株式会社豊田自動織機ITソリューションズ

株式会社豊田自動織機ITソリューションズ（TIIS）、その社名からも分かるとおり株式会社豊田自動織機の子会社であり、豊田自動織機グループ国内唯一のIT企業だ。豊田自動織機といえば、トヨタ自動車の”源流”に当たる企業で、従業員数約7.9万人、売上約4.1兆円、フォークリフトや繊維機械、自動車のコンプレッサーで世界シェア1位を誇る大企業でもある。（2025年3月度実績）
「当社は豊田自動織機の情報システム部門の開発チームが分離独立してできた会社で、グループ国内唯一のIT企業として、豊田自動織機のSIerとしての機能やITインフラ構築、制御系の製品組込み開発、グループ外へのソリューション開発、提供を行っています。」（代表取締役社長・鈴木洋氏）

システムインテグレーション事業の始まりは、工場内の自動化を担うシステムの開発だった。設計支援システムであるCADや解析支援システム（CAE）、生産指示システム（MES）、受注管理システムや顧客管理システム、物流倉庫管理システム等、豊田自動織機の全工場のIT化を一手に任されるようになり、その高度な技術力によって信頼を勝ち取り、ITインフラ構築や組込みソフト開発へ事業領域を拡大してきた。手掛けたシステムの総数は約600にも達しており、そのほとんどが超上流の企画・構想段階から参画しているという。
「これはSIer事業だけでなく、インフラ構築やソリューション事業においても言えることですが、当社の大きな特徴の一つとしてお客様との近さがあります。特に豊田自動織機との間では、役割の重複を極力排除してリソースの適正化を図ったこともあり、企画・構想、要件定義、製作・テスト、保守までを一貫して当社が担うスタイルを確立しています。最近では、さらに上流に当たるIT戦略の立案についても加わることがあるくらいです。」（鈴木氏）

上流工程において、顧客と向き合い、そのニーズの抽出から要件定義をまとめて設計へ落とし込んでいく経験を積みたい人にとっては、絶好の環境だと言えるだろう。
「大規模なITインフラ構築経験を積んでスキルに磨きをかけたいという人にとっても希望に沿える環境があると思います。豊田自動織機の国内拠点で使用する数万人規模のITインフラ構築だけでなく、北米や欧州、アジアなどと繋いだグローバル規模のITインフラ構築も海外関係会社と協業しながら行っています。これらの大規模プロジェクトも企画段階から手掛けてもらうことになります。」（鈴木氏）

豊田自動織機の製品に搭載される制御系ソフトウェアの開発を行っているのは、TIISの特徴の一つであり、強みにもなっている。
「フォークリフトをはじめ、自動運転タガーやDC-DCコンバーター、車載充電器、EV用バッテリーマネジメントユニット、FCコンプレッサーのインバータ等、様々な機器の制御ソフトを開発しています。この分野では、自動化・自律化が大きなテーマになっていて、当社はその開発を支援する環境構築にも携わっています。例えば、フォークリフトや倉庫内運搬システムの自動化や自律化のソフトウェア開発で欠かせないシミュレーションソフトの開発等がその一つです。」（鈴木氏）

自律化は周辺の状況変化を捉えながら必要な動作を自ら意思決定する必要があるため、AIをはじめ先進的な技術が積極的に導入されている。その支援のためには、当然ながらTIISも技術を理解して扱える必要があるため、生成AIをはじめとした新しい技術に関するスキル習得に力を入れているという。
「豊田自動織機よりも先行して技術について熟知しておかなければならない立場ということもあり、社内研修や勉強会等の様々な仕組みを設けて、社員がスキルを伸ばしていける環境整備を進めています。例えば生成AIは、業務効率化を実現するため等、応用範囲も広く、今後必須のスキルの一つとして、習得に注力しているところです。こういった先行技術習得のために予算と時間を投資できることも、大企業グループの一員だからこその強みだと言えるでしょう。」（鈴木氏）

TIISの成長は、親会社である豊田自動織機の成長次第という側面があることは否めない。そのため、親会社の事業成長をITという側面から支援し、加速させていくためにも、高度なIT技術を習得・習熟し、使いこなせるようになることが、同社の成長戦略だと言えるだろう。だからこそ、技術面において妥協しないという姿勢がしっかりと根付いている。

TIISの成長は豊田自動織機の成長次第と説明したが、実際のところTIISの2024年度の売上は、2022年度比で2倍ほどへと伸びている。それほど、豊田自動織機の事業は好調であり、需要が拡大しているということだ。
「新たな仲間を必要としている一番の理由は需要が急速に拡大していることにありますが、人的リソースにある程度余裕を持っておきたいという意図もあります。カツカツの人員でプロジェクトをやりくりしている状態では、社員への負担が増すばかりで、中長期的に見ても得策とは言えません。それに、人員に多少なりとも余裕を持つからこそ、新しいことに積極的に挑戦することができるのだと考えています。」（鈴木氏）

実は、TIISは社員の働く環境整備にもかなり力を入れている。その背景には、社員が成長できる環境、仕事にやりがいを感じられる環境をつくることで、できるだけ長く働いてほしいという強い思いがあるからだと鈴木氏は語る。
「当社のビジネスは豊田自動織機の事業や業務を理解するとともに、人脈を広げ、関係性を深めることで成立している部分があります。『TIISへ任せれば、1話すだけで10伝わる』――この信頼感が他ベンダーにはない強みになっているのです。しかし、そのような繋がりは短期間で生まれるものではありません。そのため、社員と会社が長期にわたって一緒に成長していき、お客様との繋がりも強固なものにしていくことを理想としています。この考えに共感していただける人なら、当社に馴染みやすいのではないでしょうか。」

豊田自動織機のIT環境は決して整っているわけではなく、改善、進化の余白をまだまだ残している。加えて、事業そのものも今後先進技術を積極的に取り入れながら成長していかなければならないフェーズにある。つまり、TIISは世界トップシェアを獲得している大企業のIT変革をけん引する立場にあると言える。その環境、このタイミングでしか得られない経験があるはずだ。社員が成長できる仕組みや制度については、インタビュータブで紹介しているので、それも参考にしつつ、興味を持ったのであれば、一度話を聞いてみてはいかがだろうか。