The Qt Company Oy

The Qt Company Oyは1995年に設立されたフィンランド発のソフトウェア会社。70を超える業界で利用されているグローバルカンパニーだ。

同社が提供しているのが、高いクロスプラットフォーム性と直感的な操作性を持つGUI開発フレームワーク『Qt（キュート）』。世界中で約100万人の開発者がその技術を使って開発をしており、そうそうたる顔ぶれのグローバル企業で導入が進んでいる注目のソリューションなのだ。

日本オフィスは2014年に開設されているが、Qtの名は日本国内ではまだまだ「知る人ぞ知る」存在。日本市場におけるQtのプレゼンスを上げるために、同社の取り組みが加速している。2023年3月に日本オフィスのカントリーマネジャーに就任した西尾則子氏は次のように語る。

「Qtは前年比売上成長率28％と伸びている会社で、プロダクトの採用実績は日本国内400社を含め世界中に5,800社を超えています。我々のクライアントは非常に多岐にわたっていて、自動車、運輸、医療等、デスクトップアプリケーションやモバイルアプリケーション、70以上の業界に広がっていますが、そのほとんどは日本が強みを持っている産業分野なのです。会社としても日本市場に対する投資には力を入れたいと考えており、我々が果たすべき役割は非常に大きいものがあります」

現在、日本オフィスの従業員は43名。東京・丸の内に本社を置き、名古屋と大阪にも拠点を持つ。優秀なメンバーが続々と入社しており、国内におけるQtの導入も着々と増え始めてきている。

医療分野では、業務管理システムや自動精算機等の開発・製造・販売でトップシェアを誇るメーカーが、多くの病院や薬局に設置されているマイナンバーカードリーダーの開発でQtを使用。また、自動車業界においては、イタリアのオートバイメーカーが二輪車のデジタルディスプレイの強化のためにQtを選定したほか、ドイツの大手乗用車、商用車メーカーがQtを活用して次世代オペレーシティングシステムを構築している。今後もこうした事例は続々と発表されていくだろう。

同社に集まる社員の多くが、「将来性に惹かれた」と話している。会社規模としても成長中であり、日本市場における同社の拡大の余地は、先述の通り無限大。まさにこれからどんどん認知度を上げ、プレゼンスを高めていくのは間違いない。

「加えて、技術力の高いQtという製品を扱える面白さもあると思います。正直なところ、日本で目にする様々なプロダクトのUIは、海外のそれと比べてもまだまだ遅れています。ITもOTも品質はよいがデザイン的にはまだまだこれからというのが現場。そこにQtが入り込めるチャンスがあると我々は考えています」（西尾氏）。

Qtの一番の特長が、デザインから開発、品質保証、管理までをシームレスに行えること。各工程で別々のツールを使うと工程間で「引き継ぎ」が発生するが、それがなくなることで工数が大幅に削減され、生産性の向上が実現できる。

また、製品の「顔」であるGUIの開発に強みを持っているが、そうした高度な開発が簡単に行える仕様となっている。加えて、一度Qtで作られたものは画面サイズが変わろうと1つのアプリケーションで対応できるマルチプラットフォーム仕様のため、開発の労力を抑えられるメリットがあり、開発した製品を素早くマーケットインまで持っていくことができる。

「こうしたQtの特長を、多くのお客様から既に高く評価していただけています。ただ、どの企業様も昔から使っている開発ツールがあるため、全部を急にQtに変えるのはなかなか難しいのも現実です。そのための今後の取り組みとして、Qtで開発できるエンジニアをもっともっと国内に増やしていくような施策を進めていこうと考えています。例えば、エンジニア向けのトレーニングに力を入れたり、学生さんに使ってもらう機会を増やすなど、いろいろな施策を計画中です」（西尾氏）。

同社で働ける一番のメリットが、こうしたあらゆる戦略を考え、実行していけること。言い換えれば、営業であってもただの「物売り」ではなく、ビジネスを拡大させるために戦略的な発想を持ってお客様と向き合うことができる。

「その過程では、私自身が営業として培ったものをいろいろとアドバイスできると思います。どこで働いていても“優秀だね”と言われるような人材を一人でも多く育てることも私の仕事。“この会社で働いてよかった”と思ってもらえるよう、多くの学びが得られる会社にしていきます」（西尾氏）。

そんな同社が求めるのは、「真面目でアグレッシブな人」だという。

「嘘をつかず、周囲に対してリスペクトの気持ちを持ってチームワークできる人であることが大前提ですが、とにかく恐れず、前向きに一歩を踏み出してトライしてほしいと思っています」（西尾氏）。

外資系であるがゆえに英語の読み書きは必須となるが、ただ英語ができればよいわけではなく、「日本だけでなくフィンランドの文化に対しても理解しようとする姿勢を求めたい」と話す。

西尾氏が組織作りにおいて何より重視するのがコミュニケーションだ。

「私自身が皆さんにしょっちゅう話しかけますから、うるさがられているかもしれませんね。社員間のコミュニケーションについては、本社もすごく協力的で予算を投じてくれるのです。先日は全社員で半日仕事をお休みにし、東京湾をクルージングしました。そのほかに、社内でバースデーランチを開催したり、クオーターに一回は集まってサクセスストーリーを発表・共有し合う場を設けたりと、皆で話す機会はたくさんつくるようにしています」（西尾氏）。



外資系にありがちなトップダウンでやり方を押し付けるような文化もほぼないという。

「これはフィンランド特有の文化なのかもしれませんが、あれこれ指示するのではなく、基本的には日本のことを理解しようとしてくれるのです。だからすごく自由にやらせてもらっています。そして本社の皆さんは日本のことが大好き。よい関係が築けています」（西尾氏）。

社員に対するサポートという面では、入社時には手厚いオンラインツールが受けられる。また、社内のメンバーから直接、製品やビジネスについて学べる場も用意されている。それ以外にもe-Learningの充実には力を入れており、学ぶ意欲がある人にとってはいろいろなチャンスが転がっている会社だろう。

入社前には、気になっていることを全て解消するための場としてオファーミーティングを実施。人事や直属のマネジャーに何でも聞くことができる機会があり、「自分に合いそうか」を入社前に見極めることもできる。

「グループ企業は12か国にまたがっており、世界を舞台に働きたい人にとっても間違いなくチャンスはあります。一人ひとりのいろいろなチャレンジを後押ししていきたいと思っていますので、トライしたい人、チャレンジしたい人に集まっていただきたいですね」（西尾氏）。