株式会社ベリッシマ

株式会社ベリッシマは、2014年に設立されたEC（Electronic Commerce）支援企業。ECサイトの企画・制作からバックヤードの受注管理、広告まで幅広くサービスを提供できるのが強みだ。特に、化粧品やサプリメントといった領域を得意する。インターネット販売を通じて、クライアントの製品・サービスと顧客とを丁寧に繋げることで高い評価を得ており、少数精鋭で、年商は億を超えている。

このような事業展開が可能な理由は、同社のビジネスモデルにある。幅広く事業展開するのではなく、繋がりが強い会社とがっちり手を組み、1社1社を手厚くサポートすることでサービスの質を高め、Win-Winの関係を強固に構築してきた。

それだけではない。倉庫、広告代理店、システム会社とも連携して、クライアントごとに最適なECソリューションを提供し、効率を高めている。現在、EC支援企業は数多いが、倉庫とパートナーシップを確立して、受注データの抜き出しや出荷指示までを可能にしているところは少ない。提携倉庫を持つ同社は、商品の入庫・出荷等で、細かいオペレーションを実現し、ライバルをリードしてきた。このように同社は、自由自在な形でEC運営を代行し、少人数でも業務を回せる業務体制を作り、成長を続けている。

「当社は企業と企業とを繋ぐ、ハブのような会社です。当社を挟んでいただくことで、的確にディレクションができ、直接やるよりも効率化が図れます。あらゆるモノ・コトを繋ぐのが得意ですね」（代表取締役 中山雄平氏）。

ECの制作から運営代行、さらに出荷までカバーし、融通が利くサポート体制を整えた同社は、クライアントから「丸投げ」の形でEC事業支援業務を受注することが多かったという。そこで１社１社にボリュームを生み出すことで成長を続けてきた。今後は、さらに内製化を進めて事業の幅を広げ、さらなる成長を狙っている。

ベリッシマ設立のきっかけは、中山氏がアパレル関連の店舗立ち上げ業務等に従事していた頃に「今後、販売は店舗が主流ではなくなる」と感じたことにある。しかし、インターネット販売には、企業が単に自社店舗をネットに出店しても簡単には売れないという現実から、サービスの準備を進めたという。

「インターネット販売を始めたからといって、すぐに売れるわけではありません。自社でECサイトを出すより低価格で、運営コストが下がる効率の良いシステムが必要だと感じました。さらに１社１社にしっかりコンサルティングをする必要もありました」（中山氏）。

クライアント1社1社に合わせてキメ細かな提案するのがベリッシマのモットー。ECで“売る”ノウハウを持つ同社は次々と信頼を勝ち取り、口コミ、紹介でクライアントを増やしてきた。最近では、ECショッピングカートを提供するASPから企業を紹介されることが増え、WEB制作の比重が増えているという。さらに、コロナ禍による影響でEC化率が上がったことで、メーカー等から「EC事業を始めたい」と相談される機会も一気に増加した。

「最初は小さな案件かもしれませんが、クライアントと一緒にどんどん成長し事業を大きくするのが目標です。そのためのチームを作り、クライアントのために働ける人が集まり、同じ意識を持ってやれば、今よりも面白い、強い会社になると考えています」（中山氏）。

今後は、既存クライアントのサポートをより強化すると共に、さらにクライアントを獲得するのが方針だ。さらにEC支援事業以外の柱として、社内で商品を企画・開発・販売する構想があり、海外市場も視野に入れている。既にトルコからフレグランスを輸入して「東急ハンズ」や「LOFT」に卸す事業を展開。海外との交流を進めていく。

「日本だけでは、今後、需要が減っていくと考えています。海外も取っていかないと勝てないと思っています。輸入はもちろん、輸出もしたいですね。日本企業の商品は良いものが多いので海外で売りたいです。そのためにも、まず、日本でもっと着実な基盤を作っていきます」（中山氏）。

昨今の国際情勢もあって、早期の海外展開は難しい。その前にメンバーを増強して、日本市場で着実に成長したいと同社は考えている。

大阪で設立されたベリッシマが、3年後の2017年に東京へと移った理由はベンチャー企業の多さだったという。現在は、東京都渋谷区にある東京地下鉄副都心線・北参道駅近くにオフィスを構えている。この地を選んだのは、スタッフの通勤の便を考えただけでなく、同社の化粧品やサプリメント分野のクライアントに近く、商談をしやすいことや、ファッション・デザインの中心といえる表参道、渋谷、新宿から徒歩10分圏内だったからだ。

また、EC支援事業を展開し、デジタルに強い同社だが、仕事の進め方がアナログ的な一面があることも背景にある。

「もちろん、当社では様々なデジタルツールを活用して業務を効率化しています。しかし当社はクライアントのサポート、ユーザーからの問い合わせ対応、商品の出荷指示等、アナログ的な業務があります。使っているツールは最新でも“アナログ”のイメージです。そのため、皆が集いやすい場所を選びました」（中山氏）。

オフィス内は「皆の遊び場のようにしたい」という考えが反映されており、ゴルフバッグが置いてあったり、トルコから輸入されたカラフルなフレグランスが並べてあったりする等、明るく開放的でスタイリッシュな雰囲気。定時内で業務が終えられるよう、時間調整等、様々な工夫もされており、クライアントに合わせて、フレキシブルに業務に取り組める環境が整っている。

冒頭にも記したとおり、現在は少数精鋭で業務を推進している同社。会社としてカバーしている業務領域が広いため、メンバーがやることは幅広い。活躍に対しては、ベンチャーらしさを考えて決算賞与等で応えている。

「一人ひとりが“大きな歯車”にならないと、当社は回りません。ここにやりがいがあると思います。新たに入ってくる方は、広い目線から業務全体をコントロールすることができます。クライアント次第ですが、好きなようにでき、自分を表現してもらえる場を用意しています。当社はベンチャーとして10期目を迎え、これからさらにベースを安定させ、新しいことにチャレンジしていきます。そういったところを気に入っていただけたら嬉しいです」（中山氏）。