代理店や制作会社の「実行」のほとんどはAIに代替されていきます。代理店が手数料を得ていた仕事をAIができるようになっているのに、そのコストを払い続けるのかという問いが市場全体で起きています。施策実行の支援だけでは生存戦略として生き残れない、という認識です。これはアライドだけでなく、あらゆるマーケティング支援会社に共通することだと考えています。 一方でクライアント企業側も、生活者のニーズが多様化したことで、ブランドやプロダクトの多角化が不可欠になり、コミュニケーション戦略が加速度的に複雑化しています。従来は優秀なエース人材が対応してきましたが、いくら優秀な人でも一人では対応しきれません。しかもそのエース人材の恩恵を受けられる企業はごく一部です。多くのブランドが複雑化する市場の要求に追いつけないまま取り残されていく——この問題が、私たちが変革を考える理由になっています。
「マーケティングAX」とはどのようなものですか?その本質を教えてください。
よく「AIで業務を効率化する」という話がありますが、それはもう当たり前です。本当に大切なのは、業務と業務の「つなぎ目」から人間の属人性をなくすことです。 例えば調査会社のレポートを分析担当が解釈し、その解釈をプランナーが自身の解釈で調理して、代理店に伝え、代理店が自身の経験則も加味して実行する。この各つなぎ目で情報が分断され、受け取る人によってクオリティや理解度にばらつきが出て、戦略が実行段階で途切れてしまう。これはほとんどの会社で起きていることです。 私自身、アライドに入社してから15年ほど広告支援をしてきて、クライアントから最も要望をいただくのは「一気通貫でやってほしい」ということでした。全部が繋がっていれば情報がブレないからです。AIが果たすべき最も重要な役割は、この業務と業務のつなぎ目にある属人性をフラットにすることだと思っています。意思決定に必要な情報とフレームワークをAIに読み込ませておいて、70点の回答が自動で出て、人に伝えるフォーマットも自動化できれば、伝達コストがなくなり、解釈のズレもなくなる。結果として人間は、正解がすでにある事柄はAIに任せて、不確実性の高い、創造的な問いや判断にフォーカスできるようになります。これがマーケティングAXの本質です。
目指しているポジションや、他社との違いを教えてください。
マーケティングは経営とほぼイコールだと考えています。目指しているのは、マーケティングのプロフェッショナルのコンサルティングファームと、AIの開発能力を持つ開発会社の「ハイブリッド」というポジションです。 コンサルは戦略を立案して終わりますし、クライアントの継続的な依存を前提にしていることが多いですが、私たちは「クライアントが自社でシステムを回せるようになること」をゴールにしています。広告代理店は広告を売ることが仕事の前提にあるので、「広告より他に投資すべき」とは原理的に言えません。一方、私たちはマーケット調査・広告の制作・システム開発という形でシームレスに関わっているので、経営リソースをどこに使うべきかを一緒に考えられます。 具体的には、実行(一層)・戦略(二層)・経営(三層)という3つのレイヤーで一気通貫してクライアントの事業成長を支援しています。生活者のVOCデータをもとに意思決定を早くし、それを企業の戦略にして、その戦略が一気通貫のループで循環する仕組みを提供する。開発もできるし、戦略もできるし、実行もできる。コンサルでも代理店でもAIスタートアップでもない、そこが私たちの唯一のポジションだと思っています。
AIによって仕事が奪われるのでは、と不安を持つ方も多いと思います。また、どんな方と一緒に働きたいですか?
AIは人の仕事を奪いません。補完してくれるものです。実は今、自分の仕事の半分ぐらいはAIが代行してくれています。Slack上にボットがいて、プロジェクト管理も、タスクの確認も、会議の議事録の作成も、次のアクションの示唆も、全部やってくれる。AIによって仕事が半分なくなった分、クライアント企業様の価値を上げるにはどんな打ち手があるかを考える時間に使っていて、そういう分業ができてきた感じがあります。 怖さよりも、今までできなかったことがよりできるようになる——それだけです。この好奇心や、次何が起こるんだろうというワクワクを持てるかどうかが、AI時代を生きる上で一番大切な素質だと思っています。 だから一緒に働きたいのは、「アーキテクト(建築主・創造主)」の集まりです。事業を作ることでも、クライアントと一緒に新しい価値を想像することでも、新しい社内の仕組みを作ることでも、新しい価値を創造し続けられる人。純粋無垢というか、いろんなことに好奇心や興味がある人と一緒にやりたいですね。答えがあるものはAIが全部答えを出してくれる時代です。不確実性の高い、答えのない問いに向き合い続けられるかどうか——それがこれからのキャリアで一番大事になると思っています。
