新規事業のAWSソリューション事業は、具体的にはどのような事業ですか。
まず、事業が立ち上がった経緯をお話しします。当社がIoTプラットフォームサービスとして提供している『IoT Station』は、AWS(Amazon Web Services)を基盤に構築し、運用しています。その中でAWS社のコアメンバーの方々とコネクションを築かれたことがきっかけで、IoTとは別枠のAWS専従部門を立ち上げ、新規事業としてスタートしました。 日本ではまだまだオンプレミスサーバーが存在していますが、今後はクラウドへのリプレイスが進みます。その市場規模は、2023年から2028年にかけて2倍になると試算されています。金額にして約16兆円です。その市場を、クラウド基盤の中で最も需要が多いAWSで取りにいこうとしているのが、この事業です。 ただAWSといっても、インフラネットワーク、セキュリティ、アプリケーション、データ分析、AI等、様々な領域があります。当社は後発ですので、まずはプレーヤーが少ない生成AIから切り崩していこうとしているところです。特に、中堅企業以下のエンドユーザーにアプローチできるプレーヤーは多くありません。AWSからも中堅中小企業をサポートできるパートナーとして期待され、様々な支援を受けています。お客様のビジネスの右腕としてビジネスを支援するといった理念や、IoTソリューションで直接お客様をサポートしてきた実績が評価されています。 現在、生成AIを使って事業化しよう、または事業に役立てようという企業は規模を問わず沢山ありますが、生成AIといっても扱うデータは様々で、エンドユーザー自身が構築することは困難です。そこで当社は「Amazon Bedrock」のスターターパックを開発しました。30万円程のコストで、テストまでできるような仕組みを短期間で構築するサービスです。現在は、製薬業の研究部門で、膨大な論文データや検査データから、生成AIを使って様々なアウトプットを導き出すというプロジェクトに取り組んでいます。
AWSソリューション事業で目指していることは何でしょうか。
現在、AWSソリューション事業で確立しようとしているのは、三つの収益モデルです。一つは「Bedrock」のスターターパックをはじめ、AWSのサービスをリセールするサブスクリプション型の収益モデルです。今後は画像解析やAWSの運用サポート等、七つのサービスを計画しています。 二つ目は社内開発です。これまで当社は、分野を問わず広範なプロジェクトを社内に持ち帰り、請け負ってきましたが、ここではAWSインフラとアプリケーション開発に特化した請負開発を行います。三つ目はSESビジネスです。 元々、新規事業として立ち上げた際に目指したことは、IoTプラットフォームサービスとは異なるアプローチで実績を積むことでした。現在、当社が提供している『IoT Station』は、ライセンス数を伸ばすことで収益を拡大するサブスクリプション型のビジネスです。エンジニアの数には依存しないビジネスですので、当社に在籍するエンジニアを活用できるシーンは多くありません。 当社には約150人の社員が在籍しています。現在、AWSには圧倒的な需要がありますので、当社に在籍する人材が活用できる機会が豊富にあります。また、AWS認定の資格取得を推奨することで、当社に在籍するエンジニアの技術スキルを伸ばすきっかけにもなります。さらに、AWSの技術単価は業界の中でも圧倒的に高いため、収益性向上に繋がります。 現在、全社員のうちAWSの資格保有者は約50名。今後は引き続き社内で資格取得を推奨しながら、キャリア採用にも注力し、AWS系のエンジニアを増強する計画です。東西合わせて、毎年10%増を目標に掲げています。
AWSソリューション事業部の体制を教えてください。
現在、AWSソリューション事業部に所属して事業立ち上げに関わっているのは私を含めた4名です。既存事業部からインフラエンジニアとして豊富な経験を持ったメンバーや、AWSに関心を持って入ってきた若手メンバー等をアサインしました。その4名以外に別途、三つのビジネスに従事しているエンジニアが10名から20名います。 事業部のメンバーが担っているのは、マーケティングとサービス開発です。マーケティングは従来の派遣事業とは異なり、WEBサイトからの問い合わせや資料請求等、インバウンドで引き合いが取れる仕組みづくりを行っています。『IoT Station』も同様の手法を採っています。また、「Bedrock」のスターターパックをはじめ、七つのサービスを開発中です。
AWSソリューション事業の立ち上げにおける課題は何でしょうか。
AWS人材の確保です。AWSソリューション事業部でマーケティングやサービス開発に携わるコアメンバー、サービスの導入や請負開発、派遣、それぞれのビジネスに携わるエンジニア、どちらも積極的に採用しています。 事業部のメンバーとしては、事業開発やサービス開発に携わった経験を持つ人材が当社には少ないため、何らかの形で事業開発に携わった経験を持ち、現在のメンバーと一緒に汗をかいていただける方を求めています。 また、過去約1年間でAWSの有資格者は増えましたが、実務を経験しているエンジニアはまだ多くありません。そこでAWSを使ったアプリ開発やインフラ構築に関わった経験のある人材も採用中です。現在、AWSは200以上の機能がありますが、新しいテクノロジーにも柔軟にアンテナを張れる人材が必要です。また、業種業態によって求められることも異なりますので、技術だけではなく、ビジネス面でもアンテナを張り、情報を取ることに長けた方、または好きな方を採用したいと考えています。
長期的なビジョンを教えていただけますか。
現在、当社は「ゼネックIoT/DXブランドVision2030」というビジョンを掲げ、『IoT Station』を軸としたIoTプラットフォーム事業と、AWSソリューション事業で、様々な課題を解決し社会に貢献できる会社を目指しています。 その目的に向けて、AWSソリューション事業では、中堅以下の企業の市場でAWS導入支援ナンバーワンのポジションを確立したいと考えています。将来的には、全社員がAWS認定資格を保有し、アドバンストティアサービスパートナーから、プレミアティアへの昇格を果たしたいと考えています。現在、プレミアティアは国内で15社しか存在していません。しかも大手ベンダーばかりです。最短でも2年はかかりますが、いずれは達成したいと考えています。 AWSソリューション事業は始まったばかりの事業です。草の根を分けるように、地道に開拓していかなければなりませんが、圧倒的な需要があること、当社の規模では珍しくAWSの協力がありますので、経験を持ったエンジニアが確保できれば、必然的にスケールできると見込んでいます。関心を持っていただいた方は、ぜひ話を聞きに来てください。