ユニークな発想と利他の精神で、企業のデジタルトランスフォーメーションを推進
自社開発のパッケージソフトと先端技術を駆使して、企業が抱える経営課題の解決に取り組む株式会社ユニリタ。「システム運用」と「データ活用」を2本の柱に、ソフトの企画・設計から、開発、システム構築、運用、保守までをすべてワンストップで行い、大手企業や金融機関など1200社にのぼる顧客企業のビジネスを支えている。
同社の歴史は、パソコンの黎明期にあたる1970年代に始まる。海外製のパッケージソフトを日本で販売する企業としてスタートし、ソフトの自社開発も手掛けるようになった。企業を支える基幹システムの構築を得意とし、1977年に発売したジョブ管理ツール『A-AUTO』は、国内トップクラスのロングセラー製品として、今なお選ばれ続けている。
同社の強みは、エンドユーザーとの距離の近さにある。パッケージソフトは代理店を通して販売されるケースが多い中、同社は直販にも注力し、積極的にユーザーの声を開発に反映させてきた。同社の顧客が集う『UNIRITAユーザ会』には250社が名を連ね、システム運用やデータ活用に関する勉強会を定期的に開催している。最近では、IoTやRPAなど新しいテクノロジーについての研究活動も行い、新たなビジネスを創出する場となっている。
導入事例のひとつに、とある大手航空会社が挙げられる。グループ内で長年使い続けていた2つの運用管理システムを、同社のITサービスマネジメントツール『LMIS』に統合したところ、パフォーマンスが飛躍的に向上したという。グループ内の約4000人が利用する大規模なシステムのため、切り替え後の混乱が心配されたが、『LMIS』は誰でも直感的に操作できるほど分かりやすいため、導入後は従業員からの問い合わせが激減した。さらに、以前は作成に数日かかっていた月次レポートが誰でも瞬時に出せるようになったため、常に最新のデータに基づいて経営判断ができるようになったという。
「商品もサービスも仕事も、すべてのものがデジタル化される時代が来ています」
そう語るのは、代表取締役社長執行役員の北野裕行氏。企業におけるIT活用といえば、これまでは財務や経理、営業支援などバックオフィス業務を担う存在だった。しかし、デジタルトランスフォーメーションという新たな潮流を背景に、近年は、営業、製造などの事業部門が積極的にITへの投資を始めているという。
「ユニリタという社名には、私たちが大切にしている“ユニークな発想”と“利他の精神”という、2つの理念がこめられています。その名の通り、ユニークな提案でお客様のビジネスに新しい価値をもたらすことができる、デジタル変革パートナーでありたいと思います」(北野氏)
農業、地方創生、働き方などの社会課題に、最先端のデジタル技術で解決策を
これまで多くの企業に技術を提供してきた同社だが、近年は新たに、社会全体が抱える課題の解決にも、デジタルの技術を駆使して取り組もうとしている。中でも特に注目しているのが「一次産業活性化」「地方創生」「働き方改革」という3つの社会課題だ。
一次産業の活性化に向けては、現在5つの梨農園でドローンやリモートセンシングの技術を使った大規模なデータ採取を行っている。天候や気温、果実の育成具合とともに、水や肥料の量など日々の農作業も詳細に記録し、これまで勘と経験だけが頼りだった果樹の育て方を、データ化する計画だ。さらに、既存の草刈り機や農薬散布機を低価格で自走化させるソフトウェアの開発や、果実を収穫するロボットの開発にも着手している。
長い年月をかけて育て上げた果樹は、農家にとって子どものような存在で思い入れが深い。多くの果樹農家が高齢化と後継者問題に悩んでいるが、大事にしてきた果樹園を人に任せることは、気持ちの面でも技術の面でも難しいという。しかし、ITの力でベテラン農家の農作業を再現することができれば、高齢化する農家の負担を減らすことや、後継者に管理を引き継ぐこともできると同社は考えている。
また、地方創生に向けては地方の路線バス会社と協力して、IoT技術とスマートデバイスを活用したバスの目的地検索や、位置情報検索システムを開発した。さらに、バスに搭載したカメラの映像から乗客の年齢や性別を分析するシステムも開発し、データから読み取れる人の動きをまちづくりに役立てたい考えだ。
「これからの時代は、データが競争力の源泉になる」と、北野氏は宣言する。複数の梨農園から集めたデータを比較すれば、おいしい梨の効率的な栽培方法が分かる。さらにそのデータを、肥料や農薬、農機具の開発に役立てることも可能だ。また、路線バスの乗客数から得られるデータは、どこに店を出せば集客に有利か判断するための貴重な資料になる。まだ誰も目をつけていないデータを集めれば、そこに必ず新しいビジネスチャンスが見つかるのだ。
「ブルーオーシャン、つまり、まだ誰も挑戦していない領域に挑戦しよう、というのが私たちの意思決定の方針です。例えば農業の中でも、米作りの分野では既にリモートセンシングの研究が進んでいます。だから私たちはあえて、果樹園の経営サポートというまだ誰も手をつけていない分野に挑戦することに決めました。農家の方に喜んでもらえて、自分たちの技術が社会の役に立っていると実感できる、とてもやりがいのある仕事です」(北野氏)
社会課題に対する取り組みはまだ始まったばかりだが、同社が目指す新たなビジネスモデルのプロトタイプとして、注目と期待が高まっている。
グループ内での転職も可能。志を持って挑戦し続けられる社内環境
同社には、社員の挑戦を促す「UNIRITA Group Penguin Challenge」という制度がある。これは、群れの中からエサを求めて最初に海に飛び込むペンギンにちなんで付けた名称で、新しいビジネスアイデアを持っている社員に、ビジネスを起こす機会を与える制度である。また、何かやってみたい仕事が見つかったとき、希望を出せば、より専門性の高いグループ各社に“転職”することも可能だ。
「同じ仕事を長く続けていると、自分の成長に疑問を持ったり、他の仕事に挑戦したくなるときが来ると思います。そんなときにグループ内で、起業や転職ができる制度を作りたいと思いました」と、北野氏は語る。
北野氏自身もかつて、自分のキャリアに疑問を感じた時期があったという。
「私は経済学部出身で、大学卒業と同時に、当社の前身である株式会社ビーエスピーに就職しました。13年間、全力で営業の仕事に取り組みましたが、2006年に会社がジャスダック証券取引所(現、東証JASDAQ市場)に上場するという大きな目標を達成した後で、自分は一生この仕事でよいのかと、とても悩んだ時期があります。悩んだ結果、自ら希望を出して子会社であるコンサルティング会社に異動させてもらったのですが、そうやって仕事の幅を広げたことが、後でとても役に立ちました。だからこそ、社員が成長に行き詰まりを感じたときに、グループ内でもう一度、志を持って働ける仕事を見つけられるような環境を作りたいと思っています」(北野氏)
同社では近年、働き方改革が推進され、残業時間は月平均20時間程度となっている。社員の働きやすさやモチベーションアップを目的に、数々のユニークな取り組みも行われている。オフィスカジュアルの着用や、多彩な同好会の結成もそのひとつだ。北野氏も、感性を磨くことを目的に立ち上げられた芸術鑑賞同好会に所属し、劇団四季の舞台や、チームラボのデジタルミュージアムを訪れたという。仕事の枠を超えた経験が、ユニークな発想につながることを期待している。
最先端の技術を学び続けたい、自分のアイデアを生かしたい、そして何より、社会の役に立ちたいという志のある人にとって、ユニリタは最高の環境になるだろう。共にイノベーションを起こす同志が集まることを、同社も強く願っている。