名門メーカーのチャレンジ!目指すは日本でナンバーワンのオートモーティブSaaS企業
1938年創業の名門メーカー「パイオニア」。言わずと知れた世界的な音響機器メーカーであり、近年はカーエレクトロニクス製品の開発・販売をメイン事業に据えてやってきた。
そんなパイオニアが、今、DXにチャレンジしている。
GPS技術を活用したカーナビを世界で初めて市販向けに発売した実績を持つパイオニアは、社名の通り常に時代の一歩先を歩んできた。モバイルでのデータ通信が普及し始めた2002年には、いち早く通信機能を搭載したカーナビを開発。さらに、2015年には自動車向けビーコン端末を活用し、ドライバーのスマートフォンに情報を配信するソリューションを提供するなど、モビリティサービスの分野でも最前線で時代を切り開いてきた。
そして現在、パイオニアは、テレマティクスの分野ではトップランナー。今後は、日本でナンバーワンのオートモーティブSaaS企業に変貌を遂げるべく組織変革にも着手。DX推進へ向けて人材の確保を急いでいる。
2019年10月に設立された「モビリティサービスカンパニー(以下MSC)」は、パイオニアが持つデータやアセットを活用してオートモーティブSaaSあるいはMaaSのサービスを開発するために生まれた、パイオニアの社内カンパニー。パイオニアDXの急先鋒だ。
「100億キロの走行データをはじめ、カーナビから採取した、簡単には入手できない大量のデータを、パイオニアは持っています。当社が持つビッグデータは、まだまだ手付かずの状態。それこそ宝の山です。常に時代の先端を歩み、『世界初』『日本初』を生み続けてきたパイオニアは、データカンパニーへと生まれ変わります。そのための組織としてMSCが立ち上がり、デジタルテクノロジーを最大限に活用した新しいサービスを提供していきます」(モビリティサービスカンパニー CCO&CMO・石戸亮)
パイオニアが提供する「インテリジェントパイロット」は、実際に事故が発生した地点データとデジタル地図データを紐付け、機械学習を用いて全国の道路から事故が発生しやすい場所を分析。さらに天気などリアルタイムの状況やユーザーの運転傾向を考慮して事故のリスクを予測。注意喚起と警告をする先進的な運転支援システムだ。
「ドライバーの運転行動である『認知』『判断』『操作』のうち、発見の遅れなどによる『認知ミス』が原因の事故は全体の76%を占めています。インテリジェントパイロットで注意喚起や警告をすることで事故を未然に防ぐことができます。ただ、毎回同じ場所で同じ警告が行われると慣れが生じてしまうため、危険を予測して本当に必要な場合にのみ警告を行うシステムをパイオニアが独自に開発しました」(石戸氏)
SaaS Technology Center センター長
岩田和宏
SaaSサービスの構築を主導!新CTOが組織した「SaaS Technology Center」
社内カンパニー制を導入するなど、組織改革を伴うパイオニアのDX。その流れをさらに加速させるべく、社外から有能な人材を招聘し、その勢いを増している。
2021年3月には、JapanTaxi(現Mobility Technologies)で、タクシー配車アプリを開発した、岩田和宏氏をCTOに迎え入れた。
「前職はJapanTaxiでCTOを務めていました。エンジニアが2人しかいない状況からスタートして、最終的にはエンジニア300名規模の組織にしました。タクシー車内のサイネージ広告やアプリを開発。タクシー配車アプリをゼロから立ち上げました。ディー・エヌ・エー(DeNA)のオートモービル部門と合併して、タクシーアプリ『GO』となりシェア6割を獲得した時点で一仕事終え、新しいチャレンジをしたいと思うように。次のチャレンジ先としてパイオニアを選びました」(執行役員 CTO / SaaS Technology Center センター長・岩田和宏)
JapanTaxiの変革を牽引してきた岩田氏の下には、大企業からのオファーが舞い込んだ。その中でパイオニアを選んだのは、エンジニアとしてワクワクする仕事が体験できると直感したからだという。
「MSCで進めている事業にコミットする予定で入社しましたが、パイオニアのこれまでの取り組みと現状を分析したところ、全社的に取り組まないともったいないと感じ、SaaS Technology Center(以下STC)を立ち上げました。MSCだけでなく他の事業部でもSaaSビジネスの可能性がいたるところに眠っています。それを掘り出して、現代のビジネスモデルに変換するのがSTCの役割です」(岩田氏)
事業をリードするのはそれぞれの事業部。STCはSaaSモデルのサービスを開発・運営するためのチームを送り込み、Web、スマートフォンアプリを活用したサービスの構築を主導する。
「GAFAに代表されるように21世紀に入って、ビジネスの構造は大きく変化しました。SaaSビジネス、サブスクリプションモデル、リカーリングモデルが主流となり、データを活用したサービスの開発やデジタルマーケティングが、ビジネスの成否を決めます。パイオニアには、走行データや顧客データなど、膨大なデータが眠っています。このデータをもっと活用していきたい。ちょっとした技術でアップセルやクロスセルは可能になる。そういう工夫の積み重ねなんですよね。」(岩田氏)
モノづくりの強みを生かしたIoTサービスや、カーナビで培ったルーティング技術を用いてEV車の走行をサポートするサービスなど、STCが事業部と手を組んで実現できるサービスは社内にたくさん眠っている。
CCO&CMO
石戸亮
製品の販売はゴールにあらず!SaaSサービスに適したアジャイル型開発をインストール
2021年8月に立ち上げられたSTCは、パイオニアの各事業部に対してWebサービスやデータサイエンスのノウハウを持ち込む。それは、80年以上の歴史ある老舗メーカーにとって、ビジネスのやり方を根底から変えるほどの大変革になる。しかし、パイオニアは新しい会社に生まれ変わるために“変化の道”を邁進する。
「パイオニアは、純然たるメーカーでした。匠の技術で最高品質のハードウェアを開発して販売するということから、今後は、販売をゴールにするのではなく、購入してもらった商品をタッチポイントに快適なユーザー体験を提供できる会社に生まれ変わります。そのためには、カスタマーサクセスチームも必要ですし、デジタルマーケッティングの人材も採用します」(岩田氏)
製品やサービスの開発手法も抜本的に見直していく。これまではウォーターフォール型で製品を作ってきた。“パイオニアクオリティ”を維持するために、リリースまでに多くのゲートを設け、徹底的にチェック。しかし、今後はアジャイル開発の手法と考え方を導入して、製品やサービスの開発アプローチを変えていく。
「アジャイル型の発想を取り入れ、少しずつサービスの付加価値を上げていくやり方で進めていきます。リリース時に完璧な形にしようとするのではなく、スタートアップやベンチャーのようにMVP(※1)を作って、ユーザーの声を聞きながらコストミニマムで改善していく。SaaSモデルのサービスは、リリースしてからが勝負。カスタマーサクセスを中心に、ワンチームでサービスバリューを作り出していく。アジャイル型の発想を各事業部にインストールするのがSTCの最初の仕事です」(岩田氏)
さらに、STCの内部に「データインテリジェンス部」を設けて、データサイエンスの発想やそのやり方も事業部に移植していく。大手のITカンパニーでデータビジネスの立ち上げを指揮した人物が、データインテリジェンス部を牽引している。
「まず、データインテリジェンス部とともに、顧客データを集めて可視化することに取り組みました。これにより、利用状況の分析結果に則してカスタマーサクセスを活用するなどエンゲージメントを上げ、KPIを設定して離脱がないように施策を打つことができます。」(岩田氏)
パイオニアのDXを完遂するために、今までのパイオニアにはいなかった役割の人材の集結が不可欠。パイオニアのDXは、いよいよ本気モード全開。ジョインするなら、今がベストタイミングだ!
※1MVP(Minimum Viable Product):ユーザーに必要最小限の価値を提供できるプロダクト
パイオニア 株式会社の社員の声

20代後半
2021年08月入社
特に外...続きを読む

40代前半
2008年03月入社

30代後半
2021年10月入社
・エンジニアリングから、採用まで幅が広い業務...続きを読む