リテール総合金融を目指し、Tech化を強力に推進中
アイフル株式会社というと消費者ローンのイメージが強い。確かに主力事業であることに間違いはないが、同社が目指しているのは、『リテール総合金融』のリーディングカンパニーである。リテール、つまり個人や中小企業を対象に、アイフルグループとしてクレジットカード事業やサービサー(債権回収)事業、ベンチャーキャピタル事業、クラウドファンディング事業等、多角的に事業を展開。インドネシアやタイへの海外進出も果たしている。
「大手消費者金融の中で、唯一の銀行傘下ではない独立系企業でもあります。銀行系であれば、新しい事業を始める際に銀行の了承を得る必要がある等、どうしても時間がかかってしまいがちですが、当社は自社で判断・決断できるため迅速で柔軟な意思決定が可能で、タイミングを逸する危険性を抑えられるという利点があります。また、オーナー企業でもあるので、“やると決めたらトコトンやる”という意志の強さや、腰を据えて事業に取り組むことができるといった強みもあります」(人事部採用課 課長・今井健志氏)。
サラリーマン社長だと自分の在任期間だけを考えた経営に陥る危険性が高い上、代表が交代すると事業方針が刷新されることも少なくない。しかし、オーナー企業の場合、「何年間務めればいい」といった逃げ道はない。加えて、アイフルは「社員が一枚岩になって幾多の難局を乗り越えてきた」歴史と実績があることも考えれば、粘り強く事業を継続する力が同社の大きな強みの一つだといえるだろう。
このような同社が、2020年6月の社長交代を機に、新たな一歩を踏み出し始めている。
「創業社長が会長となり、40代の若い社長が誕生したことによって、アイフルグループのTech化を強力に推進していく方針が打ち出されました。『時代が当たり前と思っていることに、当たり前に応えられる企業』であるためには、企業基盤や事業にテクノロジーを上手く取り入れていくことが欠かせないからです。そこで事業の運営体制や組織編成から見直しを始めているところで、今まさにグループ全体が大きな変革へと動き出したところなのです」(今井氏)。
Web制作やアプリ開発を担う部署とデジタルから紙媒体、そしてブランディングを担うデザイン部署を設立
アイフル株式会社が、Tech化に向けてまず取り組んでいることが、デジタルやデザインといったクリエイティブ分野の内製化だ。クリエイティブな業務は、ユーザーの期待やニーズをできるだけ近いポジションでつかみ、機を逃さずスピーディーに反映、形にしていくことが大切になる。そのためには、外注によって工数や介在する人を増やすよりも内製化した方が、迅速、柔軟な対応ができると判断したのだという。
「まず2018年にデジタル推進部を立ち上げ、グループ会社の公式サイトやLP制作、スマホアプリの開発、改善等を個の部署に集約しました。そして、2020年の10月にWebデザインやUI/UXデザイン等を担うコミュニケーションデザイン課も設立。両部署が連携しながらグループ全体のTech化をけん引していく体制を整えました」(今井氏)。
現在、アイフルグループでは、申し込みから契約までWEB完結が可能で、生体認証によるログインやリアルタイムの利用状況確認等にも対応しているスマホアプリを展開。その機能追加やUI/UXをはじめとした改善業務も両部門が連携して行っている。
「統計的モデルに基づいて個人の信用度を点数化し、与信の可否をスピーディーに判断するスコアリングシステムの運用やブラッシュアップ、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)としての役割等も担っていくことになるでしょう。Tech化を推進することは今後を見据えた攻めの戦略ではありますが、当然、Tech化によるリスクへの対処も欠かせません。そのため、CSIRT等は『攻めるために欠かせない守り』の要となる重要なポジションだと考えています」(今井氏)。
他にも、京都大学生向けハッカソン『aihack(アイハック)』を後援する等、若手IT人材との交流・連携、発掘にも注力している。
一方、コミュニケーションデザイン課は、デジタル分野だけでなく、ポスターといった紙媒体やロゴ等のデザインも担当し、アイフルグループのブランディングにも深く関わっていくことになる。
「グループ全体のクリエイティブを集約したことによってグループ全体のTech化を推進すると共に、ブランドの一体感をより強力に醸成していき、グループシナジーを強化。その勢いをアイフル、そしてグループ全体の成長へ繋げていこうというのが、当社が描く成長戦略です」
安定した経営基盤のもと、チームビルドや企業変革の中心地で経験を積める
Tech化の推進は、これまで営業色の強かったアイフル株式会社の風土にも、徐々に変化を生み出していると今井氏は語る。
「今までは営業に向いた力強い人材が求められる傾向が強くありました。しかし、多様化するニーズを柔軟に捉えるには、また、これからの時代を生き抜く企業としての強靭さを培うには、人材面においても多様性が必要になるという考えから、様々な経験、バックボーンを持つ人の採用を積極的に進めているところです。社長も『消費者金融の会社がIT技術を駆使するのではなく、我々自身がIT企業となって金融事業を展開することが大切』だと話しています。そのため、消費者金融としてしか企業や事業運営を見ることのできない人材よりも、多角的な視野を持った人材を求める傾向が強くなっているのです」
スーツにネクタイが当たり前だったが、デジタル推進部とコミュニケーションデザイン課では私服で勤務する人が増えており、ジーパン姿の若手社員もいる。テレワークについても、同部署主導で少しずつ定着しはじめているという。
人材の多様化が進むにつれて、変化を前向きに捉える社風も根付きつつあると続ける。
「若手のうちからチャンスを与えて経験を積ませ、実績によってはポジションも任せていくという流れが芽吹いてきています。そのため、これから仲間に加わってくれる人には、変化を楽しめること、多様性を受け入れられること、そしてデジタル領域に関心が高く、知識的にも明るい人を求めています」
まさに会社変革を先頭で引っ張る社内ベンチャーのような文化が、両部署にはあるようだ。とはいえ、母体であるアイフルは東証一部上場の大手企業であり、福利厚生面も大企業に相応しい制度が整っている。年間休日は120日、残業も1分毎に支給され、住宅手当も充実。子育てサポート企業として厚生労働省が認定している『プラチナくるみん』も取得する等、男女が活躍しやすい環境もある。
「経営基盤がしっかりした安心して働ける環境で、チームビルドやグループ全体のTech化というチャレンジングな経験を積みたい。会社を自らの手で変革していく手応えを味わってみたい。そう思う方は、是非話を聞きに来てください。お待ちしています」