強みや独自性ではなく、 “お客様の役に立つ”という基本姿勢が自社の成長要因
クライアント企業に対し、事業計画の立案や戦略策定、IT関連事業やDXにおける取り組みを支援するコンサルティングサービスにより、企業としての成長を続ける株式会社ストラテジーテック・コンサルティング。東証一部上場を果たした国内大手コンサルティングファームの創業メンバーでもあった代表取締役・三浦大地氏は、コンサルタントとして20年以上の経験と知見をもとに、2019年11月に同社を設立。その三浦氏に、設立2年目にして大きく躍進する自社の特徴や業界内での強みについて聞いたところ、意外な答えが返ってきた。
「同業他社にはない何かしらの強みがあると思われるかもしれませんが、当社には大きな特徴も強みもないと、僕自身は思っています。その必要性も感じていませんし、必要なのはあくまでも“お客様の役に立つ”という姿勢だけだと思っていて、そのことを社員全員が形にしてきた結果が今の当社の実績となっていると思っています」。(三浦氏)
現在同社では、「デジタル事業戦略コンサルティング」「インターネットサービス」「動画配信サービス」を事業内容として掲げ、2020年9月には企業の基幹システムのクラウド化(ERPクラウドソリューション導入)支援を専門に行う株式会社SIPを立ち上げている。事業戦略策定に加え、実務面や業務オペレーション関する面もトータルに支援し、企業が直面する問題を解決するためのサポートを行うことが、同社の事業コンセプトということになる。そこにあるのは、何よりも課題解決という顧客に対する価値提供を重視し、真の意味で“役に立つこと”で対価を得るべきだという強い思いなのである。
「前職を退職後、僕は一旦“引退”という道を選びました。しかし、社会につながるための活動をせず、お金を稼ぐこともしないというその引退生活は、本当につらいものでした。価値観は人それぞれ違うものですが、僕にとっては社会活動の中で問題解決力を上げていくことと、生きることの楽しさを感じることが比例していることに気づいたんです。それが、当社を設立するに至った経緯と言えますね」。(三浦氏)
物事に関する知識を得ながら知見を蓄え、問題解決力を上げていくことで、人生を送る上での喜び、楽しさが大きくなっていくと考える三浦氏。その思いをサービスに昇華させながら、自社の取り組みによって世の中にイノベーションを数多く生み出すことに寄与していきたい。それこそが、同社を設立した三浦氏の思いだと言うことができるだろう。
「世界中のイノベーションを支えるプラットフォーマー」を目指して
現在、設立2年目の企業として事業を展開している同社だが、その売上高は今期20億円を超える見込みだと、三浦氏は語っている。そして、5年後の売上高として100億円の達成を視野に入れている同社では、今後どのような事業展開をイメージしているのか。その答えとして同社が掲げているのが、「世界中のイノベーションを支えるプラットフォーマーになること」という目標だ。
「現在、当社で展開しているサービスをグローバルに提供していく。それが今後の目標となっていて、まずはASEAN地域、その後にUS、EUというエリアに拡大していきたいと考えています。また日本国内においては、地域創生を目指した取り組みのお手伝いも、新たに始めています。僕の出身地である青森県の弘前市を“デジタルイノベーションシティ”とする構想があって、県や市といった行政機関の活動に当社の知見とノウハウを活用しながら、構想実現に協力するという活動です」。(三浦氏)
この活動については、同社の事業所を当該の地域に設立して人材を登用することで、現地の求職者が就職先を他県に選ぶことで起こる人口流出を抑えることにも寄与しているという。それと同時に、受託開発案件やAIを駆使した最新技術を取り扱うプロジェクトなどを招致しながら、人材の流入をも促進する取り組みを積極化させているということだ。
「青森県での取り組みが形になった後には、過疎化が進む全国の都市に活動を広げ、地方を活性化するための力になっていきたいと思っています。その実現のためのプロダクトをいくつか考えているのですが、その1つが2021年4月に始動したDXプラットフォーム総合サービスブランド『ContactEARTH』なんです」。(三浦氏)
自身の経験を踏まえ、企業がコンサルティング会社に業務を依頼する理由は「自社にない知見の獲得」「労働力の獲得」の2つを挙げている三浦氏は、同時にこれらの業務を外部に委託することでクライアント企業の社内に生じる問題も実感してきたと語る。その解決を目指したのが『ContactEARTH』であり、採用支援やケーススタディの共有といったメディアを展開することで企業の内製化を促進するプロダクトとなっているのである。
「コンサルティング業務を進化させたものとして、僕たちはこれからこのSaasプロダクトを展開していきたいと考えています。総合的に、さまざまな業種・業態のお客様のお役に立てるサービスを提供する“デジタルイノベーションプラットフォーマー”として、企業としての事業バリエーションを増やしていきたいと、当社では考えているんです」。(三浦氏)
基本理念、指針に共鳴し、前向きな姿勢で共に上を目指せる人材を求める
顧客企業にとって真に役立つサービスを提供し、知見・経験を活用しながら進化させた取り組みによって、グローバル展開、地域活性化、企業のDX化推進に注力していくという同社。そんな事業構想を持つ同社では、どのような人材を求めているのか。その点について質問したところ、三浦氏は次のように答えてくれた。
「繰り返しになりますが、“お客様の役に立つ”という基本的な考え方に共感できるかどうか。それが当社の採用基準になります。重要なのはその人材の過去の経歴でも、経験でもスキルでもありません。言い過ぎかもしれませんが、スキルはコストをかければ調達できるというのが僕の考え。その要素よりも、仕事に明るく取り組めるかどうか、前向きに思考できるかどうか、つまりその人の“人柄”を何よりも重視しているんです」。(三浦氏)
同社では、ある2種類のカードを在籍する全社員に配布しているという。それは、メンバーたちが心がけるべき信条や行動指針をまとめた『Credo』と、目標達成にチャレンジする上で必要となる具体的な考え方を記載した『Work Concept』というものだ。この2つのカードがあるからこそ、目標に向かう中で躓くことがあっても、また仕事を進める上で迷いが生じることがあっても、基本に立ち返って前向きな姿勢を取り戻せると、三浦氏は説明してくれた。
「『Credo』には、企業としてのビジョンやミッションに加え、社員としての価値や可能性、モチベーション、スキルアップに関することについての考え方が記載され、僕たちはその内容に則って活動していると言えます。そこに共感できる方を仲間として迎えたいと思っていますし、“稼ぎたい”“スキルアップしたい”“成長したい”という前向きな気持ちを持って参加してほしいと思っています」。(三浦氏)
最後に転職者に向け、三浦氏にメッセージを贈ってもらった。
「僕自身、これまでの経験の中で“人を見るのが経営”と教わってきました。現在は、“自分の価値はどこにあるのか”“人材として市場価値はあるのだろうか”と悩む方も多いかもしれません。自分の市場価値を見極めながら、仲間たちと一緒に上を目指せる当社の環境で、ぜひ前向きな姿勢で業務にチャレンジしてみてほしいですね」。(三浦氏)