代表取締役社長（CEO） 福永 哲雄氏 地理空間情報総合企業にて、長年にわたり新規事業の立ち上げを多数担当。独立後、一人で2018年1月に同社を設立。わが国最大の研究機関の招聘研究員としてビッグデータを活用するデータ処理技術の研究開発に従事しつつ会社の基盤づくりを行う。座右の銘は「トライファースト」。

会社設立の経緯を教えてください。

いわゆる現在の第三次AIブームに注目したのは2010年頃でした。その当時は深層学習というものが本当に使えるかどうかまだ分かりませんでしたが、それから深層学習が進んでコンピューターやネットワークも進化し、また社会情勢も変化しました。 本格的にディープラーニングというものが生かされるという確信に近付いてきたのが2015年頃。その時私自身が50歳になるというのも少し影響しているかもしれませんが、独立に向けて社会情勢と自分の経験を生かしてやりたいことができるタイミングが合ったんだと思います。 今が見える、ちょっと先の未来が見えるというのは素敵なこと。テクノロジーを活用して世の中のサプライチェーンが分かると良いよね、というのが会社を立ち上げた一番のきっかけでした。

事業を軌道に乗せるまでに苦労したことはありましたか？

本格的に生産活動を始めたのは2019年4月に社員がジョインしてからです。化粧品会社や自動車会社の案件を頂きましたが、当時はAIを本格的に事業に取り入れる、ましてやデータドリブンでデータを使いながら仕事をするというのは浸透していませんでした。 また、資金調達においても多くの投資家からSaaSを勧められました。クラウド型のソフトを作って広めた方が良い。でもそれが私にはしっくりこなかった。システムは大きく分けると、標準化される「Fit to Standard」とカスタマイズ重視の「Fit & Gap」がありますが、私達が目指すのはその中間。ちょうど中間じゃないと、デジタルでデータを使ってビジネスを回すことはできません。 だから地道に、どういう形ならお客様に浸透していくのか、葛藤しながら続けていました。3年目くらいから少しずつ形になり始めて独自のモデルをつくり上げていきましたね。

組織づくりにおいてはどんなことを大切にされていますか？

自律分散型の組織にしたいという思いがあります。組織マネジメントとセルフマネジメントを両方から行う組織です。日本は昔から「みんなから外れることがダメ」のような教育で、今はだいぶ薄まりましたが、セルフマネジメントができる人にはなりにくい環境です。自分で自己主張して、例えばディベートしたり仕組みをつくり上げたりといった訓練はされていない。そんな中でセルフマネジメントを求めても実際には難しいですよね。 だから、社員には「自分で考える力」を身に付けてほしいと思っています。自分で自走して、考えて動ける人は、いろいろな壁にぶつかっても乗り越えられます。そして自分の成長と会社の成長の両方を目指してほしいです。 社員によく伝えているのは、「個の力を最大化してほしい」ということです。個の力が集合した時にチームとして自分の力が機能するように、自分事に考えていける人に成長していってほしいと思っています。

業界や職種未経験で入社されて活躍している社員が多いと聞きました。

日本のIT業界は、ITエンジニアがベンダーに7割、事業会社が3割と言われています。自分で自走している会社が少ない上に人口も減っています。ということは、プロフェッショナルな人材はごくわずか。だから自分達で育てていくしかないと思っています。でも、キャリアを積むには自身の努力が必要です。その時間とチャンスを与えるのが私の役割でもあると考えています。 素人からプロになるには1万時間かかると言われますが、だいたい7～8年。様々なステップを踏むことを受容して覚悟を持って頑張れるかどうか。採用面接では、経験や学歴よりも「会社の未来にどんな貢献をしてくれるか」を重視して見ていますね。 その一方で当社はスタートアップなので、カルチャーと合うかどうかも大事。会社に依存して、自分は単なる一こまでいいという人、指示待ちの人には向いていないと思います。

最後に、ご自身の座右の銘を教えてください。

「トライファースト」です。何でもまずはやってみようということ。山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」という言葉にもあるように、何でもとりあえずやってみようという精神を大事にしています。 若い頃は特に人から言われたことを気にしたり、失敗を恐れたり、何かを始める時に躊躇したりしがちですが、何かをする時に怖がっているというのは自分の内面の問題。失敗してもいいんです。人がどう思うか等は気にせずに、まずは一歩を踏み出す、やってみるという行動をしてほしいと思いますね。 もし、当社に少しでも興味がある方、この会社面白そうだなと思ってくださった方にメッセージを伝えるなら「Join us！」です。挑戦したいという方、ぜひ一緒に働きましょう。