株式会社TSACE

株式会社TSACE（ティーエスエース）は、医療・介護・福祉・建設・ドライバーなど領域特化型の人材紹介サービスを展開している、2022年11月設立のスタートアップ企業である。同社では、組織強化のため営業職を募集している。

2025年9月現在、同社が手掛けている領域は、介護職をメインに、保育士、栄養士、建設（施工管理者）、リハビリスタッフ（PT：理学療法士・OT：作業療法士・ST：言語聴覚士）、ドライバーの6領域。それぞれ『介護エース』、『保育士エース』、『介護エース』『保育士エース』『建設エース』といった専門職に特化した求人サイトを複数運営しており、登録があった求職者に対して手厚い転職サポートしている。

同社のサービスの特徴は、いずれも特に人材不足が叫ばれている領域に対し、ミスマッチのない人材紹介を通じて定着率を高める取り組みにある。
その具体策が、一人の専任コンサルタント（営業職）が、求職者側と企業側の双方を担当し、ベストマッチングを図る「一元管理制」を採用していること。人材紹介業界では、効率を重視して分業制を採ることが一般的だ。しかし、そのやり方だと片側を深く理解できていないために表面的な条件でのマッチングに終始する傾向がある。

この点、同社は専任コンサルタントが条件マッチングだけを行うのではなく、双方へのきめ細かなヒアリングを行い、面接にも同行して双方が気付いていない点等をアドバイスし、お互いの納得度を深めるようにしているのだ。
「この『一元管理制』は、私が前職である人材紹介会社を2004年に創業後、開発した手法です。今では追随する同業者も増えていますが、面接まで同行する手間をかけているところはほとんどないと思います」と代表取締役社長の竹之下裕之氏は胸を張る。

そんな同社の最大の強みは、営業職の“個の力”を徹底的に磨き上げていることだ。竹之下氏は、次のように話す。
「大手でよくあるのは、誰でも一定の業績を上げられるような仕組みづくりを行っている。経営の目線で見れば誰が業務を行っても同じ成果が見込めるので会社経営は楽になります。ただこれでは社員は会社の仕組みの中に組み込まれて業務を行っているだけなので本当の成長はしません。“スーパー営業職”は育ちません。これに対して当社は、個々の人間力を鍛え、営業力を高める人材育成に非常に力を入れ、「3年でどこにいっても通用する市場価値の高い人材」を育成しております。

指導内容としては難しいことはしていません。「当たり前の事を当たり前にする」「当たり前の基準をあげていく」といった、誰にでもできる至極当たり前のことを常に伝えています。しかし、“凡事徹底”は誰にでもできることではない。
「これを徹底することで、自ずと業績が付いてくるのです。これを“やりきる力”が、当社の最大の強みであると自負しています」と竹之下氏は強調する。

同社を設立した竹之下氏は、介護職および保育士領域で断トツ、看護師領域で業界2位という人材紹介大手のTSグループ（現・トライトグループ）の創業者である。

同氏の略歴は、次のとおり。
最終学歴は早稲田大学大学中退。新卒ではゼネコンに入社して施工管理に従事し、22歳で人材サービス大手に転職する。大阪支社の立ち上げに参画し、持ち前の営業力を発揮して入社3カ月で営業記録を塗り替える活躍をする。その後、大阪支社の責任者や西日本統括部長等を歴任し、25歳で独立してTSグループ（現・トライトグループ）を創業する。前述のとおり、「一元管理制」を創出するとともに営業力強化を図って同社を成長軌道に乗せる。そして、積極的なフロンティア精神と時流を読む目で15以上の新規事業を展開し、それら全てを業界トップシェアに導いた。
そんな同社を、竹之下氏はIPOを目指す中で2019年に売却する。

トライトグループは、大手として人が変わっても安定的に業績が上がる仕組みづくりを指向し、2023年7月に東証グロース市場に上場する。一方 “個の力”の育成にこだわる竹之下氏は、2022年にTSACEを設立する。
「もう一度会社を立ち上げ、個の強い集団を作り、自らがつくった業界No.1企業を追い抜いてやろうと考えたのです。こんな楽しいチャレンジはほかにあるでしょうか。これが、当社をスタートさせた大きな動機です」（竹之下氏）。

大企業のトップに収まるよりも、常に現場の最前線で仕事がしたい。最前線で、仲間達と一緒に会社をつくり上げながら成長を肌で感じていたい。そんな思いが竹之下氏の背中を押したのだ。

そんな同社のMISSION、VISIONは次のとおり。
●MISSION：『個の可能性』にどこまでも挑む。
●VISION：本質を追求したソリューションを提供し続け、社会に笑顔の連鎖をもたらす企業に。

サービスの対象は“人間”である。求職者、求人企業の双方が真にハッピーとなるサービスは、条件では計れない要素がある。そんな“本質”を追求する人間力こそが同社の未来を開くのだ。

今後の成長戦略としては、“水平展開”“垂直展開”“社内ベンチャー育成”の3軸に取り組む。

●水平展開：介護・福祉領域の人材紹介をベースに、幅広い領域に展開していく。その最たる例が、2025年6月に参入したドライバー領域。今後も、様々な領域にスポットを当てていく。
●垂直展開：介護・福祉領域への貢献度をより深めるべく、スクールと提携して介護資格取得支援事業にチャレンジ。資格取得から就業までをワンストップで支援する。
●社内ベンチャー育成：“本質を追求したソリューション”というVISIONに叶う内容であれば、全く新しい事業領域への参入も積極的に検討する。このため、社内ビジネスコンテストのようなイベントも実施していく構えだ。

2025年9月現在、同社の社員数は330名で、平均年齢26.5歳という組織。竹之下氏は、「3年以内に、どこに行っても通用する人材を育成する」という方針を掲げ、人材採用におけるキャッチフレーズとしても活用している。

そのマネジメントの根幹にあるのは、次の5項目のVALUEだ。
1.感謝：お客様・同僚をはじめ、何事にも感謝を。常に感謝の想いを持ち、豊かな心で仕事に励む。
2.スピード：誰にも負けないスピードで他を圧倒すべし。迅速な対応で顧客からの信頼を勝ち取る。
3.行動量：立ち止まっている暇はない。主体的・能動的に行動を起こし、泥臭く走り抜ける。
4.協力：決して独りよがりにはならず、周囲との相乗効果を大きな武器として目標達成に臨む。
5.熱意：人の心を動かす最後の決め手となるのは熱い想い。お客様には常に情熱を持って語りかける。

「これらは決して“お題目”ではなく、常に意識して取り組む指針です。社員に徹してもらうには、常に言い続けるしかないと思っています」と竹之下氏。

前述のとおり、今でも常に現場に立つ竹之下氏は、営業職の言動に気付いた点があれば、直接アドバイスする。
「ある営業職ができていなければ、ほかにもできていない者が沢山いるだろうと考え、チャットツールで当該アドバイス内容を全員に共有します。そんなメッセージを毎日5～6回は発信しています」（竹之下氏）。
もちろん、営業職は拠点長等の直属の上司からも個別案件について等の具体的なアドバイスや指導を受ける。
一方、同社には教育課が存在し、求人企業や求職者に接するロープレや業界知識に関する定期的な研修、マニュアルの作成等を行って基礎部分の育成を担っている。
このように、多層的な人材育成環境が同社には存在しているのだ。

同社ではまた、社内の一体感づくりにも力を入れている。まずは、年1回の決起集会。会社の方向性の共有や表彰、懇親会が行われる。そして、毎年の社員旅行。2025年度は沖縄の八重山諸島に4泊5日で出掛けている。もちろん、全額会社負担だ。
「仕事時間は、家族と接するより長いこともあり、仲間意識や結束力を高めたいと思っている」と話す竹之下氏は、地方拠点にも定期的に巡回して社員と食事に出掛けている。さらに、全社員の誕生日にメッセージを送信。月末には、営業成績に応じて激励や賞賛するメッセージも送信している。
「こうしたことから、社長との距離が近いと思われているでしょう」と竹之下氏は話す。

そんな同社が求める人材像について、竹之下氏は次のように期待する。
「一言で言えば、結果を出す人。それも、他メンバーと協力し、切磋琢磨し合える人間性が伴っている方ですね」
3年間で、どこでも通用する人材になれる。成長意欲のある人材には、見逃せない募集だろう。