株式会社B.VALANCE

株式会社B.VALANCEは、大阪市を拠点に、ヘアケア商品に特化したビューティーブランド『VALANROSE（バランローズ）』の開発と販売を行う会社だ。古代から人々を魅了する薔薇のように愛され続ける。ブランド名には、そんな願いが込められている。

『VALANROSE』は、“いつまでも綺麗でありたいと願う全ての人に寄り添い支える”をコンセプトとして2012年に誕生。自社ECサイトやECモールから直接、顧客に商品を提供するD2Cのビジネスモデルで成長を遂げてきた。日本マーケティングリサーチ機構の調査において“信頼できるヘアケアブランド”をはじめとする3部門でNo.1を獲得する等、顧客から高い評価を受けている。

『VALANROSE』は、代表取締役社長兼CEO・安井由佳氏の「より多くの人の人生を根本から豊かにできる商品を自分の手で生み出したい」という思いから生まれたブランドである。特に頭皮の健康に着目し、徹底的に研究を重ねながら、クリームシャンプー、ヘアエッセンスオイル等、様々なヒット商品を生み出してきた。

その中で、多くのミドル・シニアユーザーが抱える深刻な白髪対策の悩みを知ったことをきっかけに、約2年の月日をかけて開発したのが、同社最大のヒット商品『KUROクリームシャンプー』だ。シャンプー、トリートメント、染料がオールインワンになった白髪染めシャンプーで、2020年12月の発売から5年で累計販売数200万個を突破した主力商材だ。

白髪染めシャンプーに限らず、様々な種類の白髪ケア製品がある中、『KUROクリームシャンプー』にしかない特徴がある。頭皮や髪のダメージを防ぐ天然染料をナノ化することで実現した独自の染毛メカニズム、髪を健やかに保つ成分を豊富に含んだ丹波産黒豆から抽出した独自成分による美髪ケア効果、毎日5分、普通のシャンプーのように洗髪するだけでサロン級の仕上がりを実現できる使いやすさ、の三つだ。

この三つの特徴によって、白髪染め製品を使用するユーザーの多くが抱える、コスト、手間、髪の傷みという三つの悩みを解消していることが、大ヒットの要因だ。発売早々から、予想を超える反響を得て、楽天市場のレディース白髪染めカテゴリリアルタイムランキング、Yahoo!ショッピングのレディースヘアケア/レディース白髪染めランキング、それぞれで1位を獲得。以降も、自社サイトを中心に、順調に売上を伸ばしてきた。近年は、タレントを起用したプロモーション展開も功を奏し、女性だけではなく、男性の需要も拡大している。

『KUROクリームシャンプー』が大ヒットした後も、『スカルプヘアトニック』、『OYASUMIスカルプシャンプー』といった新商品を開発・販売し、『VALANROSE』ブランドのラインアップを増やしてきた同社。2024年度の売上は、昨対比150%以上を達成した。また、2024年12月には“ブランドと人の発射台”をミッションに掲げ、共創型M&Aを推進するMOON-X株式会社と経営統合し、目下、さらなる成長に向けて動き出したところだ。

同社が目指すのは、ミドル・シニア世代を中心に、「いつまでも美しくありたい」と願う全ての人を支えるヘアケアのトップブランドだ。その長期的ビジョンに向け、まずは白髪染めシャンプーのジャンルで圧倒的シェアを確立したい考えだ。

今後の展開について語るのは、コーポレート部 部長・的場貢大氏だ。MOON-Xの事業開発室 ディレクターを経て、2025年1月からB.VALANCEで、バックオフィス全般と経営管理の業務を担う。

「シェアトップの指標として掲げる売上目標は現在の3倍。それを直近3年で達成したいと考えています。そのために、今後はECだけではなく、ドラッグストア、百貨店、バラエティショップ等の流通チャネルの開拓も視野に入れています」（的場氏）。

このようなビジョンを達成する上で強みとなるのが、MOON-Xグループとの連携である。MOON-Xグループには、セールス、オフラインマーケティング、物流等のサプライチェーン全体に精通したスペシャリストが揃う。またグループ内には、ペット、サプリメント、ベビー商品、寝具等、様々なジャンルの商品を扱う事業会社が存在している。MOON-Xの組織力やナレッジに加え、グループ企業が持つ経験値やアイデアも活用しながら、売上拡大やコストカット、サービス改善を進めていく計画だ。

その一方では、事業規模の拡大に備えた社内体制の強化にも取り組んでいる。

「今後、販売チャネルが広がり認知が拡大すれば、顧客対応も増えることが見込まれますので、カスタマーサポートの人員を増やして備える必要があります。また事業の根幹であるマーケティング部門の強化も不可欠です」（的場氏）。

B.VALANCEの現業部門は、売上を作るためにマーケティングやクリエイティブを担うEC事業部と、顧客対応や配送、返品処理、CRMを担当するCX部の2部署からなる。今後の事業拡大を見据え、各部署、各職種の経験者採用に注力中だ。

「第2次ベビーブーム世代が白髪に悩む世代になり、かつネットを使えるシニアが増えていることを踏まえれば、ミドル・シニア層を中心としたヘアケア市場は、さらなる成長が見込まれており、商品ラインアップを広げる余地も残されています。現在の当社で働く方にとっても、自身の力を発揮して活躍するとともに、新たな成長を目指せる環境です」（的場氏）。

現在、同社には創業者である安井氏を筆頭に、約15名の社員が在籍している。15名のうち12名が、20代から40代の女性。カスタマーサポートを含む全員が、大阪市北区のコワーキングスペースで業務を行っている。

従業員数15名という少数精鋭部隊で事業を展開する同社。社長の安井氏をはじめ、既婚者、子育て中の社員が複数在籍することもあり、ライフワークバランスを意識し、効率的、かつチームワークの取れた事業運営を行っている。時期や職種により多少のばらつきがあるとはいえ、一人当たりの月平均残業時間は10時間程度だ。

「スキルの高い社員が集まり、お互いに影響し合いながら仕事をしているため、個人の成長スピードも速い。また個人の目標を明確に定め、代表自ら毎月個人面談を行い、会社の目標と照らし合わせながら振り返り、成長を促しています。評価基準が明確なのも特徴です」（的場氏）。

MOON-Xと経営統合した現在は、MOON-Xの代表取締役社長兼CEO・長谷川晋氏や、様々な知見を持ったグループ内のメンバー等によるセミナーへの参画も可能だ。また、半年ごとに開催されるグループ総会では、世界中に散らばるグループメンバー全員が集まるため、知見や人脈を広げる絶好の機会となる。

「明るく、話しやすい人物が集まる会社なので、働きやすい環境です。また、MOON-Xとの経営統合によって会社と個人の成長を加速させる体制が整いました。これまで、それぞれの領域で、しっかり経験を積んでこられた方であれば、他では得られない素晴らしい経験、素晴らしい景色に出会えることでしょう」（的場氏）。

毎月、勤務時間内に社員の誕生日を祝うイベントを開催する他、数カ月に1度の緩やかなペースで社員全員による懇親会を実施する等、小規模ならではのアットホームで、和気あいあいとした雰囲気も魅力の一つ。事業拡大に備えて採用を強化するといっても、グループ会社のリソースを活用できるため、極端に増やす計画はない。これまでに醸成してきた企業風土が大きく変わることはないだろう。その文化に馴染みながらも、自身が培った経験やスキルを生かし、会社として、個人として、さらなる飛躍を目指す人材を待っている。