株式会社ファーストエスコ

地球温暖化と共に環境問題がグローバルな領域で問われている。そんな中、「環境と経済の両立」をテーマにして省エネや発電の分野で急成長を遂げ、創業8年にして東証マザーズ上場を果たしたのが、株式会社ファーストエスコである。

ESCOとは、「総合エネルギーサービス」を専門に手がける企業体のことで、省エネを単なる技術論や精神論として掲げるのではなく、ト－タルサ－ビスという新しい価値を付加することにより、市場経済原理に則った省エネルギーサービスの達成を目指すというものだ。

ファーストエスコは、“環境と経済の両立する社会づくり”という理念から、日本で初めての独立系専業ESCOとして生まれた。設立の1997年は、奇しくも地球温暖化防止京都会議が開かれた年でもあった。同社はまさに、日本における「省エネルギー支援サービス」のパイオニアといえるだろう。

同社設立の経緯には、「環境を良くしながら、同時にお客様の利益も追求する」、「ビジネスになるとともに、社会貢献にもなるべきだ」という明確な目的意識がある。人と自然が共存する持続可能性ある循環型社会を構築する責任・行動が企業に要請される今、同社の存在意義はますます大きくなっている。

同社が設立時から主力事業として行っているのが、省エネ支援サービスである。

具体的には、同社がクライアント企業の工場や商業施設などの設備におけるエネルギーの使用状況を調査して診断を行なう。その結果に基づき、実際の省エネルギー対策設備・システムの設計や施工を実施し、導入後の運用までを一貫してサポートするというものだ。それにより、クライアント企業は固定費としてかさむ光熱費を大幅に削減することができ、同時にCSR（企業の社会的責任）を果たすことができる。

先述したように、同社は日本初の独立系専業ESCOであるため、パイオニアゆえの大きな強みが3つある。

一つ目は、豊富な経験に基づく総合的な提案力だ。パイオニアとして実績と専門的な知識・ノウハウを蓄積していることはもちろん、多彩なバックグラウンドを持つ優秀な人材を確保していることも挙げられる。

二つ目は、独立系のESCO事業者であるがゆえのメーカーフリーの強みだ。どこかの電力会社の子会社として成り立っているわけではないため、クライアント企業の既存の設備に応じて最も効率的かつ経済的な設備を提案することができ、理想的な省エネを実現することができるのだ。

そして最も大きな強み、それは同社独自のサービススキームである。中でも特徴的なのが、同社が顧客企業に代わって設備投資を負担するシェアード・セイビングス契約だ。顧客企業は初期投資ゼロで省エネルギーと、CO2などの排出削減を実現でき、同社はそのパフォーマンスに応じて利益をもらう、という同社が日本で初めて導入した画期的な契約スキームである。削減された光熱費の中から初期投資、金利などの費用を回収し、さらにESCOの経費を差し引いたものが企業の利益となる。削減できる光熱費は最大で4割にものぼり、この削減量は契約時に保証するため、もしも達成できない場合には差額分を同社が補填するのだという。

卓越した専門性を活かし、省エネ診断から設備運用、さらには効果保証までのフルサポートで、クライアント企業の利益向上と地球環境の保全に寄与している同社。今の時代の要請に応える、まさに新しい発想と使命感を持ち併せた企業といえるだろう。

一つの事例を紹介すると、名古屋市のアルミ圧延工場で、年間の使用電力量を3年間で42%も削減することに成功している。この案件では、調査の結果、空気を圧縮するコンプレッサーに廃熱ボイラーの蒸気を利用することを提案した。また、モーターの回転速度を調節するインバーター制御なども導入した。このほかにも、複数の大手有名企業をはじめとして、製造業、小売、公共団体、学校法人、ホテルなどが同社のサービスを導入している。

2006年から同社が新たに手掛けているサービスがある。「木質バイオマス発電事業」である。
省エネルギー事業で環境改善を図る同社だが、「やはり省エネだけでは根本的な解決にはならない」という想いから、エネルギー自体を創り出す資源に目を向けたのが発電事業を手がけたきっかけだという。

バイオマスとは、生物資源（Bio）の量的かたまり（mass）を表しており、「再生可能な、生物由来の有機性資源（化石資源を除く）」を指している。バイオマス燃料は、燃やしてもCO2を増加させないカーボンニュートラルであり、環境に優しい新燃料だ。同社では、各地域で処理に悩んでいる木質残材（木屑）を再資源化し活用することで、環境価値の高い新エネルギーによるバイオマス発電を全国3箇所で行っており、循環型社会の形成に貢献、近隣の労働力の雇用にも貢献している。

2009年3月、同社はバイオマス発電において、グリーン電力発電設備認定を取得した。同社のグループ会社である株式会社ウッドパワーの発電設備が、グリーン電力発電設備基準に適合しているという認定を、財団法人日本エネルギー経済研究所およびグリーンエネルギー認証センターから受けたのだ。これにより同社は、岩国ウッドパワーが発行するグリーン電力証書を顧客に販売するという形で、顧客のCO2削減を支援することができるようになった。

同社に入社するメンバーは全員が中途入社である（将来的には新卒も採用する予定）。ESCO自体が新しい業界であるため、同社には様々なバックグラウンドを持ったメンバーが集まっている。異なる業界経験や専門性を持った人材が融合し、プロフェッショナルとして自律的に仕事をすることで活力を生み出しているという。

但し、単なる異文化だけの集まりで短期間でのマザーズ上場はありえない。「環境と経済の両立する社会づくり」という理念の共有と社会貢献へのこだわり、そして抜群のチームワークがあるからこそ、それらがうまく溶け込み、活かされているのである。

今、世の中に存在しないものを知恵と工夫で生み出し、社会を巻き込んで地球環境を守る……そんな活動を行なうために、社員達は常に自らが考え、提案をして会社を創り、事業を創ることを楽しんでいる。同社のビジョンに共感し、アイデアを生かして環境と社会に貢献する仕事をしてみたいという、挑戦意欲溢れる人の応募を待っている。