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インタビュー画像代表取締役 戸塚 直道氏 ロールアップM&AでSES業界の構造改革を志す若手経営者。大学在学中に個人事業主として飛び込み営業を4年経験し、新卒入社した証券会社でも法人営業に従事。その後、M&A仲介等を手掛ける会社にてM&Aの経験を積み、暗号資産取引所の運営会社、不動産開発等を手掛けている会社での新規事業の立ち上げを経て、2024年5月に株式会社Saitekiを創業。大学OBが集う「一般社団法人ベンチャー稲門会」で代表理事も兼務する。

株式会社Saitekiを立ち上げるまでの経歴を教えてください

東京都にある大学の数学科に進学しましたが、入学してすぐに周囲のレベルの高さを感じ、自分が本当に力を発揮できる場所はここではないのかもしれないと思うようになりました。当時はかなり単純で、「将来お金持ちになりたい」という気持ちがあり、そのためには営業力が必要だと考えました。 そこから、学生時代に飛び込み営業を経験します。通信事業等を手掛ける会社出身の人が立ち上げた会社で、いきなり現場に出て営業をする環境に自らを置きました。半年ほど契約が取れない時期があり、交通費や食費だけが出ていくような状態でした。そこで社会の厳しさを知りました。同時に、営業の面白さも少しずつ分かるようになっていきました。 その後、新卒で証券会社に入社し、個人向けのリテール営業を担当しました。地方支店では、中小の企業経営者と接する機会も多く、営業としての経験を積むことができたと同時に、経営の世界に触れました。しかし、次第に自分が本当に良いと思えるものを提案する仕事と、会社として売らなければならない商品を提案する仕事の間に、違和感を持つようになり、M&A仲介等を手掛ける会社へ転職します。 M&Aの仕事では、後継者問題を抱えるオーナー経営者の方々と向き合い、会社を次へ引き継ぐ意思決定を支援してきました。ロジックだけではなく、相手の思いや背景を汲み取りながら背中を押す。この経験が、現在の仕事観にも繋がっています。

Saitekiを立ち上げた経緯を教えてください

M&A仲介等を手掛ける会社では、SES企業のM&Aを中心に担当していました。様々なSES企業の経営者とお会いする中で、業界全体が抱えている構造的な課題も数多く見てきました。 現場には、本当に優秀なエンジニアが沢山いる。一方で、多重下請け構造によって、実力に対して待遇が見合っていないケースも非常に多く存在していました。商流が深くなればなるほど、中間に入る会社が増えていき、その分だけエンジニアへ還元される単価も下がっていく。情報伝達も複雑になり、認識のズレや品質低下が起きるケースも少なくありませんでした。 SES業界は参入障壁が低い反面、小規模な会社が非常に多く存在しています。それぞれが採用競争を行っている結果、採用コストも高騰している。エンジニアへ還元されるべきお金が、中間コストとして消えてしまっている構造にも強い違和感がありました。そうした課題を見ていく中で、業界構造そのものを変えなければいけない、と考えるようになりました。 そこで立ち上げたのが当社です。最初から、単独でSES事業を拡大するつもりはありませんでした。資金調達を行いながら、M&AによってSES企業をロールアップし、営業力・採用力・教育体制を統合していく。そうすることで、多重下請け構造を少しずつ圧縮し、エンジニアが長期的に成長しやすい環境をつくれると考えています。

「日本のIT産業をアップデートしたい」と考えているのは、なぜですか?

日本のIT産業には、まだまだ構造的な課題が多いと感じています。特に大きいのが、多重下請け構造によって、責任や情報が分断されやすくなっている点です。 SI業界では、元請けが成果物責任を持つ一方で、実際の開発は多くのSES企業が担っています。契約形態も、請負契約と準委任契約が混在しているケースが多く、プロジェクトが炎上した際、「誰がどこまで責任を持つのか」が曖昧になりやすい。現場では、かなり無理が生まれやすい構造だと思っています。 商流が深くなるほど、情報伝達も複雑になります。元請けが伝えた内容と、実際に現場へ届いている内容にズレが生じてしまうケースも少なくありません。その結果、品質低下や認識齟齬が発生し、プロジェクト全体の生産性を下げてしまっていると感じています。 グローバルでは、エンジニアの平均年収が1,000万円を超える国もある中、日本では500~600万円程度に留まっています。現場には優秀なエンジニアが沢山いるにもかかわらず、構造的な問題によって、本来の市場価値が十分に反映されていない。そこには、かなり強い違和感があります。 私達がM&Aを進めるのは、単純に「エンジニアを増やす」ことを目的にしているわけではありません。SES業界には、本当に良い会社も沢山あります。ただ、小規模故に営業力や採用力の部分で苦戦しているケースも多い。現場には優秀なエンジニアがいるのに、構造上なかなか力を発揮し切れない会社も少なくありません。 私達は、そうした会社と一緒に業界をアップデートしていきたいと考えています。M&Aを進める際も、「同じ問題意識を持っているか」をかなり重視しています。エンジニアが長期的に成長できる環境を、一緒につくっていけるかどうか。そこを見ながら、かなり慎重に進めています。

どんな人と一緒に働きたいと考えていますか?

一番は、「挑戦を楽しめる人」ですね。当社は、まだ完成された会社ではありません。M&AやAI駆動開発も含めて、これから新しい形をつくっていくフェーズにあります。正解が最初から用意されている環境ではないので、自分で考えながら前へ進める人とは、一緒に働いていてすごく面白いと思います。 スキル面ももちろん大切ですが、それ以上に、「どう向き合うか」を重視しています。エンジニアの仕事は、一人で完結するものではありません。お客様、営業、チームメンバー等、本当に多くの人と関わりながら進めていく仕事です。だからこそ、相手の立場を想像しながらコミュニケーションが取れる人は、長期的に活躍していくと思っています。 当社には、挑戦したい人を応援する空気があります。新しい技術領域へチャレンジしたい人もいますし、将来的にPMや経営側へ挑戦したい人もいる。そういう「もっと成長したい」という気持ちを持っている人とは、一緒に長く走っていきたいですね。 私自身、トライアスロンやウルトラマラソンをやっていますが、結局、長距離って一気には強くなれないんです。少しずつ積み上げながら、長く続けた人が最後に強くなる。仕事もかなり近い感覚だと思っています。

仕事をする上で、大切にしていることは?

当社では、「Warm Heart, Cool Head」という言葉を大切にしています。直訳すると、「熱い心と冷静な頭」。ロジックだけでも駄目ですし、感情論だけでも上手くいかない。人に対する熱量を持ちながら、意思決定自体は冷静に行う。このバランスをかなり大切にしています。 前職でM&Aの仕事をしていた頃も、数字だけでは意思決定できない場面を沢山見てきました。事業承継は、単純なお金の話ではありません。経営者にとっては、人生をかけてつくってきた会社です。そこには、従業員への思いや、お客様との関係性、いろいろな感情がある。だから、ロジックだけで押し切ろうとしても、絶対に上手くいかないです。 感情だけで経営をすると、組織は長続きしません。だからこそ、「Warm Heart, Cool Head」なんです。相手の立場や感情を想像しながら向き合う。その上で、最終的な意思決定は冷静に行う。この考え方は、今の経営にもかなり影響しています。 私は人間性がビジネスにおいてもすごく重要だと思っています。スキルや実績ももちろん大切ですが、長期的に信頼される人は、結局、人として誠実な人です。これは、エンジニアでも営業でも、役職に関係なく同じだと思っています。その意味では、個人的に「素直さ」はかなり大切だと感じています。IT業界は変化が非常に速いので、新しい技術や考え方を柔軟に吸収できる人は、やはり伸び続けます。

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代表取締役 戸塚直道
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