どのような経緯で入社し、代表取締役に就任されたのですか?
1980年代後半、40代になって、実はキーボードも触ったことがなかったんですが、当社の前社長から「一緒にやらないか」という話をもらって、これからはコンピュータの時代が来ると感じていたこともあって入社を決めました。 最初は、まずITの言葉がわからなかったですね。本を読むなどしてかなり勉強しました。プログラミングについても、実際、作ってみないとわからないこともあると考えて、在庫管理システムを組むなどして学びました。業務そのものは知っていて、何をすれば良いのかわかっていたからできた面がありますが、やってみると面白くてハマりました(笑) これによってRDBやネットワークなどの理解を深めることもできました。コンピュータに触れる前は「これしかない」と決めつけていたところもありましたが、興味さえあれば、まだできるという手応えも感じましたね。 それから10年ほどたって、1998年1月に私が後を引き継ぐことになったという経緯です。
仕事をする上でこれまで意識してきたことを教えてください。
40代前半でIT業界に移り、52歳で思ってもみなかった形で社長になったこともあって、システムの世界の標準的な言語なり、考え方を身につけないとやっていけないと思い、現在も変わらず学び続けています。 そして、これまで、長年営業を担当することが多かったから思うのかもしれませんが、やはり、会社は営業的な感覚でもっている面が大きいということですね。それは何かというと、顧客を大切にして、何を考えているのかをきちっと把握すること、それに適切と思われる提案をしていくこと、人間関係を築いてコミュニケーションを取っていくこと、それらができれば、基本はなんとかなるように思うからです。 今、つながりがある最も大手の会社には、それこそ毎日のように行っていました。まず、技術者と一緒になって、業務を把握するところから取り組んでいきましたね。それを続けていくうちに、基幹システムの構築を通じて、大企業のものの考え方を垣間見ることなどができて、新たな面白さを感じるようになりましたし、クライアントの信頼も強固になりました。
将来を担う人たちと、未来にどんな思いを託されていますか?
将来会社をリードしていく人たちには、現在と近い将来を上手くつなげて、今の姿で良いのかということを常に自問自答しながら舵を切っていってほしいと願っています。そういったことを考えないでやっていると、5年もたてば会社がおかしくなってしまいます。時の流れは早いものですから。 そのためには、内外に人脈を持って、世の中のトレンドを見て、そのどこで自分たちはやっていくのかということを意識して、少しずつ会社を変えていくという目を持つのが大切ですね。今後、やり方も変わっていくとは思いますが、若い世代とは少しずつそういう思いも共有していきたいと考えています。根本にある「つながり」の大切さは変わらないと思うからです。それと決断の大切さ、自分に反発するような人であっても側に置くような感覚も大事にしています。 会社の生産性を伸ばすポイントは適材適所。イヤなことをさせては会社も人も伸びませんよね。
趣味は何ですか?
読書ですね。週に2~3冊は読んでいます。あらゆるジャンルを手にしていますが、最近は、国際情勢や経済学、社会学関係のものが多いです。これから世界がどうなるかとか、金融制度がどう変わるかといったことなど、一回入ってみると、ほんとに面白いテーマです。マーケティングなどの本にも当然興味を持っています。 最近、経営を考えるようになってから、とくに意識して本を読むようになりました。歳だからかもしれませんが、日本の行く末などがテーマの本も気になっています。 あとは、ゴルフや旅行ですね。旅行は妻や家族と2ヶ月に一度は行きます。最近、長旅は疲れるようになってきたので夫婦でリラックスできるところに行くことが多いですね。個人的にはヨーロッパが好きです。絵が好きなので、美術館まわりとかいいなと思います。都内の美術展などにもよく出かけています。昔アパレル業界にいたせいかもしれませんが、トレンドの色彩や作品の時代背景などが気になりますね。
仕事を続けるモチベーションの源は何ですか?
同世代の集まりに参加すると、すでにリタイヤして悠々自適の仲間からは「まだ仕事やってんのかよ」などと言われてしまいますが、会社がこの状態ならバトンタッチできる、任せられるという確信がある程度得られるまでは引っ張っていきたいと思っています。 ちょうど東京オリンピックの開催を区切りと考えて、「Challenge2020」という方針を社員全員に伝えました。しばらくは老害を振りまくことになるかもしれませんが(笑)、しっかり見守りたいと考えています。 判断する上では、「是々非々」ということを意識しています。好きなものは好きでいいんですが、相手の立場や雰囲気からイヤなものまで良いと言ってしまったりすることがあります。人間ならありがちなことですし、私も優柔不断なんですが、それをやってしまうと、組織が崩れてしまうので、譲れないところはしっかり守る、意見はしっかり言うということが重要になってきます。これは大事にしたい考え方です。