簡単にIoTを活用できる世界。5つのソリューションで提供するIoTプラットフォーム
MODE, Inc.は、シリコンバレーと東京を拠点にIoTプラットフォームを開発するスタートアップ企業。あらゆるセンサーデータに対応するゲートウェイ内のソフトウェアと、独自開発をした超高速な時系列データベース技術をクラウド上に実装し、データ収集を飛躍的に進化させたプロダクトを提供している。
AWS等を使ったカスタム開発のIoTシステムでは安定稼働をするための監視・運用業務が必須。24時間体制の監視体制も提供される同社のIoTプラットフォームを活用すれば、監視・運用業務を大幅に軽減できる。
「センサーデータ収集に特化したデータベース、デバイスで発生するストリームデータを確実に格納するデータストア等、IoTプラットフォームを構築するプロダクトを自社開発しています。あらゆるセンサーを繋ぐゲートウェイソフトウェアを開発し、センサーメーカーにセンサー・デバイスを登録してもらう『パートナーシッププログラム』を展開して、クライアントの様々なニーズに応える努力を続けています」(CEO/Co-Founder・上田学氏)。
MODEが目指すのは、誰でも簡単にIoTを活用できる世界。カスタム開発では資金がある大手企業ですら、技術的に難しくコストも時間もかかるため、IoTの活用がなかなか進まない。そこで、MODEでは、用途別に次の5つのソリューションを提供している。
☆『MODE BizStack』
全部門共通で使えるIoTプラットフォーム。現場から計測したデータを分析し、業務改善や経営戦略へとつなげるソリューションへのニーズに対応。アナログな業務の多い現場データをクラウド上に集約し、専用のダッシュボードで一元的に可視化することで、経営戦略を効率的に遂行できる。健康管理アプリさながら、誰でも簡単にビジネスの健康状態を把握できる使いやすいUIが特徴。
☆『MODE Sensor Cloud』
様々なデバイスやセンサーから、リアルタイムでのデータ取得とクラウドへの保存を同時に行う。収集したデータをAIに活用したりWebアプリケーションにてリアルタイムでの監視が可能。
☆『MODE Robot Cloud』
サービスロボット向けのフレキシブルで強固なクラウド基盤。ロボットを開発・運用するために必要不可欠なコンポーネントを提供している。SDK経由であらゆるロボットに接続し、Android/Linux(ROS)等に対応。
☆『MODE Mobility Cloud』
車両からのデータを安全運転KPIとして活用。生体センサーから眠気・疲労をウォッチしたり、位置情報・走行データを収集して、経路の最適化を図ったりする。
☆『MODE Factory Cloud』
稼働データとカメラを組み合わせ、設備の稼働状況を監視。累積記録の分析によるラインの最適化、AIを使った予知保全にも活用できる。
「さらに、IoT・コネクテッドに特化したビジネス・技術ノウハウを活かしてクライアントとワンチームで併走支援するコンサルティングサービスも提供する等、クライアントのニーズに合わせてIoT活用をサポートしています」(上田氏)。
Webエンジニアの次のステップ。オフラインでデータ活用するためのチャレンジ
MODEのIoTプラットフォームの強みは、あらゆるセンサーやデバイスに繋がること、そして山奥等、僻地でも確実にデータ収集する技術にある。そのため、建設業界で活用される事例が多い。トンネル、ダム、鉄道工事等、通信環境が不安定なところでもMODEのIoTプラットフォームは利用できる。
アメリカのグーグル本社で2番目の日本人エンジニアとして入社し、Google Maps等の開発に携わり、その後Twitterでエンジニアリングディレクターを務めるなど、シリコンバレーの複数の会社で活躍したエンジニアでもある上田氏は、IoTプラットフォームは、Webエンジニアの次のステップと見ている。
「Webシステムはプログラムで完結する世界。データがあるのを前提にした開発です。極論するなら、リクエストに応えてデータベースからデータを返すだけです。IoTは違います。まず、データ収集のためのシステムを構築しなければならない。これが、答えのない問題で、とても悩ましい。だからこそエンジニアにとって魅力的です」(上田氏)。
Web開発の場合、行き詰まったらインターネットのどこかに解決策が落ちている。IoTはまだ答えがないことが多く、エンジニアがゼロから解決策を考える必要があると上田氏は続ける。
「Webで高トラフィックを捌くのも面白いかもしれませんが、トラフィックが繋がらないところをどうやって繋げるかをゼロベースで考えるのは本当に面白い仕事です。ビッグテックがビジネスで一人勝ちの状況を作っているのは、データ活用してプロダクトを作っているからです。オンラインの世界でデータ活用の上手さがビジネスの勝敗を分けているように、近い将来、オフラインの世界でも同じ現象が起こります。その時に必要なのがIoTプラットフォームです」(上田氏)。
MODEが目指すのは、気軽にIoTを使える世界。カスタム開発に比べ、同社のソリューションを活用すれば、10分の1のコストでIoTを使える。資本力のある大手企業ですらIoTシステムは高コストかつ技術的に難しい。加えて、低コストで導入できるIoTシステムの実現により、中小企業でもオフラインデータのビジネス活用が加速する。
「当社のソリューションは、テクノロジーに力を入れている企業以外が使いこなすには、まだ敷居が高いと感じています。技術力を高めるのと同時にIoTをもっと分かりやすい形で伝える努力も必要だと考えます。最終的には、用途ごとにソリューションを提供するのではなく、一つのIoTプラットフォームであらゆる用途に対応できるようにしたいです。『IoTを買ってきた』と表現される世界を目指しています」(上田氏)。
日本のエンジニアもグローバルな環境で活躍。シリコンバレーの先にある働き方
MODEには、IoTを気軽に使える世界を作るという表のミッションだけでなく、裏のミッションがある。それは、シリコンバレーの先の働き方を模索することだ。
先にも書いた通り、MODEの創業者である上田氏は、アメリカの複数のテック企業で働いてきた経歴を持つ人物。シリコンバレーで働くようになって、日本とは違う自由な働き方に感動したという。しかし……
「20年以上、シリコンバレーで働いて、改善点も見えてきました。社内にカフェテリアがあって、中庭でエンジニアが遊んでいる自由なシリコンバレーの働き方に最初は大きな感銘を受けましたが、シリコンバレーの働き方も決して100点ではないと気が付きました。さらにいえば、シリコンバレーの働き方は古くなってきています」(上田氏)。
上田氏が感じているシリコンバレーの働き方の改善点は「ワールドワイド」。シリコンバレーの働き方は、「アメリカの」「サンフランシスコの」「シリコンバレーの」価値観を世界中に押し付けている。真の意味で「ワールドワイド」な組織を作るには、アメリカも一つの地方という考え方が必要だと上田氏は語る。
「グローバル企業は自社の周辺部で働く人材の価値を引き出せていません。サンフランシスコにいる人達が、自分達の生活を中心に全てを決めています。ヨーロッパもアジアもアフリカも、それぞれの文化や生活様式を持っている中、ビッグテックの支社で働く人材のパフォーマンスを半分も引き出せていません。MODEでは、日本で働くエンジニアもグローバルな環境でもっと力を発揮できる環境を作っていきます」(上田氏)。
シリコンバレーの先にある働き方。それを実現するために必要なものは、場所にとらわれず、同じ仕事をできる環境。MODEにはサンフランシスコオフィスと東京オフィスがあるが、そこに上下関係は一切ない。
「MODEは『本社/支社』という概念を使いません。リモートワーク環境を活用し、サンフランシスコオフィスのエンジニアと東京オフィスのエンジニアが同じチームで働きます。コミュニケーションは英語。ただ、世界の人々がコミュニケーションするための最大公約数の言葉として採用しているだけです。アメリカの言葉だから『英語』を選んだわけではないと、アメリカ人のエンジニアには伝えています。ネイティブスピーカーと同じレベルで話せると思わないでほしい。分かりやすい表現を使う等、相手に対する配慮を求めています」(上田氏)。
時差もある東京とサンフランシスコで、チームの一体感を醸成するのは大きなチャレンジ。代表がメンバーとディスカッションする機会を月に一度設け、メンバー同士のコミュニケーションの場を作っている。
「英語に自信がないけれどもグローバルに活躍したいと思っているエンジニアには、是非とも思い切って飛び込んで来てほしいです。英語を話せるようになるために、会社もメンバーも強力にバックアップします!」(上田氏)。