大手企業との直接取引で築いた40年の歴史
中央システムサービス株式会社は各業界の大手企業をクライアントに、業務系アプリケーションシステム開発を手がけるSI企業である。同社では、プロジェクトの立案から分析、設計・開発といった上流工程に強みを持ち、クライアントのニーズに確実に応えるオーダーメードのシステム開発を手がけて着実な成長を遂げてきた。また、受託開発案件や各種システムの運用・保守までトータルで請け負う体制を整えているだけでなく、医療業界に特化した自社製パッケージソフトの開発も手がけている。
大阪にはSI企業が数えるほどしか存在しなかった1977年に設立された同社は、設立当初からクライアントとの直接取引にこだわって事業を展開。現在では大阪ガス、コクヨ、大丸、アイシン精機、オムロンをはじめとする、名だたる大手企業との取引を行ないながら、新たな事業領域の拡大を目指している
公平な評価基準とスキルアップ
直接取引を行なうことで、手がけたシステムに対するダイレクトな評価を得て、それを社員の評価に直結できる。学歴や年齢、上司と部下の相性などで歪んだ評価を与えられる場面も少なくない中で、同社ではクライアントからの評価を社員の評価基準の一つとすることで、極めて公平で正当な評価を行なっているのである。
給与や待遇が仕事の成果に比例せず皆が一律であるのが「平等」であり、仕事の成果や各自の技術レベルなどに沿った給与や待遇が与えられるのが「公平」という考え方である。同社にはそうした価値観を共有できる人材が集まり、常日頃から互いに切磋琢磨している環境があるという。
同社ではそのような考え方に基づいて、社員一人ひとりのスキルアップにも注力している。エンジニアを対象とする各種国家資格から、各ベンダーが認定するベンダー認定資格まで、業務に役立つ幅広い資格取得の全面的なバックアップ制度が整えられている。情報処理の基礎力を証明する基本情報技術者、より専門的で高度な知識・スキルを証明するシステムアーキテクト、さらにはプロジェクトマネージャといった各種国家資格のほか、マイクロソフト、オラクル、IBMなどの大手ベンダーの認定資格まで、業務に役立つ幅広い資格取得の全面的なバックアップ体制が整えられている。また、外部研修への参加も奨励しており、その費用も同社が全額を負担する。さらに、各種資格取得の際には、資格取得の祝い金まで支給しているほどである。また、研修以外の場面においても、自主勉強会を定期的に行なうことで、情報やノウハウの共有を通じて各自の継続的なスキルアップの実現を目指している。
これらの取り組みによって、経験の乏しい若手エンジニアも次第に実力を磨き、SE、プロジェクトリーダーへと着実にキャリアをアップさせる環境も整っている。上昇志向の強いエンジニアにとっては、具体的な目標を定めやすく、長期的な視点で成長を実現できる環境といえるだろう。
これも前述の「公平な評価」という考え方に基づいての結果である。スキル不足とコスト意識の欠如により、残業を繰り返すエンジニアが多くの残業代を得るのはナンセンスという発想から、作業時間とコスト意識の徹底をスキルアップへのモチベーションに変えているのだ。さらに、マネージャーは無駄を省くだけでなく、柔軟な工程管理を心がけている。柔軟な工程管理が可能なのは、同社が直接取引を行なっているというメリットが活きているからである。残業の削減によって、仕事以外のプライベートな時間も大切にできることも、同社の魅力の一つとして挙げることができる。
期待の新規事業と求める人材像
大手クライアントのシステム開発を手がけるSI事業とは別に、医療事業の展開にも積極的だ。これからの事業の大きな柱として期待されるのが、医療機関向けのITサービスだ。IT化への取り組みが立ち遅れていた上に、医療費削減への取り組みが強化される一方の医療業界では、医療システムの導入が急務となっている。
需要が高まるだけでなく、その市場規模はほぼ未開の状態にある医療システム分野に向けて、既に100以上の医療機関に導入実績を持つ既存パッケージである病院向け医薬品在庫管理システム「K-1 CUBE」導入のノウハウに加え、医療施設全体のITサービスを提供することにより、飛躍的な成長が見込まれている。人材不足が叫ばれる一方で、開発現場に漂いがちな閉塞感から脱け出したいエンジニアにとって、同社は新たなチャレンジを目指すにふさわしいステージとなる可能性を秘めている。