連結決算アウトソーシングにおける豊富な実績とノウハウが強み
株式会社アバント(東証一部上場)グループの株式会社フィエルテ(FIERTE CORPORATION)は、連結決算や連結納税などの業務をアウトソーシングで受託するサービスを展開する会社だ。2017年8月、連結決算ソフトウェアベンダーとして業界屈指のシェアを誇る株式会社ディーバからの事業分割により設立された。本社は東京都新宿区西新宿にある。
主な業務内容は顧客業務の一部代行だが、単なるアウトソーシングではなく、連結決算、単体決算、海外決算、開示などあらゆる業務のシェアード化(効率化・自動化)をおこない、「顧客の財務会計や財務経理組織の進化を促すこと」を目指す。
大手上場企業の管理部門(CFO・CIO組織)では、コストアウトのリスクをできる限り極小化するため、正規社員の総数を抑制するニーズが高い。その一方でM&Aや事業成長を続けるため、管理部門のミッション範囲や業務総量は拡大する。フィエルテは業務の属人化やボトルネックを解消しつつ、各種情報の分析や活用をはじめ、管理部門がより経営や事業に注力するための環境づくりを担う。
フィエルテは約130社の顧客を有しており、2019年6月期の年間売上は、非公開ながら約16億円、2020年6月期は約20億円とされる(※)。年間成長率は125%前後を維持しており、2021年6月期は約25億円を見込む。
※アバントの2020年6月期有価証券報告書「アウトソーシング事業」セグメント売上高
連結決算アウトソーシング事業は、フィエルテ設立前の2011年からおこなわれてきた。現在はアバントグループの中核事業にまで成長し、その間に新たなマーケットも開拓してきた。専門的な領域におけるアウトソーシングサービスへのニーズは、ガバナンス強化や人口減、働き方改革による人手不足、採用難、育成難などの観点から、日増しに強まっている。アバントグループとフィエルテは独自のブランド戦略を展開し、よりきめ細かなサービスを提供することを通じて、顧客の意思決定を早め、成長速度を加速させることに貢献する。
多様化するニーズに柔軟に適応可能な集団として、進化し続ける
フィエルテはアウトソーシング業務を「任せる化」と表現し、顧客のCFO・CIO組織が抱えるさまざまな業務やプロジェクトを受託している。その約8割は連結決算業務(3カ月サイクル)で、ほかにも単体決算(1カ月サイクル)、税務(連結納税)、原価計算、システムBPOといった業務にも取り組む。またサービスの拡大を図るため、ITソリューションを駆使したグローバル資金管理システム事業(TMS)にも力を入れている。
メインの顧客は、兄弟会社であるディーバが提供する連結会計システム「DivaSystem」を利用している企業だ。そのほか、グループ会社を多く有する大手企業や、海外展開を積極的に手がける中堅企業も顧客に多い。フィエルテのサービスは、これらの組織で恒常的に抱えがちな「業務における属人化や人的リソース不足の問題」を支援する。
今後のフィエルテは、ITテクノロジーを駆使した「プロダクトによる価値の提供」に力を注ぐ。フィエルテの資産は、アウトソーシングなどの事業を通じて蓄積してきた、顧客の「ログ」だ。これまで約130社、売上規模でいうと数十億円~数兆円企業の業務ノウハウを得てきた。フィエルテは今後も引き続きログを蓄積するべく既存のアウトソーシング事業拡大を進める。それと同時に、蓄積されたノウハウをプロダクトに置き換え、多くの人手に頼らずとも高品質なサービス提供が可能となるような、「プロダクトアウト型」の事業の確立を目指す。
さらに、顧客の事業や組織をより深く理解できる立場や、他社との違い・優位性を俯瞰的に見ることができる立場を最大限に活かし、競合サービスよりもさらに一歩踏み込んだコンサルティングサービスの提供を進展させる。加えて、数々の実績の中で培ったノウハウの「標準化・一元化」、サービスのIT化を駆使したカタチでの自動化なども進め、独自のサービスシステムを構築する。これらの展望をキーワードにまとめるなら、「仕組み化・シェアード化・オートメーション化」となる。
「そこそこの年収、そこそこの生き方」という人にはアンマッチ
2020年7月時点の従業員数は約200名で、平均年齢は32歳。男女比はほぼ同数だ。アウトソーシング業務には約170名が従事し、シェアードサービス部、コンサルティングサービス部が決算関連業務を担当。そのほかの構成は、営業組織が約10名、TMS事業部が6名、プロダクト開発部が12名、人事が3名、管理部が4名となっている。
基本的な就業時間は9時~18時だが、決算アウトソーシング部門は変形労働時間制を導入しているので、繁閑の波がありメリハリのつけた働き方が可能。事業場外みなし労働時間制、裁量労働制(部門や職位による)が適用される場合もある。
休みは完全週休2日制(土・日)、祝日、年末年始休暇、夏季休暇などで、2018年度の年間休日実績は124日だった。年次有給休暇は法定通りだが、最大5日間の「前借り利用」ができる。
通勤手当は、月15万円まで支給される(非課税限度額範囲内)。福利厚生は、各種社会保険完備、従業員持株会(奨励金+20%)、慶弔休暇・慶弔見舞金制度、育児・介護休業制度、関東ITソフトウェア健保組合の各種制度利用可など。また、無料のウォーターサーバーや新入社員歓迎ランチ費など、福利厚生の内容を従業員自身(立候補制による福利厚生委員会)が決めている。
2020年7月~2021年6月期は、200名規模から250名程度へ増員する計画だ。今回の採用では学歴は一切不問。若手層や未経験者ばかりでなく、早い段階での即戦力を想定した実務経験者や、マネジメント層候補者も求めている。選考にあたっては、成長志向、上昇志向を重視する。会社として少なくとも全社員が年俸600万円を得られる成長環境、収益性をつくり続けることにコミットしていく方針のため、「給与を上げたい」、「稼ぎたい」といった率直な動機も歓迎される。
フィエルテは一部上場企業グループ内の小さな会社で終わるつもりはなく、「売上100億円、従業員1000名」を1つのベンチマークとして、さらなる成長を目指す。個々人に求められるものは、能力や地頭よりも「成長したい」という強い気持ちだ。