月間約5000万PV!グローバル展開する大規模ECサイトの開発・運用ノウハウ
株式会社ブックルックチームは、2011年5月に創業。代表取締役の小山内裕氏と共同創業者で取締役の篠田道明氏は、共にMBAを取得した仲間。小山内氏は当時市場シェア世界ナンバーワンに上り詰めたデルを退職し、ITサービス業を創業。篠田氏は名実ともにトップクラスのニフティで技術者として活躍していた。「お互い、急成長企業で業界トップという環境で揉まれたという共通する経験で親しくなりました」と小山内氏は述懐する。さらに、「だからこそ弊社には大手企業と肩を並べる技術力があり、経験もできる。私たちはそれぞれ異なる会社ではあったが、高く設定された目標をいかにクリアするかを、厳しい環境でやり遂げてきたからわかる」と小山内氏は言う。
同社の主力事業であるWEBシステム開発は、単なるプログラム開発に留まらない。大規模ECサイトは、ビジネス側の複雑な要件、お客様からの大量アクセス、ハッカーによる攻撃などに対応しなければならない。
主なものでは日本最大級の中古車直販輸出サイトを包括的に手がけているが、世界各国に輸出するための費用を自動で計算する仕組みを開発し、海運会社の料金は定型ではないため、今も機能を更新し続けている。
「アジャイル開発の手法を取り入れて、あいまいさが残る状況でも臨機応変にスピード重視で取り組んでいます。エンジニアにとってはエキサイティングな環境にあると思います」と篠田氏は言う。
大規模ECサイトは大量アクセスを効率的に処理することが求められる。グローバル展開している場合、国内をメインターゲットとしている場合と異なり、24時間常にどこかの国のお客様がアクセスしてくるため、”ダウンしても影響が小さい”という時間帯がない。それゆえ同社は夜間・休日の対応をしなくても済むよう、万が一に備えた対策を事前に施すことに注力している。これは大規模サイトの運用経験に基づくノウハウにより実現できている。
セキュリティ対策にも余念がない。「万全なサイトはない。必ず攻撃の影響を受ける」と篠田氏は言う。だからこそシステム全体を常に俯瞰し、抜けがないか確認することだけでなく、プログラム開発においても変化し続けることを躊躇しない。
このように多面的な視点が求められる。部分最適ではなく全体最適を考えらるエンジニアにとってはうってつけの環境といえる。
デルにてエンジニア兼マネージャーとしてグローバルに活躍。MBA取得のため通った大学院で篠田氏と意気投合し、ブックルックチーム設立に至る。
AWSなどクラウドインフラ導入・運用事業にも注力
長年のインフラに対するお客様のニーズに応えることで拡大し、拡大することでさらに新しいニーズに対応できる力をつけてきたAWS(アマゾン ウェブ サービス)。同社は、AWSのサービス品質が安定してきたと判断した2012年からお客様に利用を強く勧めてきた。
高い品質が求められる金融、商社、ECサイトなどのクライアントを抱え、フロントWEBサーバー EC2、RDBMS RDS、データウェアハウスとしてRedshift、NoSQLであるDynamoDB、メール送信システム SES、CrouldFront、Storage GatewayなどAWSのサービス拡大にと共に技術を学び、成長し続けている。
データセンターからAWSの移行についても実績がある。先の日本最大級の中古車直販輸出サイトは準備期間2週間、ダウンタイムは数時間に抑えた。物理サーバーの入れ替えと同じ時間で無限のキャパシティを最小限のコストで実現したことになる。
「通常、サーバー管理者はサーバーが増えることを嫌います。設定変更の必要性や障害など突発的な仕事が発生する可能性がどんどん高まるからです。しかし、AWSならサーバーが増えることはそれほど気になりません。100台を超えるサーバーを1人で面倒を見ながら、お客様の要望を真に満たすサービスの提案をすることまで考える余裕があります」と篠田氏は言う。
現在は、AWSの運用サーバー数はおよそ200あり、数名体制でサービスを提供している。
小山内氏は、今後必要となる人材について次のように話している「弊社では全体を俯瞰して見ることのできる提案型のエンジニアを求めています。クラウドインフラはお客様の無駄な出費をゼロにし、サーバー管理者のワークライフバランスに役立っています。そのため、今ある物理サーバーのほとんどがクラウドへ移行していくにつれて、特別な要素がどんどん削ぎ落とされ、オペレーションそのものに高い技術レベルは必要なくなりつつあります。だから限られた作業しかしないオペレーターではなく、付加価値を提供できる技術者が必要です」
ニフティで技術者として活躍した後、ベンチャーを数社経験、小山内氏とブックルックチームを共同設立。
WEBシステム開発からWEBマーケティングまで一括受託
同社のもう1つの特徴はWEBシステム開発に留まらない守備範囲の広さだろう。
多くあるシステム開発会社は、ユーザーの求めに応じてシステム開発を行い、納品後はその保守を行う。しかし、同社は、システム開発の前に業務や既存システムの分析を行い、本当にシステム開発が必要なのかどうか見極めるところから始まる。当然そのためには、どのようなビジネスモデルであるのか、ユーザーのITリテラシーのレベル、競合企業との差別化など多面的な理解が欠かせない。
システム開発についてもお客様と議論を交わしながら、保守性の高いリーズナブルな提案を経営とITの視点を交えて生み出している。ユーザーが欲しいと言うことが本当にユーザーが求めていることやできることと乖離している場合がある。また、経営的な視点で見た場合、ユーザーの希望がそのまま受け入れられない場合もある。さらに、ITの観点から実現可能だが継続性に疑問が残る場合もある。
例えば新規ビジネスの立ち上げに際しては、アイデア段階からITやWEBマーケティングに関する支援が要請される。エンジニアにとってはかなり初期の段階からビジネスに関わることができるため、言われた通りのシステムを開発すればよいというものではなく、技術やそのコストの制約を盛り込みながら一緒に作り上げているという実感が得られる。
「人、経営、ITの要素が1つでも欠けていると、お客様の長期的なベネフィットの獲得が困難になります。例えば、ユーザーサポートは、ITから価値を生み出せるように環境を整える必要性から提供し始めました」と小山内氏は言う。
「お客様の事業発展のために、弊社ができることは何でもやります。だからシステム開発に留まらず、データを元に意思決定ができるようにしたり、仕組みから考えたWEBマーケティングの領域にまで踏み込んでいます」と篠田氏は言う。
最近ではデータ分析の依頼も受けている。ECサイトのアクセスログや販売履歴など膨大なデータから可能な限り確度の高い意思決定ができるようにするためである。
「データ分析にはどうしてもビジネス的な感性が求められますが、数をこなすことで多くは補完されるでしょう。だから前進力のある方ならそれほど時間をかけなくても有意なデータを見つけ出せると思います」と小山内氏は今後展開予定のデータ分析事業についても意欲を見せる。
“チームワーク”と“実行力”を重視、残業は月平均20時間程度と効率的!
同社には、約50名のスタッフ全員がメインのミッションを担いながら、いくつかの業務を兼務できる変化に富む環境がある。
「新規開発、保守・運用、インフラ開発・運用、ヘルプデスク、Webマーケティング、そしてプロジェクト・マネジメントといった多彩な仕事に関わることができるのは、魅力ではないかと思います」と小山内氏は胸を張る。
同社の業務運営スタイルの特徴は、社名にもある“チーム”重視であるところ。
「自分の強みを生かし、弱いところは助け合う。これがチームで取り組む利点です。一人ではできないことも、チームであれば知恵を出し合って成し遂げることができます。また、同じ成果でもより素晴らしいものになる。1+1を2以上にさせることができると思っています。反対に、個人プレーはNGです」(小山内氏)。
したがって「残業は月平均20時間程度です」(篠田氏)という業務効率の高さだ。さらに、エンジニアのスキルアップにも力を貸す。「残業時間が多い人で月に40時間を超える場合もありますが、それは本人が勉強のためにもやりたいという意思があってそれを尊重したためです」(篠田氏)
同社ではまた、“実行”が求められる。小山内氏は次のように説明する。
「何かアイデアを言うだけではなく、言った人が責任持って必ず最後まで実行し、成果を出すことを求めます。ですから、そういった前向きなチャレンジはたとえ失敗したとしても問題にはしません。むしろ、何も言わなかったり実行しないことのほうを問題にします」。
人材育成も、自己啓発や自助努力を重視する。教えても本人に学ぶ動機や意欲がなければ無意味だからだ。
「基本はPHPを使いますが、どういう技術を使うかはエンジニアの自由にしています。メンバーの中にはスキルの高い人もたくさんいるので、盗み取れるチャンスもたくさんあると思います」(小山内氏)。
会社として業績が上がれば、しっかり還元。「全員に20万円分の海外旅行券を配布したこともある」と篠田氏。バリ、フィリピン、タイと毎年社員旅行に出掛ける。社員同士の食事会や飲み会などはすべて会社が負担するなど、社外でのチームビルディングにも積極的に支援している。
「チームで世界に感動を」をモットーに、グローバルで幅広い業務を手がける同社。そんな“チーム”の一員としてほかのメンバーや会社、顧客、そしてエンドユーザーに貢献する仕事は、やりがいに溢れているに違いない。
読書感想を共有できるSNS『booklook.jp』、知育アプリ『MonStars』を運営
同社は自社サービスの開発・運営も手がける。
社名の由来となった自社サービスのソーシャルリーディングサイト『booklook.jp』は、当初アカデミズムの分野で利用されることを考えていたが、その後、ユーザーを増やすために読書感想を共有できるSNSサイトの機能も付加した。
小山内氏は、MBA取得のための研究プロセスで数百冊という膨大な文献を読み込み、そこから引用して論文を作成する際に文献の引用箇所や意見、コメントを記録・保存した後で検索できるシステムがあれば便利と感じた。
「篠田に話すと、意気投合したのです。それが起点となって当社の創業に至りました」(小山内氏)。
知育アプリ『MonStars』は、iOSとAndroidに対応したスマホアプリ。教育に関心の高い小山内氏の発案で、子どもたちのためだけでなく、技術者のスキルアップやノウハウ獲得というWin-Winを目論んだプロジェクト。
「今後、しっかりマネタイズできるサービスに発展させていくためにも、受託業務で培ったサイト構築やWebマーケティングの技術やノウハウを応用していきたいと考えています。
また逆に、この自社サイトで実験して得た効果的なアプローチを受託案件にフィードバックするという狙いもあります」と小山内氏は言う。
株式会社 ブックルックチームの社員の声

40代後半
2015年07月入社

30代後半
2014年04月入社

30代後半
2013年01月入社