株式会社Tailor App

株式会社Tailor Appは、「コンテンツとテクノロジーで、社会課題を解決する」というミッションを掲げ、新たなビジネスを創出しているプロデュースカンパニーである。
“コンテンツ”とは、サービスやプロダクトを指し、“テクノロジー”とは、ITやAI、クリエイティブ、再生医療といった最先端技術を指している。

現在は、マーケティング、HRテック、美容の3領域でビジネスを展開している。

■マーケティング領域

●『LIVURU』（ライブル）
SNSを通じ、リアルタイムで消費者とコミュニケーションを図る販売手法の「ライブコマース」が注目されている。しかしながら、「やり方がわからない」「やっても売れない」といった事業者は多い。そこで同社は、ライブコマースを包括的にコンサルティングする日本初のサービス『LIVURU』を提供。集客、販促企画、ライブ体制、演者教育、下記『snsforce』での分析・改善といった全工程でライブコマースの成功を支援している。
国内ライブコマース実績本数、導入企業数、１ライブ配信最大視聴者実績、ライブ配信を通じた売上金額、サービス数の全てでNo.1という5冠に輝いた（2022年9月、日本マーケティングリサーチ機構）。

●ライブ分析・DM自動送信ツール『snsforce』
Instagramライブにおける1分毎の視聴者数推移やコメントデータを取得・保存し、視聴者の反響や感情を可視化して、定量・定性面での分析が行える。さらに、コメントをトリガーとしてDMの自動配信も可能にした世界初のツール（SaaS）を提供。

●広告コミュニケーション展開
同社は、『snsforce』で取得した150万人もの消費者データを有する。このデータを基に消費者インサイトを分析し、あらゆるメディアでターゲットを動かすクリエイティブの企画・創出に繋げている。
同社には、数々の著名ブランドのCM制作を手掛け、NY ADC賞やACC賞等、主要な広告賞に輝いた上野弘之氏や、同じく数々の著名ブランドのSNSに特化したクリエイティブの実績を持つ松本幸貴氏がプロデューサーとして在籍。既に大手広告代理店に伍してナショナルクライアントの広告展開を手掛けている。

■HRテック領域

●DX人材育成リスキリングプログラム『Reskill App』
簡易的なPCスキルから、デジタル広告の展開、生成AIの活用、情報セキュリティ対策まで、自社開発によるe-ラーニングメニューを豊富に取りそろえ、顧客企業の社員をDX人材にリスキリングする。

●採用ブランディング
“HR×クリエイティブ”として、人材採用のためのブランディングにも展開。

■美容領域

●再生医療技術を応用したドクターズコスメブランド『iCell』
再生医療関連事業を手掛けるバイオスタートアップのセルソース株式会社と資本業務提携を行い、“美の不老不死”を目指す、美のアンチエイジブランド『iCell』を創出。“日本の医療技術”の本質を、同社のライブコマースのノウハウで広めることにより、日本から新たな美容産業のグローバル展開を目指す。

同社は、2020年7月、代表取締役社長CEOの松村夏海氏が設立した。松村氏は1997年生まれの“Z世代”である。
祖父が呉服商、父親が船舶会社、母親が訪問介護会社を経営するという家系に生まれ育った松村氏は、自らもおのずと経営者の道を志すように。そこで、卒業に必要な大学の単位を2年生でほぼ取り終わり、ライブコマースシステムの会社で働き始める。

「過疎化が進む地方で営んでいた祖父の呉服商は、デジタル化ができず縮小の一途で、ついに廃業となりました。こうして日本の産業が消えていくことに問題意識を持つとともに、それでも接客サービスは日本の大きな強みとして残すべきと考えたのです。そこで、ライブコマースならばグローバルに日本のものづくりの魅力を伝えられる有力なチャンネルになり得るとして着目しました」と松村氏は振り返る。

ライブコマース会社が2019年末にITの上場会社にバイアウトされた直後、コロナ禍となる。これを絶好のチャンスと捉え、独立しTailor Appをスタートさせた。

当初掲げたミッションは、【消費革命でもう一度、日本を経済大国に】。ライブコマース会社で身に着けたノウハウを『LIVURU』として体系化し提供し始める。
2期目の2021年には『snsforce』を開発し、ミッションも【世の中の“売れる”謎を解き、“欲しい”を拡げる】に変更した。
「消費者は何を思ってどこに行き、何を買うかといったインサイトを分析し、“売れる”を科学してきたと自負しています」と松村氏は話す。

3期目には、縁があって大手企業に実施した人材DX研修を基に、厚生労働省のリスキリング助成金と連動して導入ハードルを下げたサービスとして『Reskill App』を開発、HRテック事業に進出する。
4期目にはタイの大手広告代理店、5期目には韓国のITスタートアップと協業しての日本企業の海外進出支援も開始。
また、5期目には初の資金調達として計3.5億円の投資を受け、美容事業に進出する。
なお、資本業務提携先のセルソース株式会社の代表取締役社長は、複数のアパレルブランドを世界中で展開する日本を代表する 企業の副社長や日本発祥のコンビニエンスストアブランドの社長などを歴任したプロ経営者の澤田貴司氏が務めている。

そして6期目の2025年6月。ミッションを【コンテンツとテクノロジーで、社会課題を解決する】に改め、新たなビジネスをプロデュースしていく体制を整えつつある。
方向性としては、マーケティングテクノロジーやHRテック、コスメ等のものづくりから、さらに地方創生やヘルスケア、教育、ファイナンス、医療といった領域まで視野に入れている。
「ゆくゆくは、ホールディングス体制によるコングロマリット化をイメージしています。優秀なメンバーが、やりたいビジネスを大きな裁量権と責任で展開していけるような組織風土をつくっていきたいですね」と松村氏は意気込む。

創業から着実に事業を発展させ続けている同社から目が離せないだろう。

2025年8月現在、同社の社員数は25名（業務委託を含めると30名）。松村氏は28歳で、平均年齢も30歳程度と若い。男女比は3：7という女性が多い組織である。
「働き方は、コミュニケーションの密度やスピードを重視してオフィスワークを基本にしていますが、体調変化の多い女性に配慮してリモートワークも柔軟に取れる体制にしています」と経営企画室長CSO高木大輔氏は説明する。
なお、同社は現在、新宿のシェアオフィスを拠点としているが、2025年11月には東京・赤坂に独自のオフィスを構える予定だ。

そんな同社の組織風土づくりは、次の5項目のValueを基軸にしている。

1．スピードと結果へのこだわり
2．圧倒的当事者意識と主体性
3．周囲を巻き込み、成果を最大化する力
4．情熱を燃やし挑戦し続ける、やり切る姿勢
5．誠実さと倫理感を持ったプロフェッショナリズム

この5項目は、人事考課の定性指標としている。そのほか、毎月の全体会でテーマを決めて自らの、もしくは他メンバーの当該行動の発表・紹介を行い、全員が投票してNo.1を選出するといった施策を通じて浸透・促進を図っている。ちなみに、No.1選出者には松村氏がスペシャリティコーヒーをプレゼントしている。

人材育成に関しては、人事考課の定量指標としての売り上げなどのKPIを追求する中で、自ら必要なスキルや知識の習得を行っていくというカルチャーがある。
また、誰でも結果を出せばポジションを上がっていける実力主義で、大手企業との取引も多い中でスケールの大きな仕事を任されるカルチャーもある。
「その点でも、向上心があり、自発的に学ぼうとする人材を求めています。私が体育会系の出身ということもありますが、自助努力と挨拶などの基本動作に関しては厳しいほうだと思います」と松村氏は話す。

「加えて、人として誠実な方だと嬉しいですね」と高木氏は付け加える。
1年に1つは新規事業が生まれている同社。やりたい事業があり、チャレンジブルな環境で切磋琢磨しながら夢を叶えたい人材にとって、同社は魅力的な存在だろう。