20年の実績、クライアントの厚み、高い技術力とノウハウの蓄積が強み
株式会社アイティ・フォレストは、Webソリューション開発をメインとするSIベンダーだ。創業は1997年。クライアントサーバー型のシステムが主流だった当時から、いち早くWebソリューションに取り組み、今日まで実績を積んできた。官公庁や数々の大手企業と直接取引するほか、SIerからの信頼も厚く、プロジェクトへの参画を要請される存在だ。
社員数は100名弱。この規模の開発会社は数限りなくあるが、当社は20年間の実績、その実績を支える高い技術力とノウハウの蓄積、クライアントの層の厚みなどの面で、他社とは一線を画している。開発と技術の提供を志向し、代表取締役社長の恒吉順二氏は、「よくあるSESや派遣の会社にはしない」と力を込める。
事業構成は、数字で見るとおよそ受託開発50%に対しSESが40%、保守案件が10%という割合だ。事業の多角化の一環やクライアントからの要望でSESも手がけるが、パートナー企業の協力を得て、必要人員の確保には外部の人材を活用する。社員は主に受託開発を手がけ、SESへは、チームを束ねる役割として参画するケースが中心だ。
クライアントの比率は、直取引となるエンドユーザーが55%、SIerが45%。コーポレイトサイトを見ると、エンドユーザーのクライアントには大手企業やグループ会社がずらりと並んでいる。特に生命保険会社や旅行会社のビッグネームが目を引く。製造業、サービス業、金融業などあらゆる領域のソリューションを手がけるが、なかでも旅行業界に強く、予約、チェーンマネジメント、労務管理など様々な業務システムの開発実績を持つ。また、SIerの案件は、様々な現場を経験する機会となり、スキルやノウハウの蓄積に役立っている。
この強い信念を持つ会社を立ち上げたのが、社長の恒吉氏だ。恒吉氏は、大手独立系のシステムベンダーに新卒で入社後、グローバル展開をしている中国系のIT企業に転職した。それまで国内に閉じた仕事をしていたが、初めてグローバルのリソースを活用して開発するビジネスモデルを経験し、感銘を受けたという。中国でできた縁を活かし、中国のリソースを活用して、日本の企業にITサービスを提供すべく、アイティ・フォレストを設立した。オフショアという言葉が生まれる前のことだ。
「今でいうオフショアは、当時はNTTや富士通といったクラスの会社が少し手がけていたくらいでした」と恒吉氏は振り返る。その時代から、中国のリソースとWeb開発という最先端のサービスを特長に、クライアントを開拓し、成長してきた。オフショア開発は今でも同社の特色の一つだ。IT人材の不足が深刻な昨今、中国のリソースを使って、大規模案件にもスピーディーに対応できる点は、大きな武器となっている。
世界中の優れた技術にアンテナを張り、先駆者として市場を切り拓く
現在、アイティ・フォレストの主力サービスの一つとなっているのが、Webシステム構築プラットフォーム『Liferay』(米国Liferay社正式パートナー)を使った開発だ。コーポレイトサイトには、開発実績の一部として地方自治体、大手飲食会社、大手不動産会社などの事例が紹介されている。以前から、同社は優れたプロダクトを導入し、先駆者・第一人者として、そのプロダクトをフックに大手企業との直接取引を広げてきた。直近では『Liferay』がその役割を担っており、クライアントをさらに拡大してきた。
クライアントに恵まれ案件も潤沢だが、創業以来、同社は常に先を見て手を打ってきた。特にリーマンショックで痛手を受けてからは、常に進化し、時代の要請に応じた強みを持ち続けることを心がけてきたという。リーマンショック時は、案件の激減に伴い、同業の多くの会社が姿を消した。「当社も創業以来、この時一度だけ赤字になった」と、恒吉氏はその厳しさを振り返る。以降、社長も社員も特にアンテナを高く張り、最新の技術情報を収集・共有し、サービス化に向けた検討を行ってきた。
そして現在、次の柱として着目しているのが、新しいデータベースの技術、NoSQLデータベースだ。すでにクライアントへのサービス提供を開始し、頼りにもされているという。この領域で先行しているプロダクト、『MarkLogic』(米国MarkLogic社)とは既に正式パートナー契約を締結し、顧客向けの開発を行い、実績を積んでいる。AIやビッグデータの領域が注目されるなか、テキストだけでなく、画像やメタデータなどを含むあらゆるデータを管理できるNoSQLデータベースは、今後、間違いなく主流となる技術と見込む。まだ取り組む会社が少ない今、先駆者として市場を切り拓き、存在感を示す考えだ。
だが、もちろんこれも「今」の姿でしかない。これまでもこれからも、常に時代の半歩先、一歩先を見据え、新しい技術に果敢に取り組んでいくという。
「企業の安定的発展を考えると、一つ一つの案件に取り組んでいるだけでは、作って終わりになってしまいます。でも、様々なシステムで使われる、10年・20年と続く技術に先行して取り組めば、将来に渡る強みにできます」(恒吉氏)
エンジニアとしての喜びと成長を実感できる会社。長く活躍する社員たち
そのような信念の下、技術を追求するアイティ・フォレスト。恒吉氏は、これから来る人へも「先を見る目を持ち、新しい技術にチャレンジしたい人に来てほしい」とメッセージを送る。また、「能動的に自分の意思を出してほしい」とも。同社では世界中から見つけてきた新しい技術や新しいプロダクトを社長に対してどんどん提案する。大きな組織では、しばしば自分の意思は埋没してしまう。だが同社には、声を上げれば受けとめ、さらには議論することができる社長と仲間たちがいる。チャレンジする環境は整っている。
やりがいも十分だ。エンドユーザーとの仕事が半分以上を占める同社。お客様の声を直接聞きながら、仕事を進めることができる。「当社なら、エンドユーザーと仕事をする喜びを必ず味わえます。また、受託にこだわるのは、エンジニアとしての成長ややりがいを感じてほしいからです。それぞれが目標を立て、会社は、その目標に沿ったキャリアアップを支援していきます。この規模の会社なので、案件を通じて上流から構築まで一通りの工程を早い段階で経験でき、マネジメントも含めたエンジニアとしての成長を実感できるでしょう」(恒吉氏)
一人ひとりの経験値を広げることで、アイティ・フォレストという会社の地力を底上げすることを目指す。
同社はチームプレーを基本とし、OJTで学ぶことが多いが、近々e-ラーニングも導入する計画だ。マネージャー、エンジニア、プログラマーとそれぞれのクラスに特化した教育コースを、全社員が受講できるようにする。この規模の会社としては破格の充実ぶりだろう。OJT、Off-JTの両面でスキルアップ、キャリアアップの道筋がしっかり整っている点は、大きな魅力だ。社内の雰囲気も良好で、月に一度、自由参加でみんなが集い、飲食をしながら親睦を深める場も用意されている。
恒吉氏が先を見通す目を持つことで、同社が手がけるべき技術であったり、社員が身につけるべき知識や技術へと落とし込まれ、効果を上げているアイティ・フォレスト。今、これを読んでいる人のなかには、成長の道筋が描けなかったり、たった1人でSESの現場に送り込まれていたり、目の前の案件をこなすだけの毎日に限界を感じていたりする人もいるだろう。そのようなエンジニア特有の不安や不満を解消できる環境が、ここにはある。同社に勤続10年以上の社員が多いのは、働きやすさと、いくつになっても活躍できる場があることの表れでもある。着実にキャリアを重ね、常に新しい技術にも向き合う同社は、エンジニアにとって、魅力に満ちた会社だ。