auアセットマネジメント株式会社

auアセットマネジメント株式会社は「ニホンのお金を、働き者に。」をスローガンに掲げ、ファンド運用などの投資運用業を営む金融会社。提供している「auの投資信託」は、テクノロジーを積極的に活用しながら、市場参加者が意識する着眼点や相場観と、学術的な数理科学の側面を踏まえ定量的なルールを構築する「クオンツ運用」に軸足を置いて設計されている。

数理モデルを駆使したクオンツ運用とは金融工学を活用した独自の運用モデルで、GDP成長率や金利水準・為替レート、過去の資産ごとの値動きなどの膨大なデータを収集し、システマティックに分析した結果に基づいて投資判断を行う。人間の経験や勘、感情といった因子を排除し、設計したモデルに沿ったロジカルな運用を行うことができる。

伝統的な運用手法であるジャッジメンタル運用は、人が判断するため属人的になりがちです。ファンドマネージャーの経験や勘が判断の因子になるのは否めません。その点でいえば、クオンツ運用は社会のあらゆる指標を使って数理的に取引ルールを事前にプログラムし、それに則って運用します。買い時・売り時がはっきりするため収益管理がしやすいという側面があり、それが安定したファンド運用につながります」（代表取締役社長・清水 慎一）

2021年に本格的にスタートした「auの投資信託」。最高運用責任者（CIO）に、メガバンクの市場部門や大手日系資産運用会社にてファンドマネージャーとして活躍してきた東出 卓朗氏を迎えた。

マルチアセット、債券、為替、デリバティブ、アルゴリズム取引、ポートフォリオ最適化やダウンサイドリスクコントロールに関するさまざまなソリューションの提供や、相場局面を判断するシグナル組成にも精通。数学(確率解析)や人工知能・機械学習の研究者でもあり、2017年に人工知能学会金融情報学研究会にて優秀論文賞受賞、2022年度日本応用数理学会論文賞受賞（応用部門）した人物だ。

「クォンツ運用を得意とする優秀なファンドマネージャーと、機動性に富む少数精鋭のチームだからこそ実現可能な、真の顧客目線でのファンド商品の提供を目指しています。現在公募しているファンドは10種類。適格機関投資家からの資金と合わせ、運用資金は約500億円。グローバルでトップティアに入るクオンツブティック型の運用会社を目指し、適格機関投資家・個人のお客さまに対して、TOPクオリティの運用・サービスを提供してまいります」（清水氏）

auアセットマネジメントは設立5年目の若い会社で、KDDIが「auのiDeCo」を通して、auユーザー以外の人とのタッチポイントを増やすのが設立時の目的だ。

「auのiDeCo」は、通信会社であるKDDIグループが提供する個人型確定拠出年金アプリで、スマホで簡単に「iDeCo（個人型確定拠出年金）の管理ができる便利なサービスだ。

「au IDの利用で『auの投資信託』の運用残高に応じて毎月Pontaポイントがもらえるなど、KDDIグループの会社ならではの特徴をもったサービスです。投資がはじめての人にも経験者の人にも対応しており、22のファンドを用意。その中から運用戦略や好みに合わせて自由に組み合わせることができます」（清水氏）

KDDIグループが形成している“au経済圏”。「auのiDeCo」は、その“au経済圏”の拡大をミッションにしている。「auの投資信託」の運用残高に応じて毎月Pontaポイントがもらえる。もらったPontaポイントを使うには“au経済圏”で品物と交換する。そうやって、ユーザーは“au経済圏”に入ることで、スマホの買い換え時に「au」の選択肢ができる。

「KDDIグループとして“au経済圏”の拡大を推進しています。その中で当社の設立もプロジェクトとして立ち上がりました。現在は、auフィナンシャルグループの傘下ですが、設立時はKDDIの子会社でした。auフィナンシャルサービス株式会社やauじぶん銀行株式会社など他のKDDIの金融系子会社と共に、2019年に立ち上げられたauフィナンシャルホールディングスの子会社となりました」（清水氏）

auアセットマネジメントでは、「auのiDeCo」以外にも、KDDIが提供するPontaポイントを運用するサービス「au PAY ポイント運用」の開発を受託している。このサービスは、実際の投資信託の値動きに連動してPontaポイントが変動する仕組みだ。

「Pontaポイントを投資信託に預けることで、ポイントを運用できるサービスを当社が作っています。実際のお金を投資しなくても貯まったポイントで投資信託を活用できるため、投資やiDeCoの入り口に最適です。ポイント運用で投資に慣れ、知識を深めてから実際の投資信託を始められるようにすることで、投資への心理的なハードルを下げることができます」（鈴木氏）

auアセットマネジメントはKDDIと大和証券グループが共同で設立した会社であり、KDDIや大和証券からの出向者も多く、auアセットマネジメントが設立されてから入社したプロパー社員は半分程度となっており、あとは出向社員となっている。

「金融業界は、さまざまな規制を受けており、臨機応変なシステムの改変を必要とします。そのため社内SEを必要としています。開発は外部ベンダーに依頼することも多く、社内SEは窓口となってベンダーコントロールを担当します」（情報システム企画部 部長・鈴木 健一）

求職者目線で眺めたとき、auアセットマネジメントにエンジニアが入社するメリットはたくさんある。まず、外部ベンダーに開発を依頼する側で働くことになるので、上流工程のさらに上のフェーズで仕事ができる点。

「金融業界で働く多くのエンジニアが、開発会社でクライアントである金融機関のシステムを開発しているかと思います。当社でなら事業会社に所属して、自社システムの開発に関わることができます。外部ベンダーに開発を依頼する側になるので、これまで開発の現場で培った経験を存分に生かして働くフィールドがあります」（鈴木氏）

そして、資本のしっかりした親会社があるため、安定した環境で開発を進められる点も魅力となる。さらには“au経済圏”の拡大という大きな目的もあるのでやりがいも感じられる。

「投資信託のインハウス運用を始めたことで、これまでよりも収益性が上がっています。稼いだ収益は過度に社内にプールするつもりはなく、社員に積極的に還元していきたいと考えています。採用も強化してプロパー社員の比率を上げることも目標。これから入社する社員にも管理職のポストにチャレンジしてもらいたいと思います」（清水氏）