株式会社ローカルフードテクノロジー

株式会社ローカルフードテクノロジーは、スーパーマーケット事業を展開する株式会社エブリイを中核企業として、広島県福山市を本拠地として“食”に関わる多様なサービスを手掛けているエブリイホーミイグループのシステム開発企業である。

同社では下記の二つの独自プロダクトを手掛けており、その開発を担うエンジニアを求めている。スピーディーかつ自由度高く開発・更新していけるようにすべく、内製体制を確立させる方針だ。

●『エブリイアプリ』
広島・岡山・香川の各県に44店舗（2024年6月現在）展開している直営食品スーパー・エブリイで使える自社アプリ。自社ポイントカード『エブリカ』との連携や、QRコード決済、クレジットカードチャージ、即時値引き／ポイント付与クーポン等の機能を備えている。
中でも、各店舗が独自に売場づくりを行い、商品の仕入れも任されている“個店主義”のエブリイにおいて、その日の早朝に仕入れて店頭に並べる商品をいち早く紹介する等の個店情報発信機能を強化しているのは『エブリイアプリ』ならでは。
2020年にリリース後、累計30万以上のDL数を誇っているが、使い勝手を向上させるべく2025年4月リリースに向けてフルリニューアルを行う。

●生鮮基盤アプリ（名称未定）
小売業や飲食店、生産者、メーカー、市場、物流等の“食”に関わる事業者を繋ぐプラットフォーム。商品（生産物）の取引や物流・商流を効率的にマッチングすることで、食品流通のムダやロスを省き、持続的な“食”の環境づくりを目指す。
エブリイでは、店内にシェアキッチンを設けて地元飲食店が自慢の弁当や惣菜をつくり、店頭に出品できる『まちメシ』という催事を行っている。このオンライン出品も行えるようにする予定だ。
なお、対象者を物流まで広げた当該アプリはほかになく、画期的な存在といえる。ゆくゆくは他社にも提供し、ユーザーを広げていくことも視野に入れている。

「小規模農業の生産性向上は積年の課題で、採算が合わずに撤退する生産者は後を絶たず、このままでは地方の食文化が失われる危機にあると言えます。地域密着型の食の企業グループとして、こうした状況を少しでも改善し地域に貢献することが、これらプロダクトの大きな目的です」と統括マネージャーの神原春彦氏は力を込める。

エブリイホーミイグループは、福山市で酒卸事業を営んでいた澤田商店が、1977年にイタリアンレストラン等を運営する会社を設立したことが始まり。その後、1979年に夕食材料宅配事業、1984年に外食・給食事業、1988年に商品企画・通販事業、1989年にスーパーマーケット事業と、それぞれを営むグループ企業を設立し順調に業容を拡大してきた。現在、グループ企業は8社を数える。
こうした中にあって、ローカルフードテクノロジーは2013年にグループのシステム開発や外販を手掛ける株式会社イーシステムとして設立された。

一方、“個店主義”が消費者に受け入れられる等して発展し、中核企業となったエブリイは、独自にシステム室を設けて社内システム運用を手掛ける。2020年にリリースされた『エブリイアプリ』も、エブリイのシステム室が外部ベンダーに依頼する形で開発している。
「その『エブリイアプリ』の使い勝手を向上させる必要性や、独自の機能を持たせる生鮮基盤アプリの開発・導入が経営課題となったのです。これらをベンダー任せではなくフリーハンドの形で独自に構築できるようにすべく、開発体制を一からつくることになりました。そこで、2023年5月末にイーシステムの社名をローカルフードテクノロジーに変更し、再出発することにしたのです」と神原氏は同社の経緯を説明する。

同社のミッションは、次のとおり。
【ローカルな「食」の可能性をテクノロジーの力で解き放つ】

今、地域には前述のとおり食に関する生産者不足や食品ロス、小規模事業者のロット問題等のほか、流通における川上と川下の分断等の問題が横たわっている。このため、生産者のものづくりへの思いが消費者に、消費者の「おいしかった！」という声が生産者にそれぞれ届かないといった状況にあるのだ。
こうした課題をデジタルテクノロジーの力で解決し、本来の“食”の持つ魅力や可能性を解放することが同社のミッションだ。

なお、同グループとしては、次のビジョンやコアバリュー、パーパス、ミッションを掲げている。

●ビジョン
「『美味しい』の輪が広がる未来」
●コアバリュー（先人から受け継いできた大切な在り方）
「所属感・貢献感」「多様性」等
●パーパス（私たちの存在意義）
「地域と未来に『美味しい』の輪を広げる」
●ミッション（私たちの挑戦）
「『いただきます』を掴み取れ」

「ビジョンやパーパスの“未来”には、現状の“食”に関する課題をクリアすることで、地域の食文化をしっかりと永続させていく地域密着企業としての思いを込めています。また、ミッションの『いただきます』には、例えば『生産者はこのようにつくり方にこだわっているから美味しいのか！』といった背景やストーリーも伝えることで生まれる感謝を表しています。このように、当グループがハブとなることで地域の“食”を豊かなものにしていきたいと考えています」（神原氏）。

2024年6月現在、同社のメンバーは正社員5名およびグループ会社からの出向者4名の計9名。出向者には、エブリイ経営企画室からの神原氏や、グループの別のシステム開発会社からのテックリード2名といったプロフェッショナルが含まれている。

その全体を束ねる組織風土づくりの基軸として、主に次の「四つの窓」と呼ぶ行動指針を掲げている。

●売上・利益を上げよう
●頑張る社員がイキイキ働く環境をつくろう
●お客様に喜びや感動を与えよう
●社会的に認められよう

「これらは、どれか一つということや強弱があるわけではなく、四つ全てのバランスを取りながら均等に広げていくことを重視しています」（神原氏）。
この浸透・推進のために人事考課の定性指標にするとともに、月1回のミーティングにおいて役員等がこれらの考え方を噛み砕いて伝えている。

そのほか、次の考え方も重視。

●変わり続ける、変え続ける
⇒大切な“在り方”は変えず、“やり方”は時代に合わせて変え続けていく。
●所属感・貢献感
⇒社員がイキイキ働くために不可欠の要素として、共にビジョンに向かって進む仲間と、自らが役に立っていると実感できること。
●多様性
⇒多様な立場や価値観の人材が集まるからこそ、気付き合えることが増え、組織として強くなる。

これらの考え方は、様々な制度設計や組織マネジメントの指針にしている。
エンジニア集団としての人材育成においては、エンジニア経験20年以上という2名のテックリードから密にレクチャーを受けられる環境がある。
「当面はグループ企業からのテックリードに頼りますが、同時に当社へのスキルトランスファーを行い、全てを自前で行えるようにしていく方針です」と神原氏は強調する。

また、グループとしての経営状況や方向性の共有においては、グループ報や年2回の全体ミーティング等の機会がある。

最後に、同社の求める人材像について、神原氏は次のように期待を寄せる。
「当グループの人材としての資質は、“素直”“プラス発想”“勉強好き”を掲げています。それとともに、当グループのビジョンやコアバリュー等を理解・共感し、グループの特長をさらに強化していくプロダクトを開発していきたいと考える方に来ていただきたいと願っています」

ユーザーの声をダイレクトに聞ける立場でアプリ開発を手掛け、地域の“食”を豊かにすることが実感できる同社。大きなやりがいを得られる環境と言えるだろう。