代表取締役社長 田中 彰太氏 サンフランシスコにてカレッジ留学。帰国後、創業期の求人メディア事業等を手掛けるIT企業に入社し、事業開発部の企画を統括。農業、ホテル、仮想通貨、マッチングサービス等の事業立ち上げを経験する。2012年10月10日に株式会社ブルードを設立。日本最大級の留学メディア事業、訪日旅行のメディアコマース事業を運営。2022年12月、カナダとフィリピンに支社を設立。

起業の前に、田中様がアメリカに留学した経緯を教えてください。

私は高校卒業までの12年間、ずっと野球を続けていました。プロ野球選手になることが夢だったのです。しかし、自分よりはるかに優秀な先輩がプロ野球で活躍する姿を見て、明らかな実力の差を感じました。そこで、高校卒業と共に夢を諦めることに。と同時に、自分の命を何に使うか？という目標を見失ってしまいました。 悩み続けていた私は、19歳になった年の10月10日に、ある世界的な事業家の評伝を読み、「世界にインパクトを与える会社を創る事業家として、自分の命を使う」という新たな目標を掴みました。その方がアメリカに留学していたことから、私も経営を学び、沢山の起業家と出会うために、シリコンバレーのあるサンフランシスコに留学。現地で日本人事業家のご自宅に住み込み、カレッジに通いながらその方の会社のインターンシップにも参加しました。 早朝から夜中まで働く姿、次々に起こる問題とその解決方法、リーマンショックという大不況下における戦い方、株式上場時の高揚感。その後に訪れる爽やかな喪失感。その事業家の方は、私にありのままを見せてくれました。

その留学経験が、田中様を駆動する原体験になっているのですね。

もう一つ、パーソナリティーの面でも刺激を受けました。その刺激を一言で表せば、「人の可能性は能力ではなく、想像力で決まる」ということです。 ダウンタウンから少し離れた所に、サンフランシスコを一望できるドローレスパークという公園があります。そこでは、あらゆる人種、LGBTQ、様々な宗教を信仰する方々が、裸同然でビーチにいるかのように芝に寝そべっていました。しかし、そこにいる人々は、誰も気に留めていません。それまで野球部監督の教えが絶対であった野球人生と比べ、「なんて自由な環境なんだ」とショックを受けました。当たり前の価値観が崩れることで、創造性が豊かになり、違いを受け入れる許容度も高まり、より自分らしくあることを大切にするようになりました。 帰国後に一旦就職して、営業や事業開発を経験し、事業家になると決めた10月10日に当社を設立。その後、事業が軌道に乗るまで何度も危機を味わいました。しかし、まだ世界にインパクトを与える段階に到達していません。これからも、困難があっても自助努力を怠らずにしつこく粘り強く、本当に価値のあるサービスを創造していきます。

最近でもコロナ禍という困難に直面しながら、逆張りで採用を強化されました。

25名だった従業員数を、2年で70名に増やしました。あの頃、特に海外旅行や留学サービスを提供する会社が採用を手控える傾向にあったので、当社にとってはむしろ採用を強化するチャンスだったのです。 実は、事業自体はそれほど悪くありませんでした。というのも、留学は、1年かそれ以上先を見越して行うものです。お客様は「1年後には収束しているだろう」という展望をお持ちでした。何より、留学はお金も期間も要します。学生・社会人を問わず、検討に検討を重ねて決断した留学を、そう簡単に諦められるものではありません。旅行とは全く異なる重みがあるのです。その熱量が当社の事業を支え、さらには採用強化の実現に繋がりました。 幸い、当社が留学先として紹介しているカナダは、2020年10月頃に受け入れを再開。あまりのタイミングの良さに私自身驚きましたが、逆張りの判断は間違っていなかったようです。大きく成長するには、逆境こそ「大胆にリスクを取る」ことが重要だと考えています。

一気に人が増えて、貴社の風土が変わるという懸念はなかったのでしょうか。

面接時に、ある質問を投げ掛けることで、その懸念は払拭できました。 まず、当時の従業員達はメンタルが強く、当社のミッション「より多くの人に グローバルという選択肢を」への共感も強いため、コロナ禍でも踏みとどまって頑張ってくれました。私も従業員に対して、「コロナ禍が明けたら急成長が待っているからやりきろう！」と鼓舞し続けました。 一方で新しい従業員にも、必ずミッションに共感し、同じ熱量を共有したいと考えています。そこで私は面接時に、留学等「海外」にまつわる原体験を聞くようにしています。実際、当社の従業員は帰国子女をはじめ、（日本の）国際寮での生活経験も含めると100%「国際的な環境に身を置いた」原体験を持っています。その原体験とは、多様性に揉まれ、創造性が膨らみ、自分の可能性が広がる感覚を実感するというものです。そんな原体験を持っている方は、基本的に当社のミッションに共感して入社してくれています。

今後海外展開を本格化させる貴社に必要な人材を、改めて教えてください。

日本から海外への留学サービスを提供するアウトバウンド事業は、国内では既に確固たるポジションを築きました。海外から日本への留学サービスを提供するインバウンド事業も速い立ち上がりを見せており、すでに収益化しています。今後は「海外から海外へ」の留学事業も立ち上げ、5～6年以内にグローバルで留学領域のトップを実現させます。 インバウンドの訪日旅行メディア事業も水面下で立ち上げており、これから10兆円マーケットへ成長する訪日旅行市場で地方創生と外国人旅行客を繋げる、世界に類のない全く新しい産業をつくります。そんな当社では、いずれの事業でも100%海外事業に携われる面白さがあります。世界へ挑み、業界を変革したい思いの強い方、海外に出て勝負したい方は、ぜひチャレンジしてほしいです。 その前提として、当社のミッションに共感し、実現に向かって課題解決しようとする強い意志が求められます。やるからには「自分達が身を置くマーケットでグローバルトップを獲る、世界に類のない新しい価値を創造する」という目標を持ち、ワクワクしながらその実現に向かって前進していく、そんな想いの強い方を仲間にお迎えしたいですね。