株式会社カタログハウスにジョインした背景は?
雑誌や書籍の編集者であり、デジタルコンテンツのディレクターでもあり、メディアのプロデュースや編集長も務めてきました。異色なところではシリコンバレーのテック企業の日本法人の立ち上げに呼ばれてサービス開発を担ったこともあります。コンテンツに向き合いマーケットを開発してきた自分のキャリアは、広義の「編集」だと捉えています。 直近では、デジタルマーケのコンサルティング会社に所属していました。WEBメディアの再建を目的に招かれ編集部のメンバーとして入社したはずが、気が付けば事業の立ち上げを次々と担当し、最終的には経営企画の領域を担うようになっていました。 このまま経営や管理に近いポジションでキャリアを積んでいくのか。そんな岐路に立っていたタイミングで当社からオファーを頂きました。自身の経験を活かしたウェブメディアの編集とウェブマーケティングの双方に関わることができ、しかも事業開発の要素もあることに惹かれ、当社にジョインしました。
カタログハウスの強みは、どこにあると感じていますか?
カタログハウスには他にはない3つの強みがあると分析しています。 ・強烈なファンでいてくださる120万人のロイヤルカスタマーの存在。 ・「いいものだけを扱う」「平和や環境にこだわる」というブランド認知。 ・結果としての安定した経営基盤。 これらはマーケティング施策や短期的な事業企画で再現できるものではありません。 そもそも、当社のビジネスモデルは非常にユニークです。 カタログ誌を活用した通販事業でありながら、硬派なジャーナリズムを扱うメディア事業でもある。この二つの事業を巧みに融合させたことが成功要因であり、今では『通販生活』は120万人ものロイヤルカスタマーに支えられ、市場で独自のポジションを築いてきました。 いま、そのロイヤルカスタマーの高齢化により、事業の転換が必要になっています。会社を持続的な成長へ導くには、いまよりひとまわり若いカスタマー層に向けたデジタルシフトが不可欠です。これまで通販雑誌の補完的な存在だったWEB事業の刷新プロジェクトが始動した背景はここにあります。 私と同時期に採用されたシニアマネージャーの川名は、無印良品でWEBマーケティングを手掛けてきた人物です。私はWEBメディア寄り、川名はEC寄りの視点から、当社のWEB戦略を再構築し、新しい顧客体験の創出を目指しています。
ウェブ通販事業の部長として、どんな仕事をしたいですか?
ウェブ事業の売上目標を達成することが、当然ながら私のミッションです。 そして達成のための戦術キーワードのひとつが「おもしろまじめ」と思っています。「おもしろまじめ」というのは、『通販生活』に流れる”人格”みたいなものです。 物事を追求しすぎる真面目さからにじみ出るおかしみ。 おもしろさを表現しようとすること自体の真面目さ。 情報も商品も手法も世界中で同質化していく世の中で、ウェブ通販生活のメンバーである私たちの仕事への向き合い方も「おもしろまじめ」に、そしてコンテンツも「おもしろまじめ」で差別化を図っていきたいと思っています。 当社は基幹システム・ECシステム・WEBメディアの全てを自社でフルスクラッチ開発しています。テーラーメイドなシステム環境ならば、制限を受けずにやりたいことを追求できる。編集者としてもマーケターとしてもこの上ない環境です。私が入社を決めた理由の一つでもあります。 いままで、WEB通販生活はカタログ誌の補完的な役割にとどまっていたため、必要なデータの取得が十分ではありませんでした。従来のカタログ事業とWEB事業では、必要とするデータの種類も性質も異なるのです。 入社後、最初の1カ月は、WEB事業に不可欠なデータを集める仕組みづくりに集中しました。現在は、データ集計の土台が整い、おもしろまじめな新しいWEB事業へ向けたリブランディングのタイミングを迎えています。
WEB人材がカタログハウスで働くメリットは?
当社には、紙のカタログ雑誌を長年発行してきた実績と独自のノウハウがあります。出版社と比べても遜色ない編集体制に加えて、本社の地下には撮影スタジオや100名以上が入れるホールを備えているなど制作環境も十分です。紙とウェブの組織は別ですが、これらのソフト面・ハード面の資産に気軽にアクセスできることは、特にWEBメディアの編集経験しかない方ににとって贅沢な環境といえるでしょう。 私自身、デジタル・アナログ両方のメディアで編集経験がありますが、情報を発信するという本質的な観点では、媒体の違いはあっても編集の根幹は変わりません。WEB編集経験のみの方はもちろん、紙の編集の方もデジタル好きな方ならばウェルカムです。 一方、WEBマーケティングの領域では、自社デジタル事業を広く運営できるという点こそが魅力だと思っています。トリプルメディアとローデータを自在に駆使し、当社の優れた商品を消費者に認知し購入してもらう。小売りでありメディアであるという当社ならではのスケールの大きなマーケティング活動は、他にはないやりがいを感じられることでしょう。 ウェブ通販生活部のメンバーには、WEBメディア運営、EC運営、デジタルマーケティングのすべてに関わっていただきたいと思います。職域の垣根のない組織であることでスピード感や風通しのよい企画が生まれると思うのです。 それぞれの領域のプロフェッショナルがお互いの仕事を近くで触れることで、自身のスキル領域を広げる契機にもなることでしょう。
カタログハウスは、どんなカルチャーの会社だと感じていますか?
当社は、50年近く“通販雑誌”という独自の事業を運営してきた会社です。その歴史があるからこそ、古い体質が残っていたり業務の進め方が独特な面があることは事実です。入社した当初は、会社に私の新卒の頃ですら体験したことのない古い業務慣習が残っていることに驚きましたが、それらは各現場の合理性から確固としたスタイルとして継続している印象です。 一方、ウェブ通販部は、新しい顧客層に向けて価値を提供するために組織されたチームです。業務の進め方や働き方、コミュニケーションに関して積極的に新しいことやメンバーの意見を取り入れるカルチャーがあります。これから入社する方にも、そうした領域でのアイデアや視点を出してもらえると非常にありがたいです。 『通販生活』は、「憲法9条」「原発・核兵器」「沖縄」等の政治的テーマを扱うことで知られています。私も入社前、政治色の濃い会社なのかと少し身構えていましたが、実際の社内は驚くほどニュートラルな印象です。 ウェブ通販部では、生活者目線での”おもしろまじめ”なEC兼メディア運営をベースに、当社が大切に守り続ける「買い物は平和な社会でなければ成り立たないから」というメッセージを、新しい顧客層にも馴染んでいただきやすい切り口を探しながら届けていくつもりです。
