サイエンスソリューション本部とビジネスソリューション本部の2本柱
株式会社ジェイアール総研情報システム(JRSI)は、公益財団法人鉄道総合技術研究所(鉄道総研)の研究活動を密接にサポートしている。それとともに、研究成果のパッケージ化などを通じた鉄道各社への提供や、JRグループの健康保険組合システムの開発・運用、および当該ノウハウを活用した共済組合システムはじめ、一般事業会社に向けた業務システムの開発を手がけている。
同社の事業部門は、主に鉄道総研の研究開発をサポートするサイエンスソリューション本部と、分野別のICTプロジェクトを束ねるビジネスソリューション本部の2本柱に分かれる。売上としては、鉄道総研とそれ以外はほぼ同等となっている。
<サイエンスソリューション本部>
「戦略プロジェクト」「鉄道システムプロジェクト」「数理解析プロジェクト」「計測システムプロジェクト」の4プロジェクトに分かれている。
「鉄道システムプロジェクト」では、鉄道総研のニーズに応じて試作や実証実験のためのソフトウェア開発などを担っている。また研究成果の実用化を担う役割もあり、鉄道総研から許諾を得て販売しているシステム例として、軌道保守管理データベースシステム「LABOCS(ラボックス)」や運転曲線図作成システム「SPEEDY」などがある。
「戦略プロジェクト」においては、鉄道総研だけでなく、海上技術安全研究所や電子航法研究所といった国の研究開発法人のプロジェクトにも携わっている。
「鉄道総研の研究者は、鉄道に関わる諸領域の高度な専門家ではあっても、システムの専門家というわけではありません。そこで、当社のエンジニアが密接にサポートし、ニーズに応じて研究活動に必要なあらゆるシステムを開発し、提供する使命を担っています。もちろん、研究ですから日の目を見ないものもたくさんありますが、成果が出たものを実用システムとしてインテグレーションしたり、パッケージにして社会に還元する機会もたくさんあります」と代表取締役社長で情報学博士の後藤浩一氏は強調する。
<ビジネスソリューション本部>
「企業ICTプロジェクト」「総研ICTプロジェクト」「運転ICTプロジェクト」「健保ICTプロジェクト」「共済ICTプロジェクト」「基盤ICTプロジェクト」に分かれている。「総研」「企業」は、鉄道総研や鉄道関連事業会社それぞれに向けた業務システム開発・保守、「運転」は、鉄道事業者の列車運行に関わる計画(乗務員や車両の運用、車両基地での作業計画など)の作成を支援する業務システムの開発・保守、「健保」「共済」は、健康保険組合、共済組合向けの業務処理システムを開発、運用、保守を行い、鉄道や企業活動、社会保障制度の一部を支えている。
世界の鉄道技術をリードする鉄道総研を支え、最先端領域を開拓!
1998年9月に設立された同社は、2018年に20周年を迎える。
鉄道総研のエンジニアリング業務などを担っていた会社のコンピュータ部門が母体となり、より専門的に鉄道総研の研究開発業務をシステム開発面でサポートすべく、設立された。
鉄道総研は、1987年の国鉄民営化とともに日本国有鉄道の研究部門を母体として設立された(2011年に公益財団法人に移行)。鉄道の将来に向けた研究開発、鉄道のニーズに基づいた実用的な技術開発、そして鉄道に関わる諸現象解明のための基礎研究、を研究の三つの柱として活動を進めており、世界の鉄道技術をリードする存在として知られる。
設立以来、鉄道総研内の研究スタッフのシステムニーズに応え続けてきた。研究テーマは数年スパンで変わるので、次々に提示される課題に柔軟かつアグレッシブに応えることが求められる。かつ、システム開発のプロフェッショナルとして、ディープラーニングやAI、画像処理といった最新技術をそれぞれの研究活動に提供する役割も担う。
「世界最高峰といわれる日本の鉄道技術の最先端を、鉄道総研を支える形で開拓し続けてきたと自負しています」と後藤氏は胸を張る。
同社の第一の使命は、鉄道総研の研究活動支援を通じての社会貢献。しかし、必ずしも成果に結びつくとは限らない研究支援業務には先行投資的な側面も少なくなく、また専門人材も要することから資金が必要となる。
そこで、収益源を増やすため研究開発以外のビジネスにおいても、事務処理、業務処理システムを中心に領域を広げてきた。
「今後も、鉄道総研のサポートという公的な色彩を帯びつつ鉄道や交通領域主体に関わりながらも、足元では健保や共済を柱に、様々な事業システム開発ビジネスに積極的に取り組んでいきたいと考えています。」と後藤氏はビジョンを語る。
今後も、鉄道総研のサポートという公的な色彩を帯びつつ鉄道や交通領域主体に関わる。
社員の自由な進め方を尊重、伸び伸び仕事ができる環境
設立の経緯や事業内容、サービス対象などから、公的な“堅い会社”といったイメージがあるかもしれない。
「決して堅苦しい会社とは思っていませんし、そうしたいとも思いません」と後藤氏は否定する。社員数82名といった規模ということもあり、細かいルールに縛られるようなことはなく、各自の自由な進め方を尊重して業務が進められている。
前述のとおり、事業は細かくプロジェクトに分かれているので、他のプロジェクトはどんなことをしているのか、お互いにわかりにくくなりがちだ。そこで、年数回、「社内セミナー」が開催され、それぞれのプロジェクトが活動内容を発表し情報の共有化を行っている。
「どんな問題をどのようにクリアしたか、といったノウハウの事例は、分野は違っていても取り入れることができるので大いに参考になっているようです」(後藤氏)。
終了後には懇親会が行われ、社員同士のコミュニケーションを深める機会となっている。
そのほか、鉄道総研のサークル活動に同等の立場で参加できることになっており、「総研のメンバーに交じってコンサートでの演奏や、JR各社の集まるスポーツの全国大会に参加する社員もいる」と後藤氏は目を細める。
同社では、人材育成をさらに強化すべく、社外研修を受けられる制度があり、受講等を推奨している。また、業務における注意すべきインシデントをできるだけ早く事前に察知し撲滅するしくみを整備している。
「当社の付加価値として、いかに品質を上げるかにこだわっていきたい。そのために、『全社品質目標』を掲げて取り組んでいるところです」と後藤氏は意気込む。
同社のオフィスは、JR国立駅前の本社と、そこから徒歩10分ほどの鉄道総研の広大な拠点内にある。武蔵野の緑が色濃く残る環境の中、「伸び伸び仕事ができる」と社員には好評だという。
鉄道という特定の領域を柱に、公益から民生まで、科学技術から業務システムまで、幅広い分野を手がける同社。手応えのある仕事が得られるに違いないだろう。
株式会社 ジェイアール総研情報システムの社員の声

30代前半
2015年11月入社
そこにやりがいを感じま...続きを読む

30代後半
2016年06月入社
お客様の要望を満たせば、技術選定や...続きを読む

20代後半
2015年03月入社
また、エンドクライ...続きを読む