株式会社フォーバルクロスギア

株式会社フォーバルクロスギアは、クライアントに対して“伴走支援型課題解決”を手掛けている、フォーバルグループの新鋭企業である。同社は、中小・零細企業のデジタル化・DX支援を行う「プロダクト事業部」と、特許事務所や企業の法務部門に特化したDX支援を手掛ける「コーディネート事業部」の2部門を運営しており、この「Green」ではプロダクト事業部の“伴走支援型エンジニア”を求めている。
同社のサービス内容は、次のとおりだ。

●プロダクト事業
顧客である中小・零細企業の課題に伴走し、Excelの活用レベルから、ノーコードツールの利用、さらにはシステム開発まで最適なソリューションを提案する。その特徴について、代表取締役の木村巧氏は次のように説明する。
「お客様に対し、『当社はシステム開発会社ではなく、“システム開発も行う伴走支援型課題解決会社”です』と説明しています。システム開発等を行わなくても、解決できる課題が沢山あるからです。お客様にとっては、できるだけ楽に、低価格で導入できる解決策に越したことはありません。お客様のためにならない業務は請けない主義なので失注することも多いのですが、取引したお客様から解約されることはまず、ありません」

なお、紙の書類をスキャンしてデジタル化するといった面倒な作業も、パートによる専任チームをつくって代行している。
「一連のサービス内容について、同業者から『儲からないだろう』と揶揄されますが、経常利益率は19%と業界平均の倍以上を出しています」と木村氏は強調する。

●コーディネート事業
主に特許事務所に対し、サーバーやネットワーク、PC端末等のハードや、特許管理システム等のソフトの販売・設定・保守を通じて、デジタル化・DXの支援を行う。
特長は、最先端のネットワーク技術を駆使した提案力や構築力。特許事務所は高度なセキュリティ環境が求められており、同社では事務所のスタッフ体制に合わせ、レイヤー別の環境構築や働き方の提案といったレベルまで踏み込んだソリューションを提供しているのだ。加えて、オフィス移転を伴う環境再構築においては、オフィス物件の紹介まで行うという伴走ぶり。
「前身企業時代から40年近く、特許事務所に特化したサービスを提供してきており、コーディネート事業の存在を知らない特許事務所は恐らく存在していない、ニッチトップであると自負しています」と木村氏は胸を張る。

同社は2025年4月、フォーバルグループの株式会社コーディネートが、同グループの株式会社FLCを吸収合併する形で設立された。

コーディネートは1984年にFAX等のオフィス機器を販売する会社として設立され、1989年には日本特許開発機構および東芝と特許電子出願システムを開発し、特許事務所にフォーカスした事業展開を始める。そして、徐々にサービス内容を高度化し、前述した今日のコーディネート事業の形に進化させている。
2021年に、事業承継を主目的としてフォーバルと資本業務提携を行った。

FLCは、1988年に設立されたシステム機器の販売会社を源流とし、その後M&Aを経て会計システム等の開発・販売を手掛けるようになる。そして2022年にフォーバルの傘下となり、社名を株式会社フォーバルラボコミュニケーションズ（FLC）、さらに株式会社FLCに改称する。

両社の合併について、木村氏は次のように説明する。
「フォーバルグループの会社同士の合併は初のケースです。ネットワーク技術力とシステム開発力、特許領域と会計領域といったそれぞれの強みのシナジーを狙い、半ば実験的に合併した形です。社名の“フォーバルクロスギア”には、そんな考えが込められています」

初代社長に就任した木村氏の略歴は次のとおり。
家具インテリアショップの集客支援等を手掛けるWebサービス会社でマルチに活躍後、同社の成長性に限界を感じ、大きなビジョンを掲げていたフォーバルに2013年に転職する。Webマーケティングや営業担当者の育成等を手掛けた後、営業コンサルティング事業の立ち上げに教育担当として参画。6年ほど手掛けた後、2022年から地方創生事業を手掛ける。そこで、グループ入りしたFLCと共に北海道の清掃事業者を担当。PCリテラシーの低い現場スタッフが市役所に提出しなければならない書類作成に時間を取られ、長時間労働の大きな原因となっていた課題を、デジタル化で解決する。その清掃事業者は、経済産業省の「DXセレクション2025」に応募、入賞した。

「清掃作業にも同行し、既存サービス等も様々検討しながら最適なソリューションを考えた結果、SIを行うことになりましたが、ベストプラクティスを提供できたと自負しています。こうしたサービスの在り方が、新生プロダクト事業のスタイルになっていくと思います」（木村氏）。
今後のプロダクト事業のビジョンについて、木村氏は「“世界一ありがとうを集める会社”を目指す」と話す。
「“失注すれども解約させず”という当社のスタイルを堅持し、“ありがとう”の数と収益力を比例させることにチャレンジしたいと思っています。中小企業を新しいデジタルの世界に誘う第一人者になりたいですね」

なお、FLCでは『eco会計クラウド』といった自社プロダクトを手掛けてきたが、同社としても今後、独自プロダクト開発に力を入れていく構えだ。

同社は、23名の社員でスタートした。うち、プロダクト事業部は5名（ほかにアルバイト・パート等10名。2025年8月現在）。その組織は、次のフォーバルグループ共通の「社是」を大原則として運営されている。

社是：
フォーバルグループは
社員・家族・顧客・株主・取引先と共に歩み
社会価値創出を通して
それぞれに幸せを分配することを目指す
そのため
創意工夫をこらし絶えず｢革新｣に挑戦する
顧客に愛される｢真心｣のサービスを大切にする
社員が安心して力を発揮できる｢場｣作りに努力する
世界・未来に目を向け｢社会が求める真の価値｣を追求する

社員・家族・顧客・株主・取引先という順序は、幸せの分配順序を表している。これは、社員の犠牲の上に成り立つ増収増益は、企業が目指すべき姿ではないとの思いや、顧客を不幸にして、自分達だけが幸せになることはあり得ない、顧客を幸せにするためには、取引先も大切にしなければならないとの思いが込められている。
「優先順位の一番に社員を置いていることが、当グループの風土を特徴づけています。我が子の真の幸せを考え、間違ったことをしそうな時は体を張って止める。おいしいものを沢山食べさせる。そんな家庭では当たり前のことが、当グループの風土にも当てはまります。フォーバルの創業者で会長の大久保秀夫には、『社員は家族』との思いがあるからです。管理職に多くの手当を支給しているのも、このためです」（木村氏）。

グループ会社の経営レベルや若手社員等、各層に対して大久保氏が直接指導する機会が設けられ、社是の浸透が図られている。

なお、同社では夏の暑気払いや期末の慰労会といった会社主催の懇親会が行われているが、17時に開始し、17時45分までは業務扱いとして全員必須参加となっている。
「家族として一緒にご飯を食べる機会を重視しているからです。こうした場に居たくない人も、最初の45分だけは参加してほしいと。懇親会は17時45分以降も続きますが、もちろん帰っても構いません。もっとも、帰る人はほとんどいませんが」（木村氏）。

同社における人材育成としては、OJTが100%なのが特徴的だろう。
「これまでいろいろと社員教育に取り組んできましたが、現場での実践の中で身に付けるのが一番早くて確実なのです。したがって、当社ではOFF-JTは廃止しました」と木村氏は説明する。
なお、働き方としては状況に応じてリモートワークも自由に行える。

そんな同社の求める人材像は、フォーバルグループ共通の“明・元・素”。明るく元気で素直な人であることだ。
コードを書くだけでは満足できず、顧客に密に伴走して課題解決を支援したい。そんなエンジニアは見逃せない募集だろう。