株式会社テイ・デイ・エス

1979年に設立し、今年で46年目を迎える株式会社テイ・デイ・エス。長らく総合広告制作会社としてデジタルメディアや紙メディア、セールスプロモーションツールなどの総合的な広告制作を行っていたが、広告制作という枠を超えて、クライアントや社会の課題を解決していく“デザインファーム”として生まれ変わった。
もともとクリエイティブ力に強みを持っていた同社だが、さらに“デザイン思考”という考え方を取り入れることによって、表現としてのデザインだけでなく、ビジネス上の課題を解決していく組織へ進化を遂げつつある。「デザインに戦略性を、ロジックに創造性を」というスローガンのもとで、人、モノ、社会の間にあるコミュニケーションの課題を解決に導く取り組みを行っている。

これまでの日本の広告制作においては、成果物という、最終的に目に見えるよう表現されたものが「デザイン」と捉えられてきた。ところが海外では、課題解決に至る設計や工程管理、問題解決、すべてを含めて「デザイン」と捉えている。そのため、同社においても「さらに上流から踏み込んで、デザインで課題を解決できるような企業でありたい」という考えだ。

同社の取締役である鎌倉康嗣氏は、次のように語る。
「長年培ってきた仕事内容が大きく変わるわけではありませんが、仕事の取り組み方や進め方を変えていったということです。これまではお客様自身もどんなものを作りたいのかが分からず、課題がうまく整理されていないことも少なくありませんでした。制作がスタートしてから軌道修正する、ということもありました。しかし、上流から課題解決に取り組むようになってからは変わりましたね」

同社には、R&Dを手がける“ビジネス・インテグレーション・チーム”が存在する。海外のデザインファームと連携し、新規事業の開発に取り組み、グローバル視点での事業開発に力を入れているチームだ。その取り組みから生まれた“ラーニングデザイン部”では、海外のメソッドを取り入れた教育事業を展開。新たな柱としてグロースさせている最中だ。
合わせて、“デザインコンサルティング部”では、経営・組織・事業・サービスに関するビジネス課題を、ブランディングとUXデザインの視点で解決している。
対象ユーザーの理解を起点に発想し、お客様との共創デザインを積極的に取り入れながらより良い経営・組織への“らしさ”を伴った変革（ブランディング）や、より良い事業・サービスの創出と成長（UXデザイン）を支援し、さらに、そのリソースをもとに課題の発見から、創業以来培われてきた「デザインスキル」によって、多様なアウトプットまでを一気通貫でご提供できるのも魅力だ。

海外のデザインファームと連携しながら、新しい技術、メソッドを取り入れ、デザイン思考を元に課題を抽出、さらには、UXデザイン専門家により、ユーザー体験を起点に最適なプロセスで解決へと導いていく。このように“歴史”と“革新”を併せ持った企業が、現在のテイ・デイ・エスなのだ。

同社の取引先は大手広告代理店を中心としつつ、直クライアントも含め、大手有名企業のお客様も多い。その業種も様々で、Webサイトの制作ひとつとっても幅広く、多種多様なプロジェクトがある。そんな中、同社はミッションとして「どのようにWebサイトを構築するかではなく、どうすればWebを通じて企業とユーザーの絆を深められるか」を考えており、ユーザー視点を追求したUI/UXデザイン設計に力を入れているとのことだ。

WebサイトやWeb広告の企画、デザイン、コーディング、運用、効果検証まで一貫して対応するのはもちろんだが、リッチコンテンツや動画プロモーション、ランディングページの企画制作、スマホ向けプロモーションなども行っている。さらに店頭POPなどの平面・立体グラフィック制作を行う別部隊とも連携し、Webとリアルが連動した施策も手掛けている。

一方、海外との連携も積極的に行い、20社を超えるデザインファームとネットワークを構築し、そのうちの数社とはパートナーシップ提携を結び、双方の得意分野で協業している。その中の1社が、スウェーデンのHyper Island（ハイパーアイランド）である。 Hyper Islandは1996年にスウェーデンで設立された、社会人向けのクリエイティブ・ビジネススクールだ。 開校以来、デジタルテクノロジーのもたらす変化を教育に取り入れ、過去25年以上にわたり社会人向け教育プログラムの提供や、企業の戦略パートナーとしての活動をしてきた。 同社はこうした教育プログラムを日本向けにローカライズし、展開している。
さらには、シンガポールに本社を構え、デジタルから生み出されるカスタマー・エクスペリエンス構築を得意とするアジア最大規模のブランディング・デジタルマーケティングエージェンシーbonsey jaden（ボンゼイ ジェイデン）と提携し、海外進出を目指す日本企業、日本進出を目指す海外企業の架け橋となりサービスを提供するなど、グローバル視点での事業連携を進め、最先端のソリューションアイデア・ビジネスノウハウを取り入れている。

先ほど紹介した、Hyper Islandの教育メゾットは、感度の高いクリエイターの方々だけでなく、様々な企業の方に高評価を受けている。そのプログラムを社員も受講が可能だ。また、ファシリテーション研修などは、既存のプログラムをカスタマイズし、全社員を対象に受講が必須となっている。
それ以外にも、個人が持っているデザインスキル（アイデア・テクニック・見せ方など）を共有し、メンバー全員の技術向上を図るデザイン表現力分科会、実績豊富なWebディレクターがディレクションの基礎を伝授するWebディレクション基礎講座、新しいビジネスの創出を模索する新規ビジネス研究会などがあり、学ぶ機会は多い。

また同社がユニークなのは、オリジナルのステーショナリーを開発していることにもあり、『Re+g（リプラグ）』というブランド名で、展開している。数多くの広告を手がけるクリエイターが、高いデザイン性に機能性を兼ね備えた「自分たちがほしいもの」をカタチにした商品を生み出している。

オリジナル文房具を開発するという遊び心がある同社では、社内イベントも活発。半期ごとに、春の決起会シーズンには、賞品付きのゲームをしたり、美味しいお料理を食べたりと、多部署のメンバーとの楽しい交流が待っている。秋は一年間にわたる制作物を表彰するTDSアワードというイベントを実施。自分の仕事の成果を発表できる大切な日だ。もちろん、コロナ禍でも形を変えてオンラインでも楽しめるイベントを企画・実行し、 社員同士のコミュニケーションを大切にしている。

最後に、今後どのような人物を迎え入れたいかを聞いた。 「すでに単にモノを作る時代は終わり、より利用者の生活にフィットするもの、親和性の高い付加価値のあるクリエイティブが求められています。」 「そのような要望に応えるため、世の中ではお客様とより共に協創するニーズ、コンサルティングするニーズが高まっていると感じています。」 「我々TDSではそんな悩みを抱える様々な業界のクライアント様とのお取引があり、それを解決するため、様々な職種の経験豊富なメンバーが多く在籍しています。そのような環境の中で我々と共に協創できる人材を広く受け入れています」 様々な職種のメンバーと様々なクライアント。また、海外のデザインファームとの協力体制等、デザインの考え方やマインドも吸収できる。クリエイターにとっては刺激的な環境に違いない。好奇心が強い方や変化を一緒に楽しめる方には、面白く仕事ができる企業ではないだろうか。