株式会社IDR

株式会社IDRは1978年に先代の代表が創業した43年の社歴を持つプロダクションである。デザインをメインにして、大手消費財メーカーをはじめ、様々なクライアントの広告宣伝物を手掛けてきた。デジタル領域のニーズが高まったことを受けて、WEB専任のチームを立ち上げ間も無く10年を迎える。2020年4月には先代から40代の現代表に経営のバトンが引き継がれた。
経営体制の若返りを果たした同社は社会情勢の変化やテクノロジーの進化を踏まえ、時代に合わせた表現を積極的に取り入れる。5G時代に適応した動画クリエイティブへの挑戦もその一つだ。
一方でリアルやデジタルと手法は多彩になっても、目指すゴールは変わらない。商材の魅力やメッセージを消費者へ伝え、クライアントが抱える課題をデザインの力で解決に導くのが同社のミッションだ。
「各領域をシームレスに行き来して、デザインによるソリューションを提供したい」そう願う新たなメンバーとの出会いを求めている。

創業以来、同社は日用品や飲食物、化粧品等生活の中にある身近な商材の広告宣伝物の企画とグラフィックデザインを数多く手掛けてきた。
2008年頃からは、パッケージデザインやデジタル領域の相談が寄せられるようになる。グラフィックデザインをメインにしてきた同社だが、領域にこだわらずにクライアントの課題解決や消費者とのコミュニケーションに最も適した手法を提供したいと、2013年にWEB専任チームを発足する。
以降デジタル領域ではWEBサイトのデザインや、デジタルアドクリエイティブ、ブランドムービー制作を行う。リアル領域ではオフラインのメディアに対応したグラフィックの他、パッケージ制作や店頭広告ツールといった立体物の制作、ブランドのロゴやキャラクターの制作等を幅広く手掛ける。
「クライアントの要望にしっかりと応えるための手段をくまなく揃えたい」これが同社の思いだ。

2020年4月には先代の代表が勇退して、土倉瑞生氏が代表取締役社長に就任した。20年以上にわたって同社でデザイナーとして務めた経験があり、現場を熟知する土倉氏は、属人化しがちなデザインワークをチームで共有する体制に変更したり、リモートワークをいち早く取り入れたりとクリエイターが働きやすい環境づくりに注力する。また撮影を含めた全工程を非対面で完結できるサービスの提供を開始する等、新たな生活様式に対応するスタイルを打ち出した。
長い社歴を持ちながらも時代の流れに合わせて進化し続けるIDR。まさに今、第二創業フェーズといえるタイミングを迎えている。

土倉氏に手掛ける案件の特徴やクリエイターのやりがい等、話を聞いた。
同社が手掛ける案件の8割は直クライアントで、誰もが知るナショナルクライアントだ。
土倉氏は「私達の強みは生活者視点です。暮らしの中の気付きを反映して、人々がつい手に取りたくなるようなデザインワークが評価されています。そのため女性向け商材での案件が多く、半分以上を占めています」と話す。
クライアントと直接話し、要望を汲み取った提案ができることもやりがいと話すメンバーは少なくない。

同社は大手消費財メーカーと長い取引があり、レギュラーで担当する複数のブランドを持つ。この場合は年間で施策スケジュールが決まっていて、都度開催されるオリエンからスタートする。その後担当プロデューサーが店頭ツールの制作を行うグラフィックチーム、WEBチームといった具合に施策に合わせてチーム編成を行う。紙媒体は制作に時間がかかるため、グラフィックチームがキービジュアルをデザインして先行して取り掛かるのが基本だ。チーム間で連携しながらプロジェクトを進めていく。

このように女性向け案件を得意とし、かつグラフィックが先行する工程が組まれることから、WEBには機能性以上にデザイン性の高さの方が求められるのが特徴だ。UI/UXにおいてもギミックより、スムーズでシンプルな操作性が重視される。
「当社のWEBデザイナーはWEBを専業とするプロダクションとは違った見せ方、考え方が必要になります。リアルがある中でのデジタルという視点を持ち、リアルのデザインが自分の手にどう落ちてくるのかの流れを理解してWEBデザインに携わっていただきます。クライアントの戦略の一端を知ることができるという意味で、マーケティング領域を目にできます。こうしたところに面白さを感じる方ならば、とても楽しく取り組んでもらえるはずです」と土倉氏は言う。

同社ではWEBチームであっても、希望があればグラフィックに関わるのも歓迎だ。CIやキャラクター開発の案件で、アイディア出しに積極的に参加するWEBチームのメンバーもいる。
それぞれチームに所属し肩書はあるものの、自分のスキルを自由に活かして横断的に発揮してほしいと考えているのだ。

同社はアートディレクター、デザイナー、WEBディレクター、コピーライター、プロデューサーが所属するクリエイター集団だ。土倉氏もデザイナー出身であり、クリエイターを中心に据えた働きやすい環境づくりに注力する。
1チーム3名前後の少人数チームに分けて稼働する体制もそうだ。
土倉氏はチーム制を取る目的をこう話す。
「まず小さなチームを多く作ることで、マネジメントを経験してもらう機会を増やしたかったことがあります。チーム制にして2～3年が経ち、リーダーシップを発揮するメンバーが増えた印象です」
「もう一つ、クリエイティブワークではどうしても高くなりがちな属人性を下げたかったことがあります。会社として継続的にいいものを提供し続けるためには、個人が止まると進行もスタックすることは避けたい。チームで共有することで、個性を出しつつも一定のクオリティーを保ったクリエイティブが可能になりました。またチームワークにしたことで、休みを取りやすくなりました。当社は個人が生活を大事にすることで、生活者の目線に立ったクリエイティブができると考えています」

リモートとオフィスへの出社は、仕事の都合や個人の事情に合わせてフレキシブルに選択できる。また裁量労働制で、各人のライフスタイルを尊重する。
「朝型の方もいれば、夜型で力を発揮しやすい人もいます。こちらが一律に決めることはせず、皆の『こうしたい』に応えたいと思っています」と土倉氏。
福利厚生も子育て支援やリゾート、エンタメサービス等、社員の家族構成や用途に合わせて自由に選択できる新たな仕組みを導入した。
各自が裁量を持って選択できる幅を広げることで、ストレスを感じずに働ける環境にしたいとの思いが伝わる。

働きやすい環境とチームワークがベースにあって、社内のコミュニケーションはスムーズだ。
土倉氏をはじめ、メンバーがとても穏やかにゆったりと話す様子が印象的だった。緊張感を持たずに自然体で働いている様子だ。社内の和やかな人間関係が伝わってくる取材だった。
「クリエイターが楽しく、活き活きと活躍できる環境を大事にして会社運営に取り組んでいます。クリエイターにとって、良い環境だと思うので是非ご応募ください」とは土倉氏からのGreenユーザーへのメッセージ。
クリエイターが主役の会社で、領域を限定せずに良いものをつくりたい。そう感じたならば、是非コンタクトを取ってほしい。