株式会社旭エンジニアリング

機械部品、モータ、ベアリングなどのメカ部品の商社である旭日興産株式会社から、1970年に営業技術部門を独立させ、設立されたのが株式会社旭エンジニア リングだ。同社はまだステッピングモータが産業界に広く認知される前からステッピングモータの拡販に着手し、その駆動回路や制御方法など様々な技術的問題に取り組んで来た。以来30年以上に渡って特殊なモータや制御装置などを、国内産業界の一流の顧客向け、というよりも顧客が開発する装置ごとにカスタマイズして提供するという事業を続け高く評価されている。<br /><br />したがって、同社の製品は、全てが自社ブラン ド。現在は、製品企画、設計、品質保証などのコア業務にリソースを集中したファブレス体制を敷いている。本社は旭日興産と共に麹町にあるが、実際のファクトリーは小平市。東京の郊外で若い技術者達が各種の計測機器やコンピュータを駆使し設計、研究開発に没頭している。

ハイテク関連産業の機械装置が多様化する中、モータ制御にも特殊な性能が求められるようになったと語るのは、小平事業所長。様々な環境において、無駄なく最大のパフォーマンスを上げることが要求されるという。従来の汎用的な制御装置では実現不可能なこれらの要求に応えるため、同社ではこれまでに培ったノウハウと技術を結集し、最適な製品を作り上げる。<br /><br />「スーツのイージーオーダーのようなイメージです。ある特定の駆動軸にぴったりとフィットし、最高の効果をあげる制御系を構築するためには、機能のアレンジしかないのです。」と同氏。 顧客からの要望を聞き、それを実現する為の最適な方法を検討し提案する。蓄積したノウハウをベースに、多角的なアプローチができるからだ。多くの先端企業からの信頼を得られる要因は、同社のきめ細かなフォローと技術サポート力に他ならない。 <br /><br />なぜ、同社だけがこのきめの細かいサポートをできるのだろうか。それは、小規模精鋭体制による小回りの良さ、意思決定の早さが決め手だと事業所長は明かす。柔軟な対応が評価に繋がっているのだ。<br /><br />今、同社はステッピングモータ制御のエキスパートとして、顧客の装置の開発構想段階から参画するようになっている。この仕事は非常にエキサイティングだ。顧客側の様々な制約条件の中でどうしたら最高の性能を発揮する事ができるか？顧客と一体になって検討と実験を繰り返し完成させて行く。<br /><br />技術者は、顧客先に出向きパフォーマンスのつめを行う事も多い。 サポート担当となれば関東や関西或は九州などにある顧客の開発拠点に度々出張に出る事もある。また、顧客の業界は半導体製造装置、工作機械、医療機器、IT機器、通信機器、バイオテクノロジーなど産業界全般にわたる。いつも同じ仕事でなく、色々な技術分野に興味を持つ人に向いているといえるだろう。

モータの基本技術は既に確立している。従って、IT、バイオ、コミュニケーションなど良く耳にする業界の様に脚光を浴びる事は少ない。しかし如何なるハイテク分野においても物理的に物を動かしたり加工したりする事が必ず必要であり、その手段としてのモータにも様々な性能が要求される。その為には、工夫のしどころが山ほどあり、そこに挑戦し続けることは、 ハイテク分野の技術をバックアップする事に通じると、事業所長は説く。今をときめく全てのハイテク技術も、これらのモータ制御技術があってこそ存在しているのだ。<br /><br />そして、技術だけでなく、技能も必要なのがこの仕事だ。すなわち、職人のように、経験と勘も重要なのだという。<br /><br />旭エンジニアリングの社風は、トップダウンではなくむしろボトムアップ型の組織風土だという。こんな風にしてみたらどうだろう？こんな考え方は他社には無い？と いう技術者の提言やアイデアが活かされている。だからこそ、一流の顧客に評価される一流の製品を提供し続けていられるのだ。稟議のリードタイムも短くス ピード感があるのは、技術集団的な良さでもある。産業界を支える技術を補助し、さらに発展させていくために必要な同社の事業。同社のこれからを支えていく技能者達の参画が待たれる。