株式会社ディライトテクノロジー

株式会社ディライトテクノロジーは、2002年11月に設立されたシステムインテグレーター。システム設計、各種サーバーやデータベースの構築、ソフトウェアの開発、システムの運用保守・障害調査等、ITに関わる事業を幅広く手掛けている。

SIerとして同社の特徴は、大手ベンダーからの案件が多い点が挙げられる。創業者でもある同社代表取締役の阿部嘉明氏が、フリーランスだった頃から付き合いがある大手電機メーカーを筆頭に、どこも古くからの取引先。信頼関係の上に成り立ったビジネスは、同社の経営に抜群の安定感をもたらしている。

「取引先のベンダーもクライアントも長い付き合いのところが多いのは、当社の特徴であり、強みです。エンドユーザーからのプライム案件の受託開発を中心にすると、利益率は高くなりますが、経営の安定化を考慮するならベンダーとの付き合いが重要。継続的なパートナーシップは、営業コストをかけずに横展開可能な案件の受注に繋がります」（阿部氏）。

同社は、自社プロダクトも持っている。プロビジョニング管理システム『D-PLAMS』は、アカウント管理のニーズに柔軟に応えるパッケージ製品。システムごとにアカウント管理を行えば、ユーザー数やシステム数が多くなるにつれ、管理コストは増大する。『D-PLAMS』を利用すれば、管理者が一元管理されたアカウント情報を更新するだけで、各システムへ自動連携されるため、大幅な運用コスト削減が可能となる。

「エンタープライズ企業になると、“社員数×システム数”で膨大な数のアカウントを管理しなければなりません。『D-PLAMS』なら管理者が一元管理できるので、社員の入社・退職時に発生するアカウント管理も簡単です。大学のアカウント運営でも、活用していただいています。学生にアカウントを発行する大学では、毎年入学生と卒業生がいるため、アカウント管理が大変。『D-PLAMS』を使えば、一括登録・一括編集・一括削除ができるので簡単に変更可能です」（阿部氏）。

21年間、開発ベンダーとの取引を重視してIT業界で生き残ってきた同社は、人と人の繋がりを大切にしてきた。今も、現場で若いエンジニアが繋がりを作っている。新しい世代の繋がりで会社を維持・拡大してほしい、と阿部氏は語る。

「創業20年を超える会社ですが、近年は新卒採用を中心に組織作りを進めてきたこともあり、平均年齢は32歳。会社はどんどん若返りを図っています。これからは若いエンジニアが中心になって、会社を盛り上げてほしいと考えています。今の事業が堅調なうちに、未来の事業の柱を作っていきましょう！」（阿部氏）。

ITに関わる事業を幅広く手掛ける同社において、近年伸びている事業が「Microsoft 365」の導入支援。Microsoft 365は、ビジネスシーンで欠かせないアプリケーション「Office」を中心に、メール、ファイル共有、Web会議等、必要なグループウェア機能をオールインワンで提供するMicrosoft社のクラウドサービス。同社では、教育機関向け（Education）と企業向け（Enterprise）に、Microsoft 365の導入支援をサービスとして提供している。

「『Microsoft 365 Education』の前身となる教育機関向けの『Live@edu』がリリースされた時、大学との取引があったことで導入支援をベンダーからお願いされ、Microsoft 365の導入を手掛けることになりました」（阿部氏）。

コロナ禍でテレワークを始める企業が増えて、Microsoft 365を導入する企業も比例するように増えている。同社のクライアントは大企業ばかり。従業員数万人規模の企業へのMicrosoft 365の導入を請け負えるSIerは、日本でも数社しかないという。

「Enterprise向けの『Microsoft 365 E5』を導入できるシステム開発会社は少ないです。最先端のセキュリティが使われており、難易度が高いため技術力を必要とします。当社では、『Microsoft 365 E5』の導入支援・運用サポートを手掛けています」（阿部氏）。

大手ベンダーとの協業でビジネスを続けてきた同社。企業理念の一つに「共存共栄の精神」を掲げている。

「クライアントと共に発展していくこと。これが当社の目指すところです。社名の『ディライト』は、『喜び、楽しみ』を表す言葉。顧客が満足する技術、望んでいるシステムを提供することも理念に掲げています」（阿部氏）。

Microsoft 365の他にも、Qualitia社が開発・販売する統合型大規模次世代メールシステム「DEEPMail」「MailSuite」の販売代理も手掛けている。しかも、Qualitia社の販売代理店になった経緯には、クライアントから絶大なる信頼を寄せられている同社らしいエピソードがある。

「Qualitia社の代表が急死した時、取引先であった大手電機メーカーから代理店をお願いされました。Qualitia社にエンジニアはいるから製品は作れる。それを販売し、導入・運用する役割を担ってほしいと依頼を受けました。導入先のクライアントと大手電機メーカーが話し合って決めたらしく、突然のことでびっくりしましたが、お客様の役に立てるならとQualitia社の販売代理店となりました」（阿部氏）。

同社は、直近10年間を新卒採用中心に増員を続けてきたため、社員の平均年齢が32歳と創立20年を超える会社にしてはフレッシュな組織だ。ピラミッド型ではなく、フラットな組織運営を目指し、管理職は必要最小限の数に止めている。

「若いエンジニアはみんな優秀です。ITに慣れている世代。知識と経験が伴えば、私達の世代よりも活躍することは、間違いありません。大切なのは、権限委譲を速やかに進めること。年配者が『部長』『課長』の肩書で居座っていると、若いエンジニアの活躍を阻害しかねません。階層を作らないで、若い人を責任ある仕事に抜擢する。こうしてフレッシュな組織を目指しています」（阿部氏）。

エンジニアが同社には約40人いるが、管理者は三人だけ。年齢を重ねたベテランエンジニアも、マネジメント層にならず現場で活躍している。

「定年を迎えても、給料を下げることはしません。活躍できるなら、何歳までも働いてもらえる体制を整えます。ただ、ベテラン社員には後進の育成をお願いしています。育成手当を出して、1年間マンツーマンで若手エンジニアを育成してもらいます。技術者は、人に技術を継承することに対してポジティブです。若いエンジニアに、自分の知識や経験を伝授してくれます」（阿部氏）。

同社は、フルリモートな働き方を実践している。情報セキュリティの観点等、顧客都合でオフィスへ出社するケースもあるが、それ以外は出勤する必要はなし。オフィスも目黒駅近くにあるレンタルオフィスに移転し、固定費を縮小。メンバー全員が出社したら、デスクが足りない状態だという。

「エンジニアは、集中して作業したい人達です。それに気が付いて、全員テレワークに切り替えました。最初の1年間は生産性が落ちましたが、その後は、生産性が感覚値で3割アップしました。アウトプットで評価するので、結果さえ伴っていれば、多少怠けていても問題ありません。ログ管理等で縛り付けることはしません。アウトプットが全てです」（阿部氏）。

エンジニアが働く環境の整備には余念がない。パソコンは最新スペックのものを使えるように予算を割いており、年に一回、テレワーク手当を支給して自宅で働く環境の整備に充てる。スキルアップのバックアップもサポート。資格取得に必要な経費は、全て会社持ち。常識にとらわれず、エンジニアが働きやすい環境を整えている。

「平均残業時間は、月間20時間を切っています。出勤の必要もないので、プライベートの時間が確保でき、ワークライフバランスも整います。産休・育休・時短勤務も完備。女性が働きやすい会社を目指しています。社員旅行やレクリエーションも盛んで、コロナ禍で中断していましたが、再開を考えています。フルリモートになり、顔を合わせる機会が激減したので、社内イベントは活性化させたいです」（阿部氏）。