医学的エビデンスを軸にしたプロダクト開発で愛されるブランドへ。徹底したR&Dと戦略で切り開く、ねこ特化型「サイエンス×プレミアム」領域
株式会社uniamは、ねこ向けフード領域における「サイエンス×プレミアム」という空白地帯を開拓するスタートアップだ。140億規模の戦略PJを率いたマーケターが獣医師として起業し、R&Dとクリエイティブを融合させることで、ねこの健康寿命を科学で伸ばす事業を展開している。シリーズAを経て、構想は1→10→100の拡大フェーズに移行した。現在は医学的知見とマーケティング視点を統合し、事業を形にできる実務能力の高い人材を求めている。代表の直下で、事業成長と組織構築の双方に向き合えるフェーズにある。
140億規模の戦略PJを率いたマーケターが獣医師としてペット業界で起業した理由
株式会社uniamは医学エビデンスに基づく設計を大切にし、ねこの健康寿命に向き合うプロダクトを展開するスタートアップだ。現在は、ねこ専門のフード事業を主軸に事業を拡大している。2026年1月にはシリーズAの資金調達を完了し、プロダクトの拡充と組織基盤の強化を進めるフェーズに入っている。 同社の事業思想の背景には、代表取締役社長・杉本亜衣氏の一貫した問題意識がある。 杉本氏は獣医師免許を取得後、デジタルエージェントを経て総合広告代理店で、ブランディング・マーケティングの最前線に身を置いてきた人物だ。大手自動車メーカーのブランディングを担当し、社長直下の総額140億円プロジェクトで70名以上のチームを率いるなど、ブランド戦略の設計から実行までを一貫して経験してきた。
獣医師としての専門性と、マーケターとしての実務経験。
一見すると異なるキャリアだが、杉本氏にとっては切り離されたものではなかった。その思考の起点には、社会人になる以前から持ち続けてきた原体験がある。 杉本氏が獣医師を志したのは幼稚園の頃だという。その思いを変わらずに持ち続け、大学で獣医学科に進学。早くから現場を知りたいと考えて、動物病院、水族館、牧場等、様々な場所でインターンを重ねていった。そこで直面したのが、「治療の現場だけでは救えない命がある」という現実だった。 さらに、獣医師という職業そのものが抱える課題にも気付いていく。高度な専門性を持ちながらキャリアの選択肢は限られ、開業前後に経営やマーケティングを体系的に学ぶ機会もない。個人の努力だけでは解決しにくい構造があると感じたという。 「獣医師は、ねこや犬の命を預かる重要な仕事です。でも、幸せに働き続けるのが簡単な環境ではない。治療する人が疲弊している状態では、ねこも本当の意味で健康になれないと思いました」(杉本氏)。 この問題意識が、杉本氏を起業へと向かわせた。獣医師免許取得後に歩んだ広告・マーケティングのキャリアも、ペット業界で事業を立ち上げることを見据えた選択だったという。十分な手応えを得た上で、次のフェーズとして起業を選んだのだ。 同社が目指しているのは、ねこ・飼い主・獣医師の三者がそれぞれに価値を享受しながら、自律的に回っていく循環を作ることだ。 「飼い主さんが正しい知識を持ってケアをすれば、ねこは健康に長生きできます。それは、病気に苦しむ動物を見たくない獣医師にとっても、望ましい姿だと思っています」(杉本氏)。 こうした考えのもと、同社は医学的エビデンスを判断基準に、一過性のトレンドや過度なマーケティングに流されない、本質的なプロダクト開発を貫いてきた。獣医師として現場を知り、マーケターとして業界を捉える杉本氏の視点が、同社の事業づくりの軸となっている。
手付かずの「サイエンス×プレミアム」市場を射抜く。徹底したR&Dとクリエイティブが融合する事業戦略
ねこに特化した事業を展開している背景には、冷静な市場認識がある。日本では高齢化や単身世帯の増加といった社会背景もあり、ねこは「飼いやすく、長く寄り添える存在」として選ばれやすい。犬よりもねこの飼育頭数が多い状態が続き、一頭あたりにかける支出額も年々上昇している。 一方で、その市場は価格重視と専門性重視に二極化していた。安価で嗜好性を重視した国内ブランドと、医学的根拠には優れるが継続性に課題を抱える海外ブランド。そのいずれの延長線上にもない「サイエンスに基づくプレミアム」という領域は、需要に対して供給が追い付いていなかった。開発の難易度が高く参入障壁も高いがゆえに、長く手付かずのまま残されていた市場である。 この空白に正面から挑むことが、同社の事業戦略だ。ねこは嗜好性が高く、完全肉食動物であるため、フード開発の難易度は極めて高い。多くの企業が参入をためらう中、同社はねこ特化を選び、研究開発リソースを一点に集中させてきた。 主軸である総合栄養食のフレッシュフードは、獣医師と動物栄養学博士が監修。ドライフードもねこ本来の食性に着目し、日常の食事から健康の基盤を整える設計となっている。 加えて、機能性おやつ『ピュアピューレ』では、腎臓、歯周病、ストレス等、ねこが生物学的に抱えやすいリスクを設定し、必要な栄養を逆算して開発している。 さらに、アニコム損害保険との協業によるケアフード『Care Deli』では、保険請求データや診療情報を活用。健康なねこと病気になりやすいねこの違いを分析し、より高度なケアが求められる層に向けた選択肢を提示している。 すべてのプロダクトに共通するのは、徹底した数値検証である。デンタルケア商品では口内菌数を10万分の1に、ストレスケア商品では血中コルチゾール値を3分の1まで低減するなど、効果を定量的に示してきた。 一方で、専門性をそのまま押し出すことはしない。パッケージやウェブサイトにポップな表現を採用しているのは、正しい情報を届けるための戦略的判断だ。 「正しい医学情報を届けるためには、消費者の心理的なハードルを下げる必要があります。デザインは、専門性と飼い主さんを繋ぐための重要な手段だと考えています」(杉本氏)。 この思想は、2026年4月に発足した創薬研究機関「uniam Longevity Lab」へと繋がる。ねこの寿命を延ばす新薬開発を見据え、フードの枠を超えたねこ特化型ヘルスケア事業へと広がっていく。 シリーズAを経て構想を実装フェーズへと進める今、同社が求めているのは、ねこへの関心に加え、難易度の高い挑戦に向き合える視座と実行力を備えた人材である。 杉本氏は「前例のない挑戦だからこそ、発想力と同時に、きちんと成果に向き合える人と一緒に働きたい」と話す。「アイデアを出して終わりではなく、数字や計画に落とし込み、実装まで持っていけることが大事だと思っています」(杉本氏)。
「左脳」と「右脳」を行き来し、未踏の構想を1→10→100へ。医学とマーケティングが交差する、唯一無二のチームビルディング
組織としても事業としても拡張フェーズへと入った今、同社が重視しているのは、プロダクトを通じた「手触り感」だ。商品を世に出せば飼い主からの反応がすぐに返り、それを次の改善へと繋げていく。そのスピード感を何より大切にしている。 「実物のプロダクトを扱うビジネスだからこそ、常にモノを囲んで議論できる環境を大切にしたいと思っています。商品開発の循環を高速で回せる、この手触り感こそが、uniamでのものづくりの醍醐味です」と杉本氏はそう語る。 そのため新オフィスでは、対面でのコミュニケーションを基本としながら、リモートとの併用も柔軟に取り入れていく予定だ。オフィスはねこ同伴も可能で、キャットウォークやタワーを配置するなど、自分たちで手を入れていく構想もあるという。 組織の風土を象徴しているのは、職能を越えたフラットな共創だ。獣医師という医学の専門家と、クリエイターやマーケターが対等に議論しながら、一つのプロダクトを磨き上げていく。求めているのは、専門性や感覚のどちらかに偏った人材ではない。杉本氏はそれを「右脳と左脳のバランスが取れている人」と表現する。 「左脳的な思考だけなら、正直AIのほうが圧倒的に強い。一方で、感覚やセンスだけで突き進むのも違う。アイデアを生み出しながら、それをきちんと数字や計画に落とし込み、実装まで持っていける。その両方がそろっている人が、uniamらしいと思っています」(杉本氏)。 ポップで親しみやすいパッケージデザインも、決して感覚任せではない。「売り場の中でどう目立つか」「ねこを面白がる姿勢が、飼い主にどう伝わるか」、複数の方向性を検討した上で、戦略的に選び取られた結果だ。 こうした「医学的な厳密さ」と「マーケティングの推進力」を両立させる姿勢は、組織のあらゆる意思決定に通底している。 同社は組織を拡大していくフェーズにあり、制度や役割が固まりきっていない今だからこそ、一人ひとりの考えや行動が、組織の輪郭を形作っていく。 代表である杉本氏のすぐそばで、事業がどう立ち上がり、どう広がっていくのかを実感を持って見られる環境は、将来を見据えたキャリア形成においても大きな意味を持つだろう。 「ねこの健康寿命を、科学で伸ばす」この構想は、まだ実現していない。 だからこそ、同社はいま、事業と組織をともに作っていく仲間を求めている。前例のない挑戦に向き合い、自ら考え、手を動かし、形にしていく。そのプロセスそのものを面白がれる人にとって、ここは絶好のフェーズだ。