ゲーム業界に入るきっかけは?
家庭用ゲーム機のゲームが主流だった時代に、新卒で老舗のゲーム開発会社に入社しました。ゲーム作りの技術を学びたかった私は、ゲーム開発の現場で働きながら、「ライブラリィチーム」にも勝手に顔を出していました。ライブラリィチームは、ゲームエンジンを開発している部署で、入社当初からそのチームに入りたいと直訴していたのですが、なかなか願いが聞き入れられず、会社の意向を無視して勝手にライブラリィチームに出入りしていました。 私が所属していたゲーム開発の現場では、ライブラリィチームが作ったゲームエンジンでゲームを作るだけでしたが、私はゲームエンジンをどうやって作るかを学びたかったのです。独学で学びながらライブラリィチームの先輩エンジニアを勝手に師事して、彼からあれこれと技を盗みました。仕事をする傍らでゲームエンジン作りのノウハウを学んでいたので、とにかく寝る間も惜しんでいました。終電後も会社で作業したいがために、社会人1年目なのに渋谷にある会社の近くに住みました。
ライブラリィチームで学んで何を得ましたか?
ライブラリィチームからあれこれ学びながら、ゲームエンジンの自作にチャレンジしました。定時までに自分の仕事を終わらせ、その後は会社のPCを使ってゲームエンジンを作る日々。家に帰ってもゲームエンジンを作っていました。深夜3時に帰宅して、そのまま朝までゲームエンジン制作を続け、そのまま翌日出社したこともありました。気が付けば朝という感じで、ゲームエンジン作りに没頭していました。 新卒入社した時には、将来ゲーム会社を立ち上げて自分のオリジナルゲームを作ると心に決めていました。ですから、ゲームエンジンの作り方を学ぶだけでなく、実際にゲーム開発に使えるレベルのゲームエンジンを作るために努力をしました。3Dゲームが好きなので、自分が満足できるゲームを作るには、優れたゲームエンジンが絶対に必要でした。大手ゲーム会社と同水準のゲームエンジンを作らないとダメだと考え、懸命に学びました。当時は、UnityやUnreal Engineがリリースされる前でしたから、自作ゲームを開発するには自前のゲームエンジンが必須でした。
OMNIDUS株式会社を創業するまでのキャリアは?
3年で師匠の先輩エンジニアを超えました。私の疑問に先輩エンジニアは答えられなくなり、学べることがなくなったと感じたので、その会社を辞めました。ゲーム開発の視野を広げるために、インターネットサービスを手掛けるベンチャーへ転職。ソーシャルゲームの開発に携わりました。PCゲームや家庭用ゲーム機に比べ、ゲームのクオリティは劣りますが、ゲームの企画やマネタイズのビジネスモデル等を学ぶことも多かったです。 ソーシャルゲームの開発を2年手掛けて、フリーランスになりました。まだ30歳手前で起業するには早いと思い、フリーランスで色々な現場で働きながら、人との繋がりを作ってきました。周囲の人たちからは「早く起業して」と言われました。しかし、私はエンジニアとしてスキルを積んできましたが、経営者になるにはまだ学ばなければならないことがあると考えて、人としての経験を積むためにもフリーランスの道を選びました。約5年間フリーランスのエンジニアをしましたが、経営を学ぶために一般的なIT企業のスタートアップに役員として関わりました。その結果、2021年にエンターテインメント業界に戻りオムニダスを創業しました。
将来の夢はありますか?
私の中には、たくさんのオリジナルキャラクターがうごめいています。いつかそれをカタチにして、ゲームやアニメにしたいです。実は、私の原点はマンガです。ゲーム業界に入る前は、漫画家になりたいと思っていました。頭の中で色々なキャラクターが出来上がるので、それを最適なカタチでアウトプットしたい。3Dアクションゲームのキャラクターもいれば、アニメにしたいキャラクターもいます。それぞれのキャラが生きる作品を作るのが私の夢です。 Flashを学んで2Dのキャラクターを動かせるようになったのが、ゲームエンジニアの道へ入ったきっかけでした。自分の頭の中で生まれたキャラクターが動くことに喜びを感じ、ゲームエンジニアリングの世界に引き込まれていきました。そのうちに、3DCGの技術が進歩し、キャラクターが3Dで動く世界になりました。自分が生み出したキャラクターを3Dで動かしてみたいと考え、3DCGの技術も学びました。
興味がある技術は?
個人的には、3DCGで最も難しいと言われるリアルタイムGIの技術を身に着けたので、これからはVolumetric系の「霧」を表現する技術に興味を持っています。霧を表現することで、3DCGにより立体感が生まれ、霧の中から人や物が現れるような演出ができます。ただ、間接光と同じで、霧を表現するプログラムは重い。ゲームで活用するには、処理を早くする工夫が必要です。ハードウェアのスペックを上げることで、重たいプログラムでも早く処理することができます。しかし、それではハイスペックなマシンを持っている人しかゲームを楽しめなくなります。ですから私はいつも、わざとスペックを落としたマシンで動作するようにプログラムを書きます。 会社としては、Vtuberに興味を持っています。キズナアイが登場した頃から、ずっと注目しています。いつかは会社でVtuberを作ってみたいと思っています。Vtuberのコミュニティに集まるのは心温かな人が多く、活動を応援してくれる大切なファンです。オムニダスのVtuberで当社のファンを集めて、エンターテインメント業界にテクノロジーによる新風を巻き起こしたいです。