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株式会社eve autonomy

  • IT/Web・通信・インターネット系

自動運転レベル4を日本で初めて商用化したヤマハ発動機とティアフォーの合弁会社

自社サービス製品あり
カジュアル面談歓迎

企業について

自動運転は、既に工場で「働く技術」になっている。株式会社eve autonomy(イヴ オートノミー)は2022年11月、自動運転レベル4で走行するEVを用いた工場向け無人搬送サービスを、国内で初めて商用化したベンチャー企業だ。自動運転を研究や実証実験で終わらせず、日々の搬送業務を実際に動かしている。

同社は2020年、ヤマハ発動機株式会社と、自動運転ソフトウェア「Autoware」の開発を主導する株式会社ティアフォーによって設立された。同社が開発・提供する『eve auto』は、従来のAGV(無人搬送車)では自動化が難しかった、工場や物流施設の屋外搬送を担うサービスである。

製造現場では、生産設備の自動化が進んでも、建屋間の部品搬送は人手に頼る場面が多い。屋外では、雨や日差し、夜間の暗さ、段差、坂道に対応しなければならず、大型トラックやフォークリフト、歩行者も行き交う。車両を安全に走らせるための条件は、整えられた屋内よりも複雑だ。

従来のAGVは、床面や地中へ磁気テープ、誘導線等を敷き、決められた経路を走らせる方式が主流である。しかし、工場では生産する製品や工程に合わせ、設備の配置や物の流れを組み替える「段取り替え」が発生する。搬送ルートを変更するたびに磁気テープや誘導線の敷設工事が必要となれば、時間も費用もかさむ。

その点、『eve auto』は誘導線を敷設せず、登録した地図とセンサーを使って走行する。パソコンやタブレットからルートを変更でき、雨天や夜間にも対応。最大1,500kgを牽引し、交換用バッテリーを使えば、24時間稼働する工場にも導入できる。

「自動運転は、センサーを増やし、技術を積み上げれば性能を高められます。しかし、車両が一台何千万円もすれば、工場で活用するのは現実的ではありません。私達が大切にしているのは『引き算の美学』です。お客様が必要とする性能と安全性を見極め、費用とのバランスを取りながら、最適な構成を考える。最高性能の車両を作るのではなく、製造現場で導入し、運用できる製品にすることが大切です」(代表取締役CEO:星野亮介氏)。

国内初の商用化から約4年。『eve auto』は、既に各地の現場で日常の搬送を担っている。2026年9月現在、全国約60カ所の工場や物流施設で約100台が稼働。ヤマハ発動機の本社工場では、6台の『eve auto』がエンジン組立棟と車体組立棟の間を走り、荷役や発車指示を含めた搬送を自動化した。これにより、12名分の工数削減に繋がっている。成田国際空港でも、ANA Cargoの貨物上屋間における実運用が始まった。

「研究や実証実験では、車両が一度動けば成果になるかもしれません。しかし、工場へ導入した車両は、雨の日も夜間も毎日動き続けなければならない。止まれば、お客様の生産にも影響します。技術が動いたという段階で終わらず、現場で使い続けられ、実際に人の仕事を変えるところまで持っていく。それが、私達が目指す社会実装です」(星野氏)。

自動運転を未来の技術として見せるのではなく、人が担ってきた搬送を、今日から任せられるようにする。同社の事業は、自動運転技術の可能性を語る段階を越え、工場や物流施設の日常へ広げる段階に入っている。

2018年、ヤマハ発動機の浜北工場で、『eve auto』の原型となる屋外搬送の自動化プロジェクトは始動した。それまで浜北工場では、夏の暑さや冬の寒さ、雨にもさらされながら、作業者が建屋間で部品を運んでいた。ヤマハ発動機は、屋外で高い走破性を発揮するゴルフ場向けのEVカートを商品化していた。そこにティアフォーの自動運転技術を組み込み、人に代わって部品を運ぶ車両の開発が進められた。

ハードウェアを持つヤマハ発動機には、ティアフォーから自動運転ソフトウェアの提供を受け、浜北工場で使うシステムとして、社内プロジェクトのまま開発を続ける選択肢もあった。しかし、屋外搬送に苦労しているのは浜北工場だけではない。自社の工場で使うために生まれたプロダクトを、同じ課題を抱える企業へ提供する。その事業化を進めるには、単に車体とソフトウェアを組み合わせるだけでなく、製品全体に責任を持つ体制が必要だった。

そこで両社は、発注者とサプライヤーとして責任を切り分けるのではなく、一つの事業体として製品と顧客に向き合う道を選んだ。2020年2月、対等な立場で設立した合弁会社。それがeve autonomyなのだ。

「自動運転は、ハードとソフトの責任を明確に切り分けるのが難しい技術です。何か起きるたびに、車体の問題なのか、ソフトウェアの問題なのかと押し付け合っていたら、お客様へ良いサービスは提供できません。それなら最初から同じ船に乗り、一緒に責任を負う会社をつくろうと考えました。ヤマハ発動機とティアフォーのどちらが上でも下でもなく、社会実装まで一緒にやり切るための合弁会社です」(星野氏)。

『eve auto』は、自動運転車両と運行管理ツールを中核に、導入後のソフトウェアアップデート、定期メンテナンス、アフターサポート、自動運転専用保険までをパッケージ化した無人搬送ソリューションである。設備連携機能を使えば、シャッターや荷役装置、生産管理システムとも接続できる。

自動運転車両が安全に走行できるようになっても、それだけで搬送業務が自動化されるわけではない。誰が、どのタイミングで車両を呼ぶのか。運んだ荷物を、どのように積み下ろすのか。シャッターをいつ開け、信号やパトライトをどう動かし、荷物を次の工程へどう受け渡すのか。工場で働く人の動きや既存設備まで含め、一つの運用を完成させる必要があるからだ。

「私達の仕事は、責任範囲が長いと考えます。開発だけ、販売だけ、導入だけではありません。お客様が必要としているのは、自動運転車両そのものではなく、人が担ってきた搬送を無人化し、生産を止めずに回せる状態です。走行ルートを作り、周辺設備と連携させ、実際の運用に入った後も支える。搬送業務が現場に定着するまで、私達が責任を持ちます」(星野氏)。

現場の担当者が扱う操作画面も、自社で設計している。専門的な知識がなくても、車両を呼び出し、次の目的地へ送り、ルートや稼働状況を確認できる。高度な自動運転技術を、そのまま顧客へ渡すのではなく、現場で働く人が迷わず扱える道具へ変えているのだ。

技術的に実現しても、顧客が導入しなければ、社会実装は進まない。企業への導入を促進するには、一つの大きなハードルがあった。新しい自動搬送システムを一括購入するには、まとまった設備投資が必要になる。導入前には、想定した効果が得られるのか、自社の環境で安定して動くのかを完全には見通せない。『eve auto』を普及させるために同社が工夫したのが、サブスクリプション方式でのサービス提供だ。

2022年11月、『eve auto』はサブスクリプション方式で正式提供を始めた。自動運転車両だけでなく、操作ツール、保守、ソフトウェア更新、サポート、保険等をパッケージ化し、月額料金で利用できる形にしたのだ。

顧客は高額な車両を最初に買い切らず、小さく導入して効果を確かめられる。運用開始後も、契約に含まれるソフトウェア更新や定期メンテナンスを受けられる。設備投資として購入したい企業には「販売プラン」も用意し、予算計画に合わせて導入方法を選べるようにしている。

「新しい技術を広げるには、お客様が意思決定しやすい形を作らなければなりません。まず使っていただき、本当に現場の役に立つのかを確かめてもらう。そのためにサブスクリプションを選びました。当然、私達には大きな負担があります。先に車両や導入の費用を負担し、利益は後から付いてくる。それでも、技術を社会へ広げるには、提供する側が先にリスクを負う必要があると考えました」(星野氏)。

事業が前進しているかを測る上で、星野氏が重視しているのが解約率だ。2026年9月時点では、解約率は10%を下回っているという。導入のしやすさだけで契約を増やしても、現場で使われず、短期間で返却されれば社会実装とは呼べない。運用を始めた顧客が使い続けていることに、サービスの価値が表れる。

「成功したと言える点があるとすれば、解約率が非常に低いことです。サブスクリプションでは、価値がなければ解約されて終わり。製品は戻ってきます。契約していただいた瞬間がゴールではなく、毎日選ばれ続けなければならない。車両だけを渡して、後はお客様でお願いしますという形では、この数字にはならなかったと思います。導入後も現場へ入り、使い続けられる状態を一緒につくることで実現した数字だと自負しています」(星野氏)。

継続利用を支えるのは、導入後も現場へ関わり続ける体制なのだ。走行中に起きた問題を確認し、運用方法を見直す。顧客から寄せられた要望を、操作画面や走行機能、周辺設備との連携機能へ反映する。車両を納めて売上を立てるのではなく、顧客の業務が改善されるまで、技術と運用を更新し続ける。

技術を開発するだけでは、自動運転は広がらない。顧客が導入を決められる価格と契約形態を設計し、現場での運用を支え、成果に責任を持つ。同社は技術だけでなく、導入と継続利用の条件まで設計することで、自動運転を実験・実証の段階から、多くの現場で使われる「社会実装」へ進めている。

最先端技術に関わりたい。でも、自分の判断が製品や顧客へ届くまでの距離も縮めたい。ただ、品質や安全を置き去りにして、とにかく速く作る働き方には違和感がある。

ヤマハ発動機とティアフォーの技術とカルチャーを受け継いでいる同社は、そんな技術者が大手企業で身に付けた仕事への責任感を手放さず、ベンチャーの機動力を生かして活躍できる会社だ。

同社では、営業やカスタマーサクセスが顧客の現場で聞いた要望を開発チームと共有し、必要な機能を職種の垣根を越えて検討する。エンジニア自身が現場の声を受け、開発の優先順位や実現方法を考えられる体制だ。

「スタートアップで働く魅力は、単にスピードが速いことではなく、仕事の『ダイレクト感』にあると思っています。自分が考え、動いたことが製品に反映され、お客様の現場を変えるところまで見渡せる。必要だと思ったことは隣の部署へ直接伝え、職種を超えて議論できます。担当領域の中だけで仕事が終わらず、自分の判断が何を変えたのかまで分かる。その距離の近さと手応えが、当社で働く面白さです」(星野氏)。

社内で最も大きな組織はエンジニア部門だが、開発だけで仕事は完結しない。車両、ソフトウェア、導入、営業、カスタマーサクセス、アフターサポートまでを自社で担うため、異なる専門性を持つメンバーと一緒に製品を作る。

「外国籍のエンジニアも在籍し、国籍や文化、これまでの経験も様々です。開発には開発の言葉があり、営業には営業の言葉がある。同じ会社にいても、専門が違えば、見ているものや考え方は変わります。自分の領域だけに閉じこもらず、相手の考えを理解しながら、一つの製品を作り上げる。いろいろな人が混ざっていることも、当社で働く面白さだと思います」(星野氏)。

働き方には、コアタイムのないフレックスタイム制とハイブリッド勤務を採用している。静岡県磐田市の本社とは別に東京都羽田にもオフィスを構えている。メンバーは所属拠点を決めた上で、業務の必要に応じて両拠点を行き来する人もいるという。実機を使った検証や顧客先への出張もあるため、フルリモートではないが、その日の業務に合わせて働く場所と時間が柔軟に調整できる。

「当社には、スタートアップらしいフラットさと自由があります。役職や部署に関係なく意見を出し、必要だと思えば自分から動ける。一方で、私達の車両は、大手企業の生産現場で毎日動いています。一つの判断が安全や生産に影響するため、『とりあえずやってみて、駄目なら次へ』では済みません。当社が大切にしている行動規範の一つが、『誠実であれ』です。自由に挑戦しながら、引き受けた仕事には最後まで責任を持つ。その緊張感も含めて、eve autonomyで働く魅力だと思っています」(星野氏)。

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インタビュー

株式会社eve autonomyのインタビュー写真
代表取締役CEO 星野 亮介氏 2003年、自動車メーカーに新卒入社。グローバル・セールス&マーケティング部門で南米地域の顧客満足度向上活動を担当。2006年、証券会社へ転職。日本の自動車業界担当アナリストとして約10年間従事。2017年にヤマハ発動機株式会社へ移り、新規事業開発に携わる。2020年の株式会社eve autonomy設立にCFOとして参画。グループ関連会社で事業企画部長を務めた後、2023年3月、eve autonomy代表取締役CEOに就任。

── 現在の仕事をする中で、自動車メーカーでの経験が生きていると感じるのはどんなところですか?

自動車メーカーでは、グローバル・セールス&マーケティング部門で南米地域を担当しました。当時、海外では商社に任せっきりだった販売やマーケティングを自社でも見直し、世界各地でブランドや販売品質を高めていこうという動きが始まっていました。私は新人でしたが、そのプロジェクトに参加させてもらいました。

南米へ行っても、本社で会議をして終わりではありません。現地の販売店まで足を運びました。店舗がどのような状態になっているのか、勤務していた自動車メーカーがどう見えているのかを、自分の目で確認していく。入社したばかりの頃から、かなり現場に近い仕事が経験できました。... 続きを読む

企業情報

会社名

株式会社eve autonomy

業界

IT/Web・通信・インターネット系 > インターネット/Webサービス・ASP

企業の特徴
カジュアル面談歓迎、自社サービス製品あり
資本金

1億円

売上(3年分)

2025年 12月 411百万円

2024年 12月 265百万円

2023年 12月 192百万円

設立年月

2020年02月

代表者氏名

星野 亮介

事業内容

自動運転車両、搬送台車の開発・販売・リース・レンタル、
自動搬送ソリューションの提供

株式公開(証券取引所)

非上場

主要株主

ヤマハ発動機株式会社 株式会社ティアフォー

主要取引先

トヨタ車体、ANA Cargo、ヤマハ発動機、AGCテクノグラス、NTT東日本、岡山村田製作所、日立ビルシステム、センコーなど

従業員数

72人

平均年齢

39歳

本社住所

静岡県磐田市大中瀬868ー1

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