起業までの歩みを教えてください。
起業前は、形状処理開発を専門とするベンチャー企業で十数年、エンジニアとして第一線の開発に携わってきました。前職は「民間の大学院」を社是とする研究開発志向の強い会社で、形状処理という技術や研究そのものの価値を何よりも大切にする環境でした。 そうした中で、次第に思うようになりました。 「この素晴らしい技術を、もっと社会の中で生かしていきたい」と。 現場で人の役に立つ形にすることが第一であり、形状処理はそのための手段だと考えています。その想いを実現するために立ち上げたのが、キカラボです。熱意というより、“必然”として自然に起業した、という感覚が近いですね。
どんな会社を目指していますか?
目指しているのは、「考えることを仕事にできる会社」です。そして、形状処理で世界をちょっと良くする。 世界を劇的に変えるような派手さはありません。けれど、幾何学というロジックを通して、社会の仕組みやものづくりの現場を、少しずつ、確実に変えていく。そんな、芯のある会社でありたいと思っています。 そしてもうひとつ。 私たちは、次の世代の形状処理にも挑戦しています。たとえば、ブラウザ上で動作する形状処理 SaaS。これまで専門的だった幾何学技術を、より多くの人が扱える仕組みにしたい。現実の課題と向き合いながら、未来を見据えた挑戦を続けています。
ご自身にとって「仕事」とは?
仕事とは、人や社会を幸せにするための手段です。研究も、開発も、すべては人を支えるためにある。私は、技術を“目的”ではなく“手段”として扱いたいと思っています。その姿勢を持ち続けることが、経営者としての軸です。 「考えることをけっして諦めない。」 そして、「解決できない問題はない。」 形状処理の世界では、答えがすぐに見つからないことが多い。でも、考え抜けば、必ず道は見つかる。その積み重ねが、技術を、そして人を育てていくのだと思います。 「思考を止めないこと」こそ、キカラボの文化です。
社員にどんな成長を期待していますか?
私は、社員には「自分で生きていける力」を身につけてほしいと思っています。会社や環境に依存せず、自分の頭で考え、判断し、行動できる人になってほしい。 自由とは、単に束縛がないことではありません。“自分の意思で選び取る力”のことだと思っています。キカラボは、その力を育てる場所でありたいです。 キカラボでは論理的な議論を大切にしています。そして、仕事の意味や背景を常に共有すること。「なぜやるのか」を理解して取り組むことで、初めて“自分ごと”になる。その積み重ねが、技術も組織も強くしていきます。
働く魅力を教えてください。
キカラボは、知的な刺激にあふれた場所です。 幾何学、数値計算、アルゴリズム。 得意分野が違うエンジニア同士が、ひとつの課題に向かって議論を交わす。その瞬間の熱量が、私は好きです。 自社の形状処理技術は、試行錯誤と地道な積み重ねによって育まれた、唯一無二のもの。顧客から「助かった」と言われた瞬間に感じる達成感は、何物にも代えがたい。技術者としての誇りを持って働ける環境です。 大企業のような安定や仕組みはありません。けれど、自分の力で生きるための“思考の筋力”を鍛えられる場所です。 積極的に挑戦し、考え抜く人ほど、ここでは確実に成長できます。キカラボで身につくのは、どこにも依存せずに生きていける力。そして、思考を通じて自由を掴む力です。 小さなチームでも、世界を少しずつ動かせる。 その実感を、一緒に味わってほしいと思います。