ウルカ株式会社

ウルカ株式会社は、2008年の創業以来、一貫してECサイト構築、運用に取り組んできた会社だ。ユーザー数や取り扱い品目の多い複雑なECサイトも含め、数々の実績を積んできた。現在の事業はECサイト構築・運用の受託のほか、運用だけを受託するケースも。このほかノウハウの蓄積と研究の目的で、自社で照明器具とインテリア雑貨、和食器のECサイト『&style』も運営する。和食器は、益子焼の若い作家の作品を取り扱い、一定のファンもついて好評だ。いずれの事業も成果を上げ、収益の面でも運用によるストック収入が見込めるほか、受託案件も安定しており、極めて堅調に成長を続けている。

創業社長の福田 紀之氏は、大学卒業後、一貫してECサイトに携わってきた人物だ。14年前にキャリアをスタートし、まさにECサイトの進化とともに歩んできた。まずは小さな会社でECサイト構築のディレクションやデザイン、技術面を手がけ、その後、そのECサイト部門が分社化し、マーケットの拡大とともに会社も拡大した。そこで役員まで務めたが、拡大と共に次第に違和感も募った。「もっとお客様と真摯に向きあって仕事をしたい」という思いから独立。ウルカを創業した。3人の仲間とともに円満に独立した形で、最初は、前の会社から案件の紹介を受けてのスタート。以降は、一つずつ誠実に実績を積むなかで、クライアントからの紹介やパートナー企業からの紹介など、仕事ぶりと信頼をベースに着実に実績を重ねてきた。

同社の特徴は、独自のECサイト構築パッケージ『Uruca（ウルカ）』を使って、拡張性が高く使い勝手のよいECサイトを、中小規模の会社にも手が届くリーズナブルな価格で構築することだ。また、同社の数々の実績とノウハウ、知見を信頼し、近年は規模の大きなECサイトの運用を受託するケースも出てきた。代表的な事例は、とあるタレント事務所のグッズ販売だ。ユーザー数が多く、瞬間的に注文が殺到するなど運用が難しいECサイトだが、ウルカの実績を見込んで声がかかった。実際に成果を上げ、この事例は規模が大きいだけに、安定的なストック収入として同社の収益基盤の一つにもなっている。

こうした案件は、いずれも紹介ベースで来る。サービスの提供先を開拓するような役割の営業担当は置いていないにも関わらず、引き合いが途切れない状況だ。

そんな同社の最大の特徴は、創業時の思いを受け継ぐ丁寧な仕事ぶりだ。お客様の顔を見ながら、一つ一つ丁寧に作ったハンドメイドの製品を手渡すような、『illumi』で取り扱う一点ものの和食器にも通じる仕事の進め方だ。『Uruca』を作った理由も、ECサイト構築の鉄板ともいえる『EC-CUBE』では、細かなお客様の要望に応えられないからだ。

「『EC-CUBE』は、手を加えずにそのまま使うなら確かにいいソフトですが、お客様のやりたいことに合わせようとすると、うまくフィットしない面があります。私のスタンスとしては、運用面で負担のかからない仕組みを構築したいし、『EC-CUBE』でできないからという理由で、機能をあきらめてほしくない。であれば、我々自身の手でパッケージを作ったほうがいいだろうと考えたのです」（福田氏）

特に力を入れたのが拡張性や基幹システムとの連携だ。多モール展開への対応や、最近では、お客様の要望に応える形でCRMの機能も強化している。このような『Uruca』の進化は、お客様と接するなかで、要望を取り込む形でなされてきた。想定するターゲットは、中小規模の会社や個人。有名なパッケージを入れる予算はないが、でもカスタマイズできるパッケージを探しているという層をイメージし、実際に、そのような層に受け入れられ、広がってきた。

「いいものを持っているのに自社でeコマースを展開できない会社を支援したい」と、福田氏は言う。eコマースの市場がこれだけ広がってきているものの、その恩恵を受けていないが素晴らしいものを持っているという会社はまだまだある。今後はプロモーションの知見も蓄積し、そのような会社を、今まで以上にきめ細かく支援していきたい考えだ。既に倉庫会社とも提携しているウルカ。今後は、フロントとサーバーサイドを含めたシステム面のみならず、物流までもカバーし、ワンストップでEC事業を支援する体制を構想している。

そのような仕事ぶりは、同社における仕事のやりがいにもつながっている。
「最近も、我々がシステム提供する前は、毎日終電前までデータをいじっていたものが、システム提供により定時で終われるようになったという声をいただきました。我々の仕事は、具体的にお客様に貢献できていることが目に見えます。達成感もあるし、お客様の姿が見えることで、一人一人が主体的に仕事にも関われるのです」（福田氏）

豊富な実績から、最近は、大手からの問い合わせも増えている。そしてウルカは、それに対応できるだけの技術も知見も持ち合わせている。だが、福田氏はきっぱりと「拡大するつもりはない」と言う。「お客様と向き合い、真摯に取り組んで成果を出し、感謝される経験を一つ一つ重ねていきたい」と、これまでの延長に今後を見据えている。

「自分たちの都合で考えるとASPサービス化、クラウドサービス化して拡販に向かうほうがいいのかもしれませんが、そうはしたくないのです。お客様が欲していることに応え、例えばお客様が間違ったことをいうときには、本当にためになることは何かという視点から、お客様をただすような会社でありたいし、社員一人一人にも、そのようなことができるプロフェッショナルでいてほしい」。闇雲な拡大路線ではなく、社員一人一人が成長し、スキルを上げることで、結果的にお客様により良いものを提供することを目指す。

そんな同社の雰囲気はいたって真面目。静かで落ち着いた雰囲気のなかで、コツコツと仕事に励む。といっても、会社がきっちりと社員を管理しているわけではなく、むしろ働き方は自由だ。10時から11時頃に出社し、夜は7時から7時半には帰る人が多い。完全な在宅勤務は難しいが、もし家庭の都合などの事情があるならば、仕事に支障がない範囲で週に何回かの在宅勤務もありというスタンスだ。お客様のために仕事をすることに喜びを感じる誠実で、真面目な社員が集まった結果、自然と真面目な社風が醸成され、それが働きやすい環境をつくっている。ウルカはそんな会社だ。

見渡せばみんなの顔が見える会社なので、殊更に社内行事などはないが、和食器のECサイトを手がけている関係で、希望者を募り、陶器市やハンドクラフトのイベントなどにはそろって出かける。ちょっとした遠足のようで楽しい時間だ。大きなプロジェクトが終わった後の慰労飲み会などは適宜実施。そんな自然体の人間関係も魅力的だ。同社を訪れた人はきっと、社長の福田氏をはじめ「みんないい人だな。いい会社だな」と感じるだろう。その誠実さが、良質なお客様の輪を広げ、特別な営業活動をしなくとも仕事が拡大し、持続的な社の成長をもたらしている。

良き環境で、お客様の顔を見ながら丁寧な仕事をする。こんな幸せな働きぶりはないだろう。興味のある人は一度訪ねてみてほしい。