株式会社シーアンドシーを立ち上げるまでのキャリアを教えてください。
大学では建築系の学科を専攻し、卒業後はゼネコンに入りましたが、配属されたのは秋田。橋や高速道路をつくる土木の現場でした。横浜出身だったこともあり、地方で暮らしながら現場監督を続ける生活が私には合わず、1年足らずで辞めてしまいました。 その後は1年弱ほどフリーターをしていたのですが、「そろそろちゃんと働かないと」と思い、ドットコムマスターという資格を取って、エンジニア募集の会社へ応募しました。ところが面接で「営業をやってみないか」と言われて、技術派遣会社の営業になり、20代の約10年間、メーカーやIT企業を担当しました。 30代では同業の会社から誘われ、新しい拠点の立ち上げに参加しました。エンジニア0人の状態から始めて、9年ほどかけて約80人まで増やした経験があります。その頃から「自分ならこういう会社にしたい」という思いが強くなりました。 ちょうどその時期に中小企業診断士の資格も取得しました。経営者へアドバイスするための勉強をしているうちに、「こうした方がいい」と人に言うなら、自分でもやってみたいと思うようになったんです。それが独立へ踏み出す大きなきっかけになりました。
シーアンドシーを立ち上げる時、どんな会社にしたいと考えていましたか?
前職までの経験の中で、会社が経営上のリスクを分散するためにいろいろな事業を持ち、その結果、力を入れる事業とそうではない事業が生まれる姿を見てきました。経営者として正しい判断かもしれませんが、そこで働く社員からすれば、自分がたまたまどの事業にいるかによって扱われ方が変わってしまいます。そういう会社にはしたくないという思いが強かったです。 みんなが同じ目標を持ち、一緒に会社を大きくして、一緒に栄えていける組織にしたかったんです。インフラ領域を選んだのは、前職から担当していて、私にとって馴染みのある分野だったからです。会社をつくる以上は、技術力を事業の中心に置きたいという思いがありました。 会社は8人でスタートしました。最初は現場も一つでしたが、そこで育ったメンバーがリーダーになって別の現場へ移り、また新しいチームをつくる。そうやって少しずつ広がってきました。創業の翌年には小さな研修室もつくりました。会社を大きくすることと、インフラの技術を高めることは、最初から切り離さずに考えていました。
前職からの付き合いだという副社長とは、どのような関係なのでしょうか?
前の会社で、私が彼をエンジニアとして採用したのが出会いです。当時、私は拠点長で、彼はその後リーダーになりました。「この拠点を大きくしよう」という目標が一致していて、いろいろ試行錯誤する中で信頼関係ができていきました。仕事を見ていて「すごいな」と思うところも沢山ありましたね。 起業する時も一緒にやることになりました。友達以上というか、家族に近い感覚があります。キャラクターは全然違うので「分身」というとニュアンスが少し違うのですが、それくらい近い存在です。近いからといって、意見がいつも一致するわけではありません。むしろ、かなりぶつかります。エンジニアと営業ですからね。一番長い時は、電話で5時間くらい同じ話を繰り返しながら、お互いに説得し合っていました。どちらもなかなか譲らないんです。 それだけ言い合っても、関係が壊れる感じはしません。終わった後は疲れますし、少し嫌になることもありますけど、それでも大丈夫だという安心感があります。会社を一緒につくっていく上では、そうやって遠慮せずに話せる関係は大きいと思っています。
シーアンドシーでは、エンジニアと営業はどんな関係で仕事をしているのでしょうか?
SESの会社では、エンジニアが一人でお客様先に入り、営業が定期的に面談してフォローする形も多いと思います。でも、話を聞くだけでは解決できないこともありますし、社員自身も「自分はどこの会社で働いているんだろう」と感じてしまうことがあります。 当社では、現場のエンジニアのサポートを営業に任せるのではなく、同じ現場で働くリーダーが担っています。仕事の状況も本人の成長も、普段から一緒に働いているリーダーの方が分かりますからね。近くに自社のリーダーやメンバーがいれば、困った時にも相談できますし、入社したばかりの人も会社の考え方や文化を知りやすい。そういう意味でも、チームで入れる現場を優先しています。 営業とエンジニアの意見が対立するという話をよく聞きますが、当社は少し事情が違います。そもそも当社には営業が私を含めて三人しかいません。現場のリーダーがお客様との信頼関係をつくり、メンバーを支えながら、「次はこの仕事も任せたい」と思ってもらえる関係をつくっていく。そこで仕事が広がれば、営業は新しいお客様への提案や交渉に力を使えます。営業とエンジニアのどちらが偉いということではなく、それぞれが自分の役割を果たす。そうやって会社全体で仕事を広げていく形が、当社には合っていると思っています。
これからシーアンドシーへ加わる人には、どんなことを期待していますか?
一番ベースにあるのは、「人に迷惑をかけないこと」ですね。話すのが上手である必要はありません。おとなしい人でもいいんです。大切なのは、その人なりに周囲と協力して仕事ができることだと思っています。 入社した時点の自分を完成形だと思わず、少しずつ変わっていける人がいいですね。あまり話さない人なら、少し話せるようになれば仕事はしやすくなるかもしれません。逆に、話しすぎる人なら、少し相手の話を聞いた方が上手くいくこともある。自分の長所や短所と向き合える柔軟さと、成長しようとする気持ちは持っていてほしいです。 「人のために動ける人」というきれいな言い方だけにはしたくありません。自分の技術を高めたい、自分の給料を上げたいという動機でもいいと思っています。人と協力して仕事をした結果、相手から感謝されたり、自分への評価に繋がったりすることもあります。それなら「自分のため」に協力してもいいですよね。 休日に20年ほど続けているフットサルも、全員で攻めて全員で守るので、一人だけ動かないとすごく目立ちます。プレーには性格や考え方も出ますし、最初は自分勝手に見えた人の意図が、自分が上達すると分かることもある。いろいろな人と関わりながら、自分も少しずつ変わっていく。仕事でも、そんな柔軟さを持っている人と一緒に働きたいですね。
